こんにちは、こがね母です。

以前娘が記事にしたとよちゃんとみよちゃんも地域猫公園でAさんに回って頂いていた餌場の子達です。

私が彼らを知った時、大きな木の下の植え込みの中にある各々のハウスで3匹仲良く生きていました。
そして間もなく3匹の中の1匹であるたまちゃんが亡くなっても、残されたラグドール柄のとよちゃんと黒白のみよちゃんは2匹で寄り添う様に生きていました。

お名前可愛いですよね。
でも2匹共男の子なんですよ。

とよちゃんは人には慣れていませんでした。
事ある毎に「シャー」の連続。
それでも、みよちゃんには優しかったですね。
とよちゃんにあげたごはんをみよちゃんが横からちゃっかり美味しいとこだけ食べても仕方ないな~、なんて思っていたのでしょうか。
優しい目をして見てました。


〈トヨちゃん(奥)とミヨちゃん(手前)〉


みよちゃんは人懐っこい子で、黒白模様なのが我が家の小鐵と重なるようでした。
Aさんの代わりに私が餌場を回ることもあったのですが、2匹で並んで首を長~くして待っててくれるんです。

今日はお母ちゃん(Aさん)のかわりで来たよ、ごはんだよー、と言うと、みよちゃんが駆け出し来て、次いでとよちゃんも真似する様に駆け出して来てくれていました。

こんなに待っててくれる。
それがこの上無く嬉しかった事を覚えています。


3匹の中ではとよちゃんが1番心配な存在でした。
換毛がうまくいっていなかったり、呼吸に違和感を覚えることもありました。
それに3匹を知っている人には、とよちゃんはエイズだから長生きはしないだろうと言われました。
(しかしこれは検査したわけではなく、憶測で言っていた事でした)

野良猫と呼ばれる猫達には二通りあるように思います。
1匹で逞しく生きる猫。
気の合う仲間と仲よく寄り添い、分け合い生きる猫。

とよちゃんとみよちゃんを見ていると強い絆で結ばれている様で、私自身ほのぼのとした優しい気持ちを抱いていました。


やがて季節は巡り、暑い夏がやって来ました。
みよちゃんが体調を崩して口からヨダレを流すようになり、食べられなくなりました。
そんなみよちゃんを心配して寄り添い、見つめるとよちゃん。

みよちゃんは遂に水さえ飲めなくなりました。

公園回りを始めて日も浅かった私にはどうしたら良いのか分からず、ただなす術も無く、心に張り裂けそうな痛みを感じるばかりでした。

公園はとあるNPO団体によって地域猫化され、そのNPO団体が猫に関する窓口になっていました。
しかしそのNPO団体の「保護愛護はしない」という方針を当時は知らなかった私は、NPOの方に何度も病院への搬送をお願いしました。

その時は窓口の方が個人の善意で保護を試みて下さったのですが、残念ながら失敗に終わり、みよちゃんは手の届かない場所へと逃げ込み、出て来てくれなくなりました。

暑い暑い夏です。
食べる事も水を飲む事も出来なくなったみよちゃん。
そんなみよちゃんの体を容赦なく照りつける太陽。
弱っていくみよちゃんの側には悲しげなとよちゃん。

「みよちゃん、おいで。
 ここにごはんとお水置いておくからね」

もはや手も願いも届かない。
私やAさんはきっと無駄なんだろうと思っても、そうせずにはいられませんでした。

そして忘れもしない8月の暑い日。
私は熱中症になり公園回りを休んで床に伏していました。

そこへ Aさんからのメールが届きました。
「みよちゃんが亡くなっていました。
 とよちゃんと過ごした木の下にあるハウスの中で」

涙で文字が滲んでいました。
何度も読み返し泣きました。

悔しいと
泣く事しか出来ない今の自分が。


みよちゃんを失ったとよちゃんは、毎日みよちゃんを探し回っていました。
辛い事も悲しい事もそして喜びも、たまちゃんを失ってからずっとずっと2匹で分け合い、寄り添って生きて来たのですから。

ひとり残されたとよちゃん。
とよちゃんのその姿を見る度に人間と何ら変わりがない事を私は知りました。

みよちゃんを探して探して、もうどこにも居ない事が分かるまで、一体どれ程の時が流れたでしょう。
痩せ細ったとよちゃん。

そんな中、とよちゃんは新しい餌場でやっと気の合う仲間を見つけることが出来ました。

黒猫のエクレア。
とよちゃんの新しい相棒です。
2匹で鼻を寄せ合い挨拶したりして、優しい時間がまたとよちゃんに巡って来ました。


〈トヨちゃんとエクレア〉


けれど残酷ですよね。
そんな時は永くは続きませんでした。

エクレアは体調を崩し、程なくして姿を隠しました。
とよちゃんの前から居なくなってしまったのです。

とよちゃんはもう探す事はしませんでした。
そして他の餌場に移ることもありませんでした。

とよちゃんはきっともう失う悲しみを繰り返したくなかったのだと思います。
最期は小屋の中で静かに亡くなっていました。


確かに私の心内は悲しみでいっぱいでした。
けれどとよちゃんはやっと探していた皆と会う事が出来るのだという思いもありました。

だから
「とよちゃん、皆と会えたかい」
そう呟いていました。


広い公園の片隅で、忘れられながらでも精一杯寄り添い生きてきた猫達。
何ひとつ恵まれていなくとも、優しさを忘れずに生きていた猫達に私は沢山の温もりを貰った様に思います。

私は病に侵された猫の保護に二度目は無い事を心しました。
食べられない以上、捕獲器は役にはたちません。
素手で捕獲するしか無いのです。
無傷で保護できる様になるまで随分な時間を要しました。

それでも今も、うるさいほど鼓動を早める心臓を鎮めながら、どうか無事に保護できますようにと祈り、頑張っています。

ただ後悔せぬよう。


三毛猫あしあと黒猫あしあとオッドアイ猫

 

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