エッセイ151「父さん安らかに」 | あなたのココロ、治します。

エッセイ151「父さん安らかに」

 今年、父の七回忌があった。親戚は北海道が多い。父の弟たちはその日のたった数時間の式のために飛行機でわざわざ駆けつけてくれた。身内にはひどく厳しかったが、外面はよかった。公務員を退職して、退職金が出た。いくら出たのかは知らないが、そのお金を若い頃からお世話になっていた人たちに全部送ってしまった。義理堅い面がある。

 父は学生時代、ひどく貧乏だった。祖父がまともに働かなかったため祖母が家計をやりくりしていた。男ばかりの六人兄弟だった。次男だった父は大学へ行く金銭的余裕がなかったので、高校を卒業後、すぐ丁稚奉公をしたり、警察官になったりして働いた。稼いだお金で弟たちを大学に行かせた。

 自分が大学に行けなかったことで自分より能力の劣るキャリア組にどんどん追い越されていくのが不愉快でたまらなかったらしい。だから兄と僕を何が何でも大学を卒業させるという信念に燃えていた。僕が大学を辞めたいと何度もいったときには、「籍を置かせてもらえるだけ置いておけ」といった。実際、人より三年卒業が遅くなったが、私立の高い学費を払ってくれた。

 父は日曜大工が好きだった。バルコニーを家族みんなで手作りした。父がつくったものは数え上げればきりがない。僕が小さいときからかなづちの使い方や大工道具の使い方を教えられたので、父が亡くなって犬を飼うときも僕はひとりで犬舎をつくった。

 父には本当によくしてもらった。弊害も多かったが、今は父に感謝できると思う。子供ふたりを育て上げることの大変さを僕は経験することがないだろう。父さん、そんなにいらいらしないでゆっくりして下さいね。