エッセイ144「ホームセンター巡り」
僕はホームセンターが大好きです。ご存じですか? 日曜大工用品や日用雑貨などが売られているお店です。地方に行かないとないかもしれません。何が好きって店内の匂いが好きです。何の匂いかわかりません。そして広々とした店内。実は僕、ホームセンター好きが高じて就職活動中に受験して内定をもらっていました。
特許事務所にも受かっていたのでどちらにすべきか悩みましたが、ホームセンターは力仕事だから定年まで働けないだろうと思って特許事務所を選びました。あのときホームセンターを選んでいたら人生が変わっていたかもなあ、と想像してみたりもします。
僕は毎日のように通っています。何も買わないのです。なんとなくぶらぶらと歩いてみる。それで気分転換になるのです。一日一回は外出しようと心がけています。お金をかけずに外出するとなると、本屋かホームセンターしかありません。ゲームセンターなどもありませんし。バッティングセンターはありますね。でもあまり行きたいという気になりません。
ホームセンターの内定式は豪華でした。ホテルを借りきって立食パーティーでした。全員必ず芸をやることになっていました。僕はこれといって芸はありませんでしたが、円周率を三十桁くらい覚えています。これは兄が演劇をしていた時のセリフで、家で練習しているものですから自然に覚えてしまいました。三.一四一五九二六五三五八九七九三二三八四六二六四三です。会場で皆さんに引かれてしまいました(笑)。カラオケにでもしておけばよかったかなと思っています。
就職活動ではまずSPIを受けさせられました。その次は論文です。二店舗を視察し、意見、改良点を書けというものでした。僕は論文が得意なので余裕でクリアでした。三次試験は面接でした。なんと指定時間より五分ほど遅れてしまいました。水道橋で慣れているという安心があったのです。「来ないのかと思って帰ろうとしていたところだよ」といわれる。ひたすら平謝り。
面接で何をしゃべったのかは全く覚えていません。人事の方ふたりと僕ひとりでの面接でした。これも何とかパスして最終試験でした。千葉県にある本社に行きました。電車に乗るときにたまたまグリーン車の前で止まってしまって、なんとなくグリーン車で快適な旅をしてしまいました(笑)。交通費が支給されるとのことだったので一応「グリーン車の分は払ってもらえませんよね?」と聞いたら相手の女性も苦笑いしていました。
最終試験は社長との直接面接でした。新人全員と面接するなんていい社長だなあと思いました。社長に質問を三つ用意しておけ、といわれていたのでそのうちのひとつ「社長の素性を知りたいです」と言いました。そうすると「素性という言葉は卑しい人間に対して使う言葉だよ。もう一度大学で勉強してきてもらわないと困るな」といわれてしまいました。
あとで辞書を引いてみたのですが、そんなことは全く書いてありませんでした。面接は無事合格。その場で社長と握手しました。「きみは我が社の中でも変わった人材になるよ」といわれました。理系の人間が試験を受けに来るのは珍しかったのでしょう。
ずいぶんお金をかけて選抜していただいたので、お断りの電話をするときは申し訳ありませんでした。二年おきに転勤があるというのもマイナス面のひとつでした。僕は転勤無しで実家から通える仕事がしたかったのです。今でもホームセンターで働いている人をよく観察していますが、やはり大変そうです。仕事というのはみんな大変なのかもしれませんね。
特許事務所にも受かっていたのでどちらにすべきか悩みましたが、ホームセンターは力仕事だから定年まで働けないだろうと思って特許事務所を選びました。あのときホームセンターを選んでいたら人生が変わっていたかもなあ、と想像してみたりもします。
僕は毎日のように通っています。何も買わないのです。なんとなくぶらぶらと歩いてみる。それで気分転換になるのです。一日一回は外出しようと心がけています。お金をかけずに外出するとなると、本屋かホームセンターしかありません。ゲームセンターなどもありませんし。バッティングセンターはありますね。でもあまり行きたいという気になりません。
ホームセンターの内定式は豪華でした。ホテルを借りきって立食パーティーでした。全員必ず芸をやることになっていました。僕はこれといって芸はありませんでしたが、円周率を三十桁くらい覚えています。これは兄が演劇をしていた時のセリフで、家で練習しているものですから自然に覚えてしまいました。三.一四一五九二六五三五八九七九三二三八四六二六四三です。会場で皆さんに引かれてしまいました(笑)。カラオケにでもしておけばよかったかなと思っています。
就職活動ではまずSPIを受けさせられました。その次は論文です。二店舗を視察し、意見、改良点を書けというものでした。僕は論文が得意なので余裕でクリアでした。三次試験は面接でした。なんと指定時間より五分ほど遅れてしまいました。水道橋で慣れているという安心があったのです。「来ないのかと思って帰ろうとしていたところだよ」といわれる。ひたすら平謝り。
面接で何をしゃべったのかは全く覚えていません。人事の方ふたりと僕ひとりでの面接でした。これも何とかパスして最終試験でした。千葉県にある本社に行きました。電車に乗るときにたまたまグリーン車の前で止まってしまって、なんとなくグリーン車で快適な旅をしてしまいました(笑)。交通費が支給されるとのことだったので一応「グリーン車の分は払ってもらえませんよね?」と聞いたら相手の女性も苦笑いしていました。
最終試験は社長との直接面接でした。新人全員と面接するなんていい社長だなあと思いました。社長に質問を三つ用意しておけ、といわれていたのでそのうちのひとつ「社長の素性を知りたいです」と言いました。そうすると「素性という言葉は卑しい人間に対して使う言葉だよ。もう一度大学で勉強してきてもらわないと困るな」といわれてしまいました。
あとで辞書を引いてみたのですが、そんなことは全く書いてありませんでした。面接は無事合格。その場で社長と握手しました。「きみは我が社の中でも変わった人材になるよ」といわれました。理系の人間が試験を受けに来るのは珍しかったのでしょう。
ずいぶんお金をかけて選抜していただいたので、お断りの電話をするときは申し訳ありませんでした。二年おきに転勤があるというのもマイナス面のひとつでした。僕は転勤無しで実家から通える仕事がしたかったのです。今でもホームセンターで働いている人をよく観察していますが、やはり大変そうです。仕事というのはみんな大変なのかもしれませんね。