エッセイ175「一万円の重み」
以上が僕の労働体験記である。短いもので半日、長いものは十カ月というありさまだった。家庭教師は契約打ち切りがなければもっと続いていただろう。
現在はアルバイトをしたり、再就職したりしようとは思わない。ストレスをかけるとまたそううつ病が悪化してしまうからである。精 神障害者年金をもらっているおかげで小遣いにはそう困らなかった。もちろん豪遊しているわけではなく、細々と毎日を過ごしている。親に借金をしたりもしているが、返済のめどが立っているからできるのである。
これらの仕事なりアルバイトなりを通して一万円を稼ぐことがいかに大変かということを実感した。母へお金をねだることはもうやめようと思っている。母も年金生活者で、そのお金で僕は三食食べさせてもらっているのだ。この環境に感謝せねばなるまい。
ちょっと無謀かもしれないが将来的には物書きで働けたら、と思っている。不況で本がなかなか売れない状態らしいが、僕は自己表現できるだけで嬉しいのである。
僕が書きたいのは純文学だが、マーケット的には瀕死の状態にあるらしく、エンターテインメントも書けるようになりたいと日夜努力をしている。
もう肉体労働できる年齢ではない。心身共に限界である。浅田次郎さんのように四十歳くらいまでに作家になれればと思っている。自分自身が楽しみである。