王様と　白いトラの子

こんにちは!

お義母さんの童話

１６５作品目が完成しました!

最後まで読んで頂けると

嬉しいです。

では

「王様と　白いトラの子」

　むかし、むかし　遠い遠い国の小さな村のお話です。

ある村の山奥には、昔から、たくさんの動物たちが住んでいましたが、白いトラも住み着いていたので、村人たちは、その白いトラが、村や村人たちを守ってくれていると信じて……　春の山菜採りや秋のキノコや栗拾いに山に入った時に、うっかり、その白いトラを見かけてしまうと、誰もが、その場に座り込んで

「トラさま。私たちは、トラさまの御蔭で、何事もなく、平和に暮らしていますので有り難いことです。」

と言って、白いトラの姿が見えなくなるまで頭を下げていましたから、本当に、誰1人、1度として、クマやイノシシたちに襲われることは有りませんでした。

　ある秋の日のことでした。

宮殿に住んでいる新しい王様が、家来たちの弓矢の腕試しを見るために、たくさんの家来と一緒に山奥にやって来ると、家来たちに向かって、かぶっている王冠をピカピカ光らせながら

「きょう、1番大きなクマを仕留めた者に、褒美として、2人いる娘の中から1人を嫁がせてやるから、みんな頑張るんだぞ。分かったな。それじゃ、私は、宮殿で楽しめに待っているから、宮殿の門が閉まる 5時までに戻って来い。」

と言って、王様の嫌いの中で、1番年をとっているセンタルと、若い兄弟のマロとミロの家来が、王様の護衛に残ると、他の家来たちは、ワイワイガヤガヤ大騒ぎをしながら、てんてんばらばらに散らばって行きました。

そして

辺りが静かになった時にいきなり、王様の目の前を、ゆっくりと、白いトラが、ぬいぐるみのような丸々太った子トラと一緒に横切ったので、王様は、あわてて、まわりを見渡したのですが、家来は、老人のセンタルと、あとの2人は、春に宮殿に入ったばかりの兄弟で、兄弟たちにとっては、初めて狩りで、それも目の前で白いトラを見たので、ブルブル震えてしまい、兄のマロは、センタルの後ろに、弟のミロは、クヌギの木の後ろに隠れたので王様は兄弟たちに向かって

「なにを、ぼんやりしているんだ。さっさと追いかけて行って、子トラを生け捕りにして、私の目の前に連れて来るもんだ。」

と言ったので

マロが

「あの、王様、今、目の前を横切ったのは、クマでは、ありません。」

と言うと

王様は、腰に下げていた刀を抜いて、マロの首に刀を押し付けながら

「お前は私を誰だと思っているんだお前はよっぽど命が欲しくないんだな。」

と言ったので、兄弟たちはあわてて王様の前に、ひざまずくと

弟のミロが

「きょうはクマ狩りだと言われましたので、王様、兄さんを、どうか許して下さい。」

と言って、ブルブル震えながら2人は何度も何度も、地面に頭を、こすりつけて謝りました。

すると