「どう調子は?」

「存じ上げています」

「そう! 実はね、平沢さんにお話があるんだ!」

「私にでしょうか?」

「そう」

 それは『にいなな』を治す手術の事だった。

「好きな人を忘れない?」

「そう。好きな人を忘れない記憶をチューブで脳に入れるの。でもその間は麻酔が掛かっているから怖くないよ」

 梅田さんは私の背中に手を当てた。