さて、この章では、日本人が
持っているお金に対する考え方の
ルーツはどこからきているのかを
お伝えしていきます。
■士農工商によるお金の意識
戦国時代の後期、豊臣秀吉による
太閤検地や刀狩りによって、
今までは比較的流動的であった身分が、
その後、はっきりと分けられたと
言われています。
さて、このころから各地方を
統治する武士たちは、すでに、
日本をまとめるボス(豊臣秀吉)が
出てきたこともあり、自分の所領を
いかに豊かにするかを考えます。
戦国時代が長く続き、日本の各地の
農村は貧しい状況でした。
当然、多くの大名たちの所領も、
豊かなところは少なかったのです。
戦乱の世の中であれば、相手の
領土から、金品作物を奪い取ることで、
大名たちは働いた家来たちに、
褒美としていくばくかの分け前を
与えていたのですが、
戦乱が収まると、これが
できなくなりました。
それまでも、主君たいして家来たちは
『忠義』という概念はありました。
そして、主君がそれに応える方法は、
『忠義』実践している者に、
褒美を与えて、忠義を継続
させることでした。
さて、戦乱がおさまり、
褒美を渡せなくなり困った大名たちが
考えたのが、『忠義』と『褒美』を
分離した考え方です。
■武士道が尊い。
大名たちは、人々の先頭に立つ
武士にとって『忠義』を含む
武士道が一番大切である。
また、人々の先頭に立つ武士は、
武士道に背くことは、許されない!
という考え方を用いました。
武士道に背くことの中には、
私利私欲にはしり、金品を求めること。
または、お金のために、
武士としてあるまじき行為を
することを禁止したのです。
■江戸時代には、悪代官はほとんどいなかった
江戸時代に入り、士農工商がさらに
明確になると、人々の暮らしむきを
治めることは、武士の勤めになり、
人々の模範となることが
求められるようになりました。
当然、武士道の概念は、
さらに大きくなり、
主君及び、領民が豊かになるため、
大きな大義に忠義を尽くすことを、
武士の本分とされていったのです。
当然のように、武士は金品を求めて、
武士道に背くことは、武士にとって
最も不名誉なことになりました。
だから、時代劇にでてくる悪代官などは、
ほとんど記録にも残っておらず、
存在しなかったといわれています。
■塾や寺子屋
また、武士にとって殿様からの
給金以外に、お金をもらって
何か仕事をすることも(農耕以外)、
あまり、良い行いとは言われませんでした。
そこで、考えだされたのは、
盆暮れの付け届けや、日頃の
お世話をしてもらうことで、
お金をもらうのではなく、
感謝の印をもらうという
代替案が出来上がりました。
私塾や寺子屋などは、先生の
身の回りの世話(食事等も含む)を
塾生やその父兄が担当します。
また、盆暮れには、お世話になった
感謝の印が父兄から届き、
それをお金に変えたと言われています。
それほど、武士たちにとっては、
お金との関わり方は、
神経を使うことだったのです。
■明治維新で戸惑う教師たち
明治維新になると、教育制度が
始まります。
学校で教えるほとんどの教師は
武士出身者でした。
当初、教師たちは、お金を(給料)
もらって教えることに、抵抗感があって、
給料の返納を申し出た教師もいたほどです。
その教師達が教えるので、
当然のことながら、学校教育では
お金に対する教育は、
できるはずもありませんでした。
しかし、明治も後期になると、
財閥などでは、海外のお金の教育を、
帝王学と称して、財閥の子供達には
教えていたと伝えられています。
日本の一般教育では、
太平洋戦争終了まで、お金に対する
教育はされてこなかったのです。
■戦後のお金に対する教育
太平洋戦争で負けた日本は、
その大戦の最中から、欧米との
経済格差を痛感させられていました。
戦後は、まず復興と海外との
経済格差を埋めるために、
日本人は努力しました。
復興の最中に朝鮮戦争が起き、
日本はアメリカや韓国の
材料調達拠点になり、
一気に回復に向かいました。
この回復のスピードが早かったことで、
日本人自身がお金の教育の必要性を
感じなかったことと、
教育改革では、社会主義的思想の
日教組が、主導権をにぎり、
日本における資本主義経済、
自由主義経済の根本になる
お金の知識については、
教えてきませんでした。
■現代人に不可欠なマネーセンス
グローバル化された現代社会では、
今後、現代人が生きて行く上で
3つのスキルが必要であると
提唱されています。
一つは、IT、もう一つは、英語。
そして、三つ目は、マネーセンスです。
この三つ目のマネーセンスとは、
どういうものかというと、
簡単に説明すると、世界視点で
考えることです。
例えば、資産をドルで持つのか、
ユーロでもつのか、それとも円で
持った方が得策か!
または、この商品は、どこの国から
仕入れたら利益がでるのか?
そして、技術があり、高く売れる商品を、
作れるのはどちらの国かなどの、
世界視点でみるマネーセンスが
必要だと提唱されているのです。
マネーセンスを磨く!!
今からでも、学んでみましょう♪
今日の帝王学でした。





