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育ちゃんが亡くなる前の、育ちゃんと母との出会いの話です。
悲しいことに、あまりにも早く逝ってしまった為に前後してしまいましたが、せっかく綴ったので公開します。



こんにちは、こがね母です。

6月4日のことでした。
公園回りをしているとボラさんから連絡が入りました。

朝見慣れない子猫を見たよ。
お腹を空かせてたからパウチを2袋あげた。
耳カットしてあって人になれてたな~
今また見つけた場所に行ってみたけどいなかった。
ガリガリに痩せて足を怪我してるようだったんだけど。

毎度、毎度、毎度の事です。
人慣れしていて怪我をしていたのに、何で自分で何とかしないの?

出かかった言葉を飲み込みました。

猫は関わる人間により猫生を大きく左右されます。

出会った猫に自分は何が出来るのか?
何がしてあげられるのか?
考えても思ってもいないんですよね。
私が何年言い続けても、私に連絡して助けた気分、終わった気分になっているんです。

その日は午後から天気は下り坂でした。
聞いた場所を探してみましたが見つけられませんでした。

翌6月5日
主人と買い物をしていると携帯がなりました。
公園で給餌をしているHさんからです。

すまないね、新入り猫さんだよ。
ガリガリに痩せて足をけがしてるようなんだ。
どうしたらいい?
周囲に仲間のボラもいないし、弱っているからかカラスが狙ってるんだ。

昨日聞いた猫だ、と思いました。
駆けつけるのに30分程かかると伝えると、人に慣れてる猫だから引き止められる、と返事がありました。

分かりました、行きますと返し、買い物を中断、キャリーを持ってチャリで公園に向かいました。

公園に着くと遠目でも分かる程、痩せた猫がHさんの足元をスリスリしていました。
私が近寄っても逃げる様子もありません。
黒白猫で背中の黒い毛に白いものがたくさん混じっており、私はてっきり白髪だと思っていました。
捕まえ持ち上げた体の余りの軽さにまたか~と泣きそうになりました。

病院は昼休みに入っています。
帰宅しキャリーを開けると異様な臭さです。
弱っていてもこの異臭の子を診て貰うのには気が引けました。
それに足の傷も見あたりませんでしたから、まずはシャンプーする事にしました。

お湯の中でじっとして洗われています。
そんな中、娘が毛に混じる白いものをシラミではないかと言い出しました。
そしてシラミの卵と思われるそれを指でぷちゅっと潰し、シラミだと断言します。

猫には悪いのですが鳥肌がたちました。
二度も洗いましたが、ブラシをしても毛の中に隠れる様に潜むシラミは捕れません。

弱っているからシラミが付く。
これ以上の無理はさせられません。
体を拭いて乾かし、落ち着ついた頃ごはんを食べさせて病院へ連れて行きました。




診察台に乗せられてもおとなしくしていた彼女です。
私がシラミのことを尋ねると、医師は素早く採取し調べて、間違いなくハジラミというシラミだと言いました。

私は過去の経験から、医師に毛を刈るのか尋ねました。
しかし医師はまずはフロントラインをしようと言いました。

体重は2000g。
風邪の症状は無し。
足も異常なし。
まずは体力をつけて免疫力を上げること、2週間後にもう一度フロントラインをする方針になりました。

明日から雨だと言うのにこの子をどこに置くべきか悩みました。
入院も断られてしまいました。
シラミは移りますし、病院には入院している子達がいます。
病院では隔離が出来ない現状だと。

仕方ありません。
医師には入院患者を守る義務がありますから。

隔離できる場所
そんな時、Tさんが浮かび預かりのお願いをしてみました。

するとTさんは、丁度ひと部屋ありますし、病気の子ですから預りますと、困っている私と行き場のないこの子に快く手を差し伸べて下さいました。

この子を連れTさん宅へ向かうと、優しい笑顔のTさんが迎えてくれました。
この子の為の部屋には立派なゲージが用意されていました。
事情を話してこの子をお願いし、私は帰路に着きました。

彼女は我が家でも病院でもモリモリごはんを食べていましたから、容態が急変する等この時には思ってもいませんでした。

そして翌日曜日の昼前、TさんからLINEが入りました。

朝ごはんはちゃんと食べていました。
片付けようと部屋に行ったらゲージの中で倒れていて、今病院です。
体に凄い量のウジがいました。
手足が固くなって動かず、神経障害を起こしているそうです。
このままだと安楽死も視野にと言われました。
緊急入院です。

LINEを見た私は驚くと同時に保護した当時の彼女の不安げな顔が浮かびました。
病院に駆けつけようと思いましたが、既にTさんも帰宅して何かあれば病院から連絡を貰う事になっていると言われ、私も家で待機することになりました。
ただただ彼女の回復を願います。

一夜明け、月曜日にTさんと病院で待ち合わせ、面会と医師の話を聞く事にしました。

彼女はゲージの中で香箱座りをしていました。
下半身は毛を刈られ、シートにウジ虫が這っていました。
立ち上がって歩こうとし、そのまま倒れてしまいます。

医師曰く、昨日よりは僅かとは言え、回復傾向にあると言います。
だからと言って後遺症を残さずに回復出来るかは今の段階では不明、更に現状、飲食も出来ず強制給餌をしている状態だと。

この病院はTさんのかかりつけで、私も以前にお世話になったことがありました。
私は院長先生に私が保護主であること、保護した時の状況、そして最初の病院での処置を話ました。
それから、彼女を受け入れ、医療を施して下さった事にお礼を伝えました。

病院からの連絡もないままに日が経ち、私もTさんも彼女が生きる為に頑張っているんだと自身に言い聞かせ、ただひたすらに回復を願いました。

そして入院から5日目の木曜日に、前日から自力で食べる様になったので自宅で養生させてはと医師からの提案があり、とりあえずの退院となりました。
しかし我が家は未だ言ちゃんの隔離が続いていましたから、病院へは入院の延期をお願いするつもりでいました。

しかしTさんはそんな私を察して下さいました。

「私が彼女を看ます。
 こんなに弱っている子のお世話は初めてですが、彼女は生きようと頑張っている。
 私も一緒に頑張ります。
 どれだけ回復の手伝いが出来るか分かりませんが、出会った子ですから」

退院のお迎えも1人で行くとTさんは私に言ってくれました。
そしてこんな風に仰って下さいました。

「こがねさんは大変過ぎます。
 青ちゃんや言ちゃんがいて、毎日朝晩の給餌に公園回りに猫ちゃん達の通院。
 私に出来る事は私がやります。
 こがねさんの悲しみを私が少し負担で来たらと思います」

ありがたくて、ありがたくて、小さな子供の様に大声上げて泣きたい気持ちでした。


我が家は本当にいっぱいです。
協力してくれる預かりさんも既にもう皆さんにお願いをしているのでいません。

それでも
それでも助けを必要としている子を見捨てる事が私に出来るだろうか?

命を繋ぐために給餌を続けて来たのに

何処かで線引きをと忠告されます。
それを一番分かっているのは私自身です。

どうやれば心に線を引けるのか教えて下さい。


三毛猫あしあと黒猫あしあとオッドアイ猫

 

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