講談社の「モーニング」で連載中の東村アキコ原作コミック『主に泣いてます』がフジテレビでドラマ化されていますが、やっとのことでこれも(PPS影音で)観ることができました。
東村アキコの原作はモーニングでずっと愛読していますが、これがドラマ化されるという話を聞いたときには、技術的に可能なのか?ということについてかなり疑問を持っていました。
1)登場人物のキャラが立ち過ぎ 2)ギャグのレベルが度を越している 3)セリフの内容が一般人に理解不能レベルでしかも文字数多すぎ・・・などの理由からです。
実写版『エヴァンゲリオン』のほうが、CGなどを駆使すればまだ実現可能性が高いとすら思えるます。
つまり、『主に泣いてます』のドラマ版を最初から観なかった言い訳としては、「それほど期待していなかった」・・・と言う部分が残念ながら否めません。
ところが、実際にドラマを観てみて正直驚きを隠せませんでした。
面白いかどうかは別として、ある意味素晴らしい出来栄えです。
しかしながら、原作を読んでいない人がいきなりこのドラマを観たこと想定すると、殆どの人は「なんじゃこれは?」で終わってしまう確率が高いようにも思われます。
要は、マンガそのままなのです。
このドラマは、驚くほどに、再現が極めて困難と思われる原作の世界観を、なんと登場人物の外観イメージを含めて見事に再現しているところが評価できます。
真にあっぱれです。
原作の漫画を、コマ単位で実写でリアルに再現しようとした今回の試みは、今後のマンガを原作とするドラマ作成の歴史に新たな1ページを刻んだと言えるでしょう。
今回ドラマ初出演、初主演となった、美人過ぎて不幸な主人公「紺野泉」役の「菜々緒」は、好き嫌いで言えば木村文乃や瀧本美織と比べてそれほど好きなタイプではありませんが、「原作の絵に近い」という観点では見事なキャスティングです。
ツネちゃんもトキばあさんも風間トオルの仁先生も素晴らしいですが、なかでも卓越しているのが仁嫁(仁先生の本妻)を演じている安達祐実のキャスティングです。
このドラマの登場人物のなかで、ギャグ漫画として重要な役割を持っていて再現の困難なキャラクターは全員と言ってもいいですが、特に「トキばあ」と「仁嫁」は不可能に近いレベルです。
安達祐実が仁嫁とは・・・たまげました・・・が残念ながらハマリ役・・・いや安達祐実以外には考えられないと今となっては言える。
このドラマを観る方は、まず原作を読んでから(まだ続いていますが・・・)が良いと思います。
原作を読んで面白くない人は、ドラマを観ても面白くないでしょう。
そもそも原作のギャグそのものが、かなり世代を選ぶネタです。
泰葉の「フライデーチャイナタウン」のネタとかで笑えるのは、おそらく40代でも後半か?
演出を担当された方に敬意を表します。
自分であれば、このマンガをドラマ化しようという企画に対して、「これは無理です」「止めましょう」と絶対に言うでしょう。
「もし、どうしてもやらなければならないのであれば、好きにやらせてもらいますよ」・・・という半ば開き直って突き抜けたものを感じます。