ITA(インベスターズトラスト)銀聯(ユニオンペイ)による支払いが不可に | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

ケイマン諸島の保険プロバイダーITA(インベスターズトラスト)が提供する投資商品は、中国のIDを持った中国居住者に限り、中国で発行された銀聯(ユニオンペイ)デビットカードによる支払いが可能であったが、7月1日以降強化されている中国の人民元流出規制の影響なのか、一切使用できなくなったらしい。

 

ITAの提供する商品は、EVOLUTION、S&P500インデックスといった積立の商品のみならず、プラチナムやアクセスポートフォリオ、S&P500、フィックスドインカムなど、一括の投資商品においてもクレジットカードによる支払いが可能であるが、クレジットカードがあまり普及していない中国において、クレジットカードの代わりに銀聯(ユニオンペイ)のデビットカードを使用していた中国人にとっては、シリアスな問題である。

 

ITA(インベスターズトラスト)に関しては、今年になって、My ChoiceカードというプリペイVISAデビットカードと連動していたフレックスプランという一括の商品に、銀聯のみならずVISAやMASTERといったクレジットカードによる入金すらできなくなった。

フレックスプランは、クレジットカード決済により米ドル債権連動の銀行の定期預金口座のような商品に入金し、そこからMy Choiceカードにプリペイチャージが可能という、いわゆる資金移転をクレジットカードを使って行うことを目的とした商品であり、FATCAあたりの指摘があったのか、カードでの入金はできなくなってしまい、My Choiceカードにチャージするためには銀行から海外送金をするしか無くなってしまった。

 

特に今年7月1日以降の中国に於ける人民元の流出防止規制は大きな波紋を呼んでおり、かつては富裕層が銀聯カード(ユニオンペイ)を使用して億単位の生命保険料の支払いを香港に来てやっていたものも、最近では難しくなった。

 

中国人が銀聯(ユニオンペイ)カードでを海外で使用することによって、日本人の常識では考えられないような額の人民元を海外に移転させたいというニーズは、漠然とした日本円信奉に毒された日本人にはわかりにくいかもしれないが、富裕層を中心に中国では一般的に蔓延しており、マフィアのしのぎにもなっている地下銀行による送金と共に資金移転スキームの双璧を成している。

 

銀聯(ユニオンペイ)カードによる保険や金融商品の購入による中国国内から海外への資金移転は、今回のITA(インベスターズトラスト)による使用停止措置に限った話しではなく、香港の殆どの保険会社において既に制約されている。

 

地下銀行による中国国内から海外への送金に関しても、かつては香港と中国の合法的な両替商が窓口となりかなり自由に1日の送金範囲を超えた送金が行われていたが、最近では中国側香港側双方で取り締まりが厳しくなっており、マフィアルートに手数料を払って送金する場合でも、手数料が状況や額によって10%~30%もかかるようになっている。

 

日本にでは、相変わらず中国人が日本の不動産を購入するケースが増加しているようだが、購入時の資金を中国からどのように日本に持ってくるか?は大きな問題であるし、今後はさらに難しくなることが予想される。

 

日本の場合、OECDのCRS(Common Reporting Standard)普及によって海外の資産情報がガラス張りになることに怯えて海外へのキャピタルフライトの勢いは弱まっているように見受けられるが、中国の政府が現在行っているような資金流出規制を日本の政府も別の形でこの先行わないとは言いきれない。

 

如何なる手段であれ、動かせる手段があるうちに動かしておいた方が良いだろう。