先のpartでホームレスマネー(大きなお金)の
性格や動き方を、お伝えしました。
グローバル経済の中、株式投資やFX投資を
行う上では、彼らの動き方を知っている
ことで、ある程度は、市場の動きを
予測することができるようになります。
今日は、大きなお金の動きを左右する
市場バランスを、お伝えしましょう。
■鍵を握るのは為替
大きなお金のメインになる居所は、
主要国の国債や株式、為替や原油と
お伝えしましたが、それは
常に為替を通して投資をされます。
例えば、ブラジル国債を購入しようと
思えば、一旦、ブラジル通貨の
レアルに変える必要があり、
投資をする前には為替を
する必要があるのです。
特に原油などは、ドルとしか
交換できないルールになっているので、
ポジションを取る時は、一旦ドルに
変える必要があります。
このことでもわかるように、
基軸通貨といわれるドルの流通量が
世界で一番多いことは、
ご存じのことでしょう。
そこで、いったい世界の通貨の
流通量はどれくらいの比率なのかを、
ここでお伝えしましょう。
■ドルの取引高は200%の計算のうち87%
基軸通貨といわれるドル、
さすがに多いですね。
世界のどの国でも直接ドルで、
お買い物ができるのも、
この取引高が表してくれていますね。
次にユーロが33%、円が23%と
なっています。
また、左表でもわかるように、
米ドル/ユーロを交換する取引高が
一番多く全体の24%を占めています。
次にドル/円の18%、
米ドル/英ポンドの9%と続きます。
このように、ドルは世界で一番に
使われている通貨ということを
確認できましたね。
でも、ちょっと不思議と思った方
はいませんか?
円の流通量が意外に多いことに
気がついた方はいませんか?
ユーロと比較してみても、
ちょっと多いと感じませんか?
ユーロ通貨を使っている国は現在19ヶ国。
その中にはドイツやフランスなのどの
GDPの高い国も含まれています。
それなのに、円の比率が、やたらと高い‥
そう、そこに大きなお金が動く謎が
隠されているのです。
■円とドルは双子の兄弟
大きなお金の動きを考える時には、
通貨の発行されている量も重要に
なってきます。
下の表は少し古いデータですが、
2010年にはすでに円とドルの市場に
出ているボリュームは同じくらいに
なっています。
※中国元も多く発行されていますが、
世界流通通貨としては、まだ認めら
れていないので、ここでは触れません。
現在では比率だけでいうと、
円とドルを1とした時に、
ユーロは0.5、ポンドは、0.2といわれています。
なぜ、これらの比率を知っておく
必要があるかというと、
知っていると大きなお金達の
動きが理解できるからです。
■米国主導で行われた円の発行
ドルでの取引が一番多いことは、
取引高の表を見ても一目瞭然
でしたよね。
でも、通貨発行量の円とドルと
同じになったのは、
実はアメリカ主導によって
行われてきたのです。
とはいっても発行したのは日銀、
日本政府です。
では、なぜ、日銀、日本政府は
円を大量に発行したのか?
それは米国の要請により、
ドルを守るためです。
その仕組みや経緯を説明すると
長くなるので別の機会に
お伝えしますが、
簡単にいうと、ドルを持っている
人達の避難場所を作る必要が
あったということです。
少し過去を振り返ると、
1980年代からアメリカの経済状況は
悪化していました。
その後、湾岸戦争や、9.11のテロがあり、
イラク戦争と続き、米国の財政難は
大きくなりました。
当然のように、世界中でドルの信用低下が
噂されます。
このことは、当時の米国政権を
揺るがしました。
特に米国の富裕層は政府を非難し、
資産を海外に移そうと、
ドル離れが起きかけていたのです。
そこで米国は、米国への輸出ウエイトが
その当時大きかった日本に、
円を多く発行をさせて、
ドルの下落を支えさせたのです。
このことは、米国富裕層のドル資金を、
一旦、円に移し換える避難所的な
側面もあり、彼らの声を抑えるのにも
役立ちました。
それ以来、円はドルを守るために
発行され続けたのです。
そして、円は避難通貨とも
いわれるようになりました。
■避難通貨『円』
政治的にも経済的に安定している円は、
その後も現在まで避難通貨の
役割を世界で果たしています。
通貨同士の取引量をみても、
わかります。
大きなお金の彼らにとっても、
通貨のボリュームも大切なことです。
いざ、避難しようと思っても
受け入れられるパイがないと、
どうしようもないのです。
円はその点、うってつけなのです。
世界市場で何か焦げ臭いことが
起こると、通貨の行き先はドルか円と
いうことになり、
その原因に米国が絡んでいる時は、
円が買われることになります。
■日本のゴールデンウィークは円高になる。
避難通貨現象が如実に現れるのが、
日本のゴールデンウィーク時。
円高になることが多いのです。
なぜ、この時期に円高になるのか?
その理由は、幾つかあります。
ヘッジファンド等の半期の決算が
5月末だから、既に利益確定して
ポジションを外した資金を
安全な円に避難させる説。
5月末のギリシャの国債の
償還問題からユーロ下落を嫌った
ホームレスマネーが円に避難する説。
説はいろいろありますが、世界中で、
平日に3日も4日も市場が閉まる連休を
持っているのは日本だけです。
この期間、国会も休みで議員達は
一斉に、海外視察に出掛け、
日本国民は大型連休。
つまり、日本から世界へ向けて、
政治や経済でマイナスのニュースが
出ない時期でもあるのです。
本当の意味で、
ゴールデンウィーク中の円は、
世界にとって安全地帯になるのです。
周りで少しでも、きな臭いことが起きたら、
とりあえず何も起きそうもない円に、
この時期、大きなお金たちは
避難してくるのです。
そうなると、当然のように円は
買われていきます。
そして、円高になると日本の
株価は下がります。
毎年こうなるとは限りませんが、
この流れがあることだけでも
知っていると、無駄な損失は
抑えられるはずです。
■豆知識
原油はドルとしか交換できない!!
実はこのルールを破ろうとした
人物がいたのです。
その人物がイラクの
サダム・フセインだったのです。
米国は、9.11のテロの件もあり、
大量破壊兵器の所持を理由に、
イラクに侵攻しましたが、
本当の理由は、フセインが
自国で産出した石油を、
ドルを介せずに売ろうとしたことが、
米国がイラクに侵攻した原因
だともいわれています。
元々、なぜ原油がドルで!!
取引されるようになったのか?
それは第一次世界大戦後まで
遡ってお話をする必要があります。
第一次世界大戦は、主戦場は
ヨーロッパの国々でした。
当然、参加した国々は自国領内が
戦場になるわけですから、
武器や食糧も作れなくなります。
その時に、世界の工場と農場に
なったのが、戦場になっていない
米国なのです。
その第一次世界大戦で、
ヨーロッパの国々は、米国に
借金をして武器や食糧を調達しました。
戦後、米国はヨーロッパの国々の
筆頭債権者になります。
また、この戦争で米国国内は
産業が一気に発展して、
第2次産業革命を迎えるのです。
第2次産業革命が始まると、
米国内では油田の発見や開発が進み、
エネルギーは効率の良い石油へと
変わっていきます。
その当時、石油を掘削する技術を
開発した米国は、
その技術の国際的特許を取ります。
これにより、世界で石油を
取りだす時には、米国にお金が
落ちる図式が出来上がります。
さらに、世界の覇権を狙う米国は、
石油掘削技術と債権国としての立場を
利用して、原油はドルでしか交換でき
ないと宣言したのです。
このことが、のちにドルが
基軸通貨になっていくことを、
後押ししました。
以上が、基軸通貨になったドルと
原油の関係でした。
ドルと円、今後、この関係が
どうなっていくのか?
また、中国元が世界でいつ
流通するようになるのか?
そうなるとどうなる?
今のうちにあなたも考えておくと、
他の人より早くチャンスが
掴めるかもしれませんね。
今日の帝王学でした。










