クリスマスを待たずして、2013年12月23日にかのAK47設計者であるロシア人ミハイル・カラシニコフ氏が94歳でこの世を去った。
AK47小銃(アブトマット・カラシニコバ)は、同型のものが世界で最も多く生産された自動小銃として有名だ。
派生モデルやコピーを含めて1億丁以上ものAKが生産され、世界中の紛争地域で今も使用されている。
死去されたミハイル・カラシニコフ氏は、この「世界最強の殺人兵器」の開発者として歴史的な有名人となってしまったが、それはもちろん開発者であるカラシニコフ氏が望んだことではないだろう。
第二次大戦中は戦車の車長であった氏は、1941年10月にドイツ軍との戦闘で重傷を負い、後送される。この際、ドイツ軍が部隊の機械化と小火器の自動化で圧倒的な戦闘力を発揮したことに衝撃を受け、銃器設計の途を志した。
本人は後年「もし戦争がなかったら、農業労働を楽にする機械を作っていただろう。ドイツ人が私を銃器設計者の道に進ませた」と語っている。
また、現在流通しているAKタイプの半分以上はコピーであると言われており、その大半は中国製。ロシア製のAKは全体の中では20%に満たないと推測される。
製造が容易なAK47が、コピーされて世界中に広まり、それが多くの人の命を結果として奪っていることを発明者であるカラシニコフ氏自身も嘆いていたようだ。
実を言うとこのAK47という小銃は、ガンマニアの私にとってはあまり興味をそそらないというか、若干趣味に合わないというか、はっきり言えば好きになれない類のものだ。
軍事用の小銃として、その構造のシンプルさ、量産性、環境を選ばない作動耐久性、扱いやすさ、堅牢さなどどれをとっても抜群の性能を誇るこのAKシリーズは、その軍事用小銃としてのあまりの設計の良さが故に、世界中の紛争地域にばら撒かれ、多くの人の命を奪う結果となったが、そのデザインはあまりにも武骨で機能的で、現実的過ぎ、マニアの視点からは道具としての美しさを見出すことが難しい。
キャプテン中井さんのラスベガス「デザートシューティング・ツアー」でこのAKのセミオートバージョンを試射したが、7.62mm x 39というややずんぐりむっくりしたアモ(AMMO)は予想よりもコントロールしやすく、言われるほど命中精度も悪くは無かった。
100m~200m位なら、静止していれば確実にやられる感じだ。
ラスベガスに旅行に行かれる際には、ビクターバレーのランドバンキング視察ももちろん、機会があれば中井さんのデザートシューティング・ツアーにも参加してもらいたい。
http://www.desertshooting.com/
私がAK47が好きになれない主な理由は、その武骨なデザインにあると思う。
とにかく角張っていて、何かに引っかかりそうな感じがする。
とてもじゃないが、一緒にベッドに入って寝ようとは思わない。
しかし、AK47の近代化モデルであるAKM(アブトマット・カラシニコバ・モデルニジロバ二)を改造してレールシステム対応にしたPMC(民間軍事会社)仕様などはちょっとカッコいいと思える。
写真はGHKのAKMカスタム(ガスガン)。
好き嫌いや、歴史的に最も多くの人間を殺したであろう血塗られた歴史は別にして、AK47が優れた設計を持つ軍用銃であることは確かだ。
そして、その優れた道具を設計したカラシニコフ氏も、おそらく優れたエンジニアであったに違いない。
氏が開発したものが、「世界で最も多くの人を殺したであろう小銃」ではなく、「世界でも最も楽に作業ができる農機具」であったなら、幸せだったかもしれないが、それがAK47ほどに世界に広まることもなかったであろうし、カラシニコフ氏の名声が生まれることもなかったのかもしれない。
何か悲しい話だ。
あまり好きではないAK47だが、行きつけの「シカゴレジメンタルス」にロシア製で、削り出しレシーバーのⅡ型かⅢ型があれば、記念に無可動実銃でも購入することにしようかと思う。
http://www.regimentals.jp/index2.html
無可動実銃というのは、実銃の可動部や銃身などを切ったり溶接して動かなくした観賞用美術品のことだが、これもまた兵器の末路としてはかなり悲しい。