Risa’s aqua-moon

Risa’s aqua-moon

水野理紗
声優*ナレーション*舞台
水月 秋
書きもの*シナリオ*小説


↓こちらから聴けます

よだかの星 朗読


久しぶりに、声をお届けする機会をもらいましたので、お知らせしますクローバー

平塚市が、文化芸術チャンネルというYouTubeチャンネルをつくっています。
そこに、家で楽しめる音楽や朗読動画が載せられるのですが、劇団として湘南テアトロ⭐︎デラルテにもお声かけいただいたのです。

主宰の朗読、「注文の多い料理店」「夢十夜」が既にアップされています。



女性の朗読動画も企画してくださり、私も参加する運びとなりました。


条件は、
自宅で、一人で、つくれるもの、です。

ですので、他のアーティストさんの動画では、
お一人の演奏もありますし、リモートで連弾などを合わせているものもあります。
楽しくなる音楽がたくさんありますので、ぜひそちらもお聴きくださいルンルン


さて、「よだかの星」の朗読ですが、
こちらは昨年末にプラネタリウムで朗読をした時に、平塚の造形作家で、長年お芝居を見にきてくださっているお友達の、中角泰子さんに絵を描いていただきました。

その時の絵を使わせていただけることになり、
また、プラネタリウムの星の写真も使うことをお願いしたところ快諾いただけたので、この動画をつくることにしました。

プラネタリウムでは、劇団のみんなそれぞれの、個性的な朗読劇を聴いていました。
あの楽しかった時のこと、
公演ができていた頃のことを思い出しながら、
改めて読んでみました。


iPadという強い味方のおかげで、
朗読原稿の準備
録音
映像編集
bgmづくり
動画編集
すべてが自宅でできます。

防音設備も録音用マイクもない状態でしたが、イヤホンのマイクで録れるのは助かりました。

いざ作り始めると、夢中になって、
時間を忘れていました。
やっぱり好きなことなのだなと思いました。
精進せねばと思い知ったことも事実ですが、
朗読は自由だ
と感じられました。


なにか表現して、形にしていきたいと、強く思います。
この気持ち、忘れたくないな…


3冊目です📗
例の如く、ネタバレがあるのでご注意ください!


伊坂さんの作品は、ゴールデンスランバーをきっかけに、(私にしては)かなりの数を読んでいました。
ハラハラドキドキしたり、胸が締め付けられたり、人物の想いに感動したり…
とにかく読後感が良い物語が多くて、伊坂さんの作品はとても好きです。


この『クジラアタマの王様』は、珍しい作風だなと思いました。
というのも、現実パートと夢パートとあるのですが、その夢パートはイラスト、台詞無しの漫画になっています。
しかもまるっきりファンタジー、ドラクエのような世界観なのです。
セリフも説明もないため、想像するしかありません。

現実では、相変わらず人たらしというか(笑)、魅力的な人物が出てきて、一見、凡庸に見える主人公は、その人たちに振り回されながらも、だんだん絆ができていきます。

現実パートと夢パートとの関係が最初はわからなくて戸惑いましたが、なるほど、現実の人物が夢の中で剣を携えて戦っているんだな、と理解していきます。予知夢のような役割もあり、これから現実で起こることを予感させます。

が、それで終わらないのがさすが伊坂さん。

現実と夢、そんな単純な話ではなかったのです。
あるところから、現実と夢が徐々に交差し、入れ替わる瞬間があり、あれ?おかしいな、と思わせます。
(こういう展開に弱い)
夢の中で今まで導き手かと思われていた「王様」が牙を剥き、現実では…新型の鳥インフルエンザウィルスが牙を剥くのです。

いずれも、鳥を模した脅威。
それぞれの世界で、主人公は危機に陥ります。

ここで、私は思わず、本の最後にある発行年月日を確かめました。
2019年7月、去年の夏…つまり、まだコロナウィルスのコの字も知らなかった頃に、この小説は出されています。
ですのでもちろん、書かれたのはもっと前ということになります。

え? どうして? 
伊坂さんはどうして「今」の状況がわかったの?

と、ぞくりとしました。

現実パートでの、新型ウィルスに対する人々の反応、差別、人権侵害、隔離…などなど。
ウィルスにかかること以上に、人々の恐怖が脅威であることを描いているのです。

もちろん、予言めいたことを書こうとされたわけではないでしょうし、題材として取り上げたのも偶然かと思います。
けれど、この鋭い視点に、伊坂さんが人間を描く天才であることを改めて納得させられました。


そして最後に、神頼みならぬ夢頼みではなく、
「今ここ」を変えるには、
「今ここ」にいる自分が頑張らないといけない、立ち向かわなければならない、と主人公が気づき、乗り越えていくという王道のクライマックスへ。
さわやかな読後感でした。



さて、2冊目です📘
ドラマや映画でひっぱりだこの池井戸潤さんの作品、『空飛ぶタイヤ』です。

家族がはまっているので、我が家の本棚には池井戸さんの本がかなりあります。
映像化された方を知っているけれど、原作としてちゃんと読んだのは、
私の場合、『七つの会議』くらいでした。
(こちらの原作も面白いです)

映画は、時間的制約がドラマよりも厳しいのは仕方がありません。
一度しか観ない人が多いという前提のもとで、原作を知らなくても一度でわかる認知の範囲におさめる。
しかも文字ではなく、耳で聴いてわかるようにするわけですから、シナリオ化はたいへんだと思います。
盛り上がりを際立たせるために、何を取り、何を捨てるかなども、きっとありますよね。

(本当は男性の役なのに女性になっていたり、という変更もありますが、それは画面の華やかさとかの問題なのかしら??キョロキョロ)

私は映画を観て、もっと知りたくなったり、気になったときに原作を読みます。
この『空飛ぶタイヤ』も、映画を観てからでした。

まず、原作の分厚さに驚き(笑)一瞬、手を出すか迷い、戸惑いながらもページをめくると…止まりませんでした。

池井戸さんの作品の特徴かと思いますが、主人公が見舞われる理不尽な状況がどんどん悪化して、とにかく辛い!
つらすぎて、途中、やめたくなりながらも、いや、ここでは終われないぞと思って、ページをめくります。
一瞬、救いの光が見えても、それはたいがい潰えてしまう…
それがわかっているだけに、主人公が「これさえ◯◯すれば…!」と希望的観測を抱くたびに、逆に読者は危機感を募らせます。

あ、これダメになるやつだ…と(´Д` )ガーン

そんなハラハラや苦しさを味わいながらも、どうしても気になって読み進めるわけです。


『空飛ぶタイヤ』は、三人の視点が交差します。
主人公は赤松ですが、映画ではそこまで詳しく描かれなかった銀行の井崎のことや、スマートな沢田が追い詰められて、具体的に最後に何をしたかなども小説では描かれているので、なるほどと納得できました。


そして、対する巨大組織の恐ろしいほどの腐敗!
とんでもない人がたくさん出てきます。
けれど、誰が見ても悪い!っという敵を、見事なまでにひっくり返すので、水戸黄門を観て育った私としては、スッキリして満足します笑い泣き

赤松の家族の話も出てきて面白いです。そちらもとんでもない理不尽な敵が出てくるので(笑)、理解不能な人間は身近に、そこかしこにいるという現実を思い起こさせます。

沢田の奥さんがとても素敵なのですが、映画では離婚したことになっていて、沢田の孤独がより強調されていました。
原作の中で、夫婦で話しているシーンにとても心に残った文章がありました。

「客観的には満足できても、主観的には物足りない。主観と客観が両立したとき夢は実現する。
あるいは、夢が実現したとき、主観と客観は両立している。そういうものではないだろうか」

見た目には夢を叶えたように見えても、自分が満足できていなければそれは夢を叶えたことにならない。
痛いけれど、その通りですね。


端的に、真実を。
さらりと伝えてくるのですから、小説はすごいです。

カタルシスを味わうには、もってこいの作品でした📘