一匹狼はどうか? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!


一匹狼ってのはどうなんだろう?


一匹狼ってのは、羊のように群れるやつよりは、格好いいし魅力的な感じがする。


あのゴルゴ13ことデューク東郷も一匹狼だ。


ある種のスペシャリストというのは、常に単独でキビキビ行動し、大勢でうだうだやってる連中よりも遙かに高い成果を上げる。


かつて私も、一匹狼に憧れてなろうとしたことが子供のころから何度もあるが、全て挫折した。


寂しがり屋の私には、所詮一匹狼は無理のようだ。


しかし、ビジネスの世界で一匹狼ってのは本当のところどうなんだろう?


実は、売る側(ビジネス提供者)と買う側(クライアント)のどちらの視点で見るかによってこの評価は180度変わってくる。


結論から言えば、売る側の論理では一匹狼が優れており、買う側の論理では一匹狼(に売られること)はリスキーだと言える。


能力の高い人ほど、他人に仕事や責任を任せるのを嫌う。


他人に任せたところで自分ほどは出来ないと言うことを知っているからだ。


折角時間と労力をかけて部下を育成したにも関わらず、簡単に裏切られたりあっさり辞められたりした経験に嫌気がさしている場合も多い。


実際のところ、圧倒的に能力が高い上司や経営者の元で働くのは楽ではない。


常に、見下げられているような、あるいはいくら頑張っても永久に認められることが無いような、無言・有言のプレッシャーのなかで仕事を続けることは部下としても並大抵ではない。


結果として、能力はあるが、組織を作れない一匹狼のビジネスパーソンが生まれてしまう。


しかし、ビジネスの世界で1人対多数の戦いは、一般的に勝ち目がない。


少数でも精鋭であれば、少数対圧倒的多数の戦いに勝機はある。


個人的には、一匹狼を組織化した少数精鋭の部隊というのが理想としている。


あのゴルゴ13ですら、一匹狼には違いないものの、プロジェクトによってはチームを組む場合もあるし、必要な道具を揃える際には、決まったプロのメカニックに相当な報酬を支払って用意させている。


つまり、完全にひとりで何でもやるわけでないのだ。


金融や投資の業界には、一匹狼が多いように感じる。


運用に関わる人が、孤独で地味な作業を強いられるが故に一匹狼化するというのはある。


投資戦略に関して軸がぶれないためには、チームでの共同作業や多数決のような民主的な体制をなるべく遠ざける方がよいという部分もある。


投資に関しては、運用者も販売者も、有能なひとほど凄く儲けるのが金融の世界の常識だが、それ故に報酬面でも他人とそれをシェアして合理的な組織を作ろうなどと考える人は少ない。


報酬をシェアしたくないというのが本音だろう。


お金の世界に生きる人たちは、お金に対してそれだけシビアなのだ。


日本の保険会社でも、多くの社員を雇っていても、営業上1人の顧客を複数のチームでサポートするという体制ではない。


ましてや海外のIFA(仲介ブローカー)経由で海外の投資商品を購入する場合など、そこにサポートチームが組織として存在することは希である。


大抵は、だれか1人が担当となる。


そして、その誰か1人が、そもそも一匹狼の人だった場合、どこかに行っちゃったら最後、コンタクトを失い難民化の恐れがある。


投資商品のビジネスは、「売ったもの勝ち」、「売り逃げ当然」なので、買う側はそういう理解と覚悟が必要だ。


特に、海外の投資商品を購入する場合や、投資目的で海外の不動産を購入するような場合には、さらなる注意が必要だと覚えておいて欲しい。


海外の投資商品を購入する上で、あなたが遭遇するであろうアドバイザー的な誰かは、言ってみれば「僻地の医者」のようなものだ。


医師の免許を持っていようがいまいが、病気になったらその医者しか頼るひとは居ない。


そして、海外のIFA(仲介ブローカー)は、その僻地の、病院というよりは診療所みたいなもの。


医師ひとりでやっている診療所もあれば、看護師がいる診療所もあるだろうが、その設備や規模は期待できない。


要するに、選択肢は非常に少ない。


そして、その少ない選択肢として存在する窓口の殆どが、最悪個人、または零細な組織であるということだ。


個人的には一匹狼は嫌いではない(自分がなれないにしても・・・)。


しかも一匹狼による少数精鋭部隊を理想としていながらも、それ故一匹狼がチームとしては機能しずらいという現実を知っているだけに、もし、自分が投資というものに関して誰かの世話になるとしたら、優秀な一匹狼に全てを依存することはできない。


自分が憧れるような一匹狼の意見が投資の判断の参考になることはあるが、投資そのものの管理運営に関しては小さくてもしっかりとしたチームか組織を持った会社でないと任せられない。


少なくとも看護師はいてほしいし、最低限の治療が受けられる設備も欲しい。


アフリカを旅行していて、予期せずいきなり外科手術が必要な病気を発症してしまったら、そのような選択肢は無いと思わなければならない。


しかし、投資はいつ発症するかわからない病気とは異なり計画的に行うことが可能だ。


であるにも関わらず、長期的な投資に関するサポートということをわざわざ無視して投資をやる必要がどこにあるのだろうか?


残念ながら、殆どの場合、個人としてのあなたの資産の保全や運用に関するサポートは、相手がどのような大きな組織を持っていようが、その取引の手数料を受け取る誰かひとりの手に握られているという現実がある。


投資の世界で最も優れた一匹狼は、その報酬を独り占めにできる能力をもった人間だ。


一匹狼ではなく、評価しうる優れた個人というのも投資の世界では殆ど存在しない。


一匹狼だが、他の一匹狼と報酬をシェアするチーム指向の一匹狼も希だ。


こう考えると、あなたの資産を長期的にチームで面倒見てくれる有能なアドバイザーやIFAというものに出会える可能性は極めて低いと言えよう。


その限られたチャンスの中で、極力難民化を回避する為には、自分が付き合うであろうIFA(投資ブローカー)が、如何に組織的に自分をサポートしてくれるのかを直接IFAとの接触の中で探るしかない。


少なくとも、同一の会社や組織の中でコンタクトが取れる担当者の名刺を3枚は持っておいた方がよいだろう。


複数の一匹狼に相談をすることだけはお勧めしない。


餌の取り合いに巻き込まれるだけだ。


もちろん餌はあなた自身。