シナリオ13「おじさん」 | あなたのココロ、治します。

シナリオ13「おじさん」


○ 最終電車の中(夜)
   社内は座れない人がいるほど込んでい  
   る。
   松田祐介(45)がネクタイをゆるめ、 
   くたびれた様子で吊革につかまりなが 
   ら眠っている。
車内アナウンス「次は終点のコウノトリー、
コウノトリです。どなた様もお忘れ物のな
いようお願いいたします。」
  電車が停止し、人々がぞろぞろと電車  
  を降りていく。祐介は眠ったままでい
  る。車掌に起こされてやっと目を覚ま
  す。
祐介「はあー、いつの間にか終点だ。毎日毎
日小須田部長に怒られて、終電で帰るなんて人生
は嫌だねえ」

○ 翌日の最終電車(夜)
   いつものように祐介が眠りこけている。
   終点に着くと人々はぞろぞろと電車を 
   降り、祐介だけが取り残される。車掌
   は見回りに来ず、電車は祐介を乗せた
   まま走り出す。電車は明るい野原に停
   車する。祐介がやっと目を醒ます。
祐介「な、なんだーここは!」
車内アナウンス「最終終着駅、星のかけらー」
祐介「星のかけらなんて駅はきいたことがな
いぞ」
   祐介は電車をおそるおそる降りる。足
   下には光る物体が敷き詰められている。
   祐介はその一つを手にとってよくよく
   眺める。
祐介「これは、まさしく星のかけらなんじゃ
ないか?」
車掌「そうです。おみやげにひとつもって帰
ってはいかがですかな」
   そういって車掌が星のかけらを一つて
   にとって祐介のスーツのポケットに入
   れる。

○ 満員電車の中(朝)
   寝ていた祐介が目を醒ます。
祐介「な、なんでいつの間にか通勤電車の中
なんだっ。昨日の夢といい、今朝のこの様
といい、もう訳がわからんぞ」

○ 祐介の職場
   小須田部長(55)が祐介に嬉しそう  
   に近づく。
小須田部長「松田くん、今日のプレゼンテーションは素晴らしかったよ。君にあんな才能があ
るなんて。やればできるじゃないか」
祐介「は、はあ」
   祐介は首を傾げる。
祐介「おかしいなあ、いつもと同じことをし
ただけなのに」
  スーツのポケットがにわかに光を放つ。
  祐介はポケットの中を覗く。中には星
  のかけらが入っている。
祐介「昨日見たのは夢じゃなかったんだ!  
もしかして小須田部長に褒められたのもこのかけ
らのおかげ?」
   祐介のつぶやきに反応するようにかけ 
   らが光る。
祐介「このかけらさえあれば仕事がどんどん
できるようになるんだ。よし、今日も星の
かけら駅に行くぞ!」

○ 星のかけら駅(夜)
   車掌がどこからともなく祐介に歩み寄
   る。
車掌「今日もいらっしゃいましたか」
祐介「車掌さん、この星のかけらの威力がす
ごいんですよ。今日はいっぱいもらってい
っていいですか?」
車掌「もちろんですとも。この駅はあなたの
ようなうだつの上がらない人のためにある
のですから」
祐介「うだつの上がらない、か。こりゃ手厳
しいですな」
   そういいつつも祐介は嬉しげに笑って
いる。
祐介「これさえあれば明日あたりには課長補
佐くらいにはなれるかな」

○ 祐介の勤める会社内(朝)
   社員がよってたかって掲示板を見つめ
  ている。
社員A「あの松田が部長に大抜擢だってよ」
社員B「冴えないやつだったのに、最近めき
めき実力を付けていたからなあ」
小須田部長「松田くん、昇進おめでとう。い
や、これからは松田さんとお呼びしないと 
いかんかな」
   祐介、ニヤニヤして
祐介「私も小須田さんとお呼びしてよろしい 
のですね?」
小須田部長「もちろんだ。最近の君の仕事っ
 ぷりは素晴らしいよ」