生憎の雨模様で始まった今回の三連休。初日はワイフの買い物に付き合うなどしてノンビリと過ごしたが、二日目はどうやら好天に恵まれそうだ。普通にサイクリングも悪くないが、最近Youtubeでいくつか登山動画を見たこともあって久しぶりに山に登りたくなってきた。最近は持病の膝痛のせいで登山の機会が激減しており、昨年はなんと秋に息子と塔ノ岳に登った一回のみとなってしまった。そういえば2018年9月に天城山を縦走して以来、新たな百名山にも全然登っていない。現時点で登頂数は61座であり、このペースでは膝の不調も合わせて残念ながら100座を完登するのは難しそうだが、それでももう少し何とかしたいところだ。もちろん、ハードな山に登るのは難しいので比較的難易度の低い山を物色したところ、群馬県の赤城山であれば登山口の標高が高いため周回コースでも4時間はかからないようだ。なおかつ、この赤城山は自転車のヒルクライムレースが行われるほどロードバイク乗りにとってもお馴染みの山らしい。せっかくなので自転車を積んでいって、早朝から赤城山に登って下山後に一旦麓に下りてから自転車で再びヒルクライムにチャレンジすれば一粒で二度美味しいのでは、と一人で盛り上がる。我が家から登山口となる火口湖「大沼」の湖畔まではざっと180kmほどと、距離的にも手頃である。そうとなれば、例のごとく前夜に出発しようと準備を始める。今やお守り代わりに課金している登山天気アプリによると、午前9時の山頂の予想気温はマイナス7度。終日晴れ予報なので俄に信じがたいが、一応それなりに準備をするため2013年2月の赤岳登山以来、タンスの肥しとなっている厳冬期用のグローブやネックゲーター等を引っ張り出す。ただ、準備をしながらふと冷静に考えると、アルプスの山々と違って行動時間が短いので暗いうちに出発する必要はないことに気付く。登山口あたりも夜間はマイナス10度近くまで下がる可能性があるので、自転車も積載した狭い荷台での車中泊では快適に眠るのは難しいだろう。そう考えると、このまま家でしっかり眠って早朝に出発した方が良さそうな気がしてきたので、急遽ウイスキーを飲んで23時過ぎに就寝した。
そんなわけで、今朝は4時30分に起床。食パン半分をそのまま牛乳で流し込み、しっかりと薬を飲んで4時45分に自宅を出た。外気温は5度ほどと程々に冷え込む中、久しぶりの登山で興奮しているのかまったく眠気を感じることなく快調に進み、国立府中IC手前のコンビニでパンとコーヒーを購入してまずは中央道へ。ガソリン価格高騰の折、できるだけ急な加減速を避けて省エネ走行を心がける。関越道に入ってからも淡々と距離を稼ぎ、はるか彼方の谷川岳と思われる真っ白に染まった雪山を見て大いにテンションを上げつつ、休憩無しで渋川伊香保ICから一般道へ。この間の平均燃費はリッター約14km程と通常の倍近い高燃費を記録したことに気を良くし、登山口まで残り20kmほどをドライブする。かなり風が強いらしく、道路脇の木々が大きくしなっているのが気になる。そういえばここ群馬は上州からっ風や赤城おろしといった強風で有名であることを思い出しつつ、畜産試験場の交差点を左折。後ほど、このあたりからヒルクライムをスタートするつもりだが、標高を上げるに従ってどんどん気温は下がってあっという間に氷点下に。道路こそしっかり除雪されているが、山の斜面には残雪が目立ち始める。その後も面白いように温度が下がっていき、大沼手前の道路脇に設置された温度計にはマイナス8度と表示されていた。「こんなにクソ寒いのに自転車でヒルクライムとか無理なのでは」という考えが頭をよぎる。
7時30過ぎ、湖畔の駐車場に停車し暖房を効かせた車内から一歩外に出ると、さすがに身を切るような寒さだ。出来るだけ車内で着替えを済ませ、いよいよ出発するため本日持参した計4種類のグローブの中からもっとも分厚い厳冬期用を着用すると、使用するのが13年ぶりとあって親指側面の汗を拭うための吸水素材部が加水分解によってボロボロになっていた。
面倒なので、該当部の素材をすべて擦り落とす。幸い使用に支障はないが、事前にチェックしておくべきであったと反省する。結局、駐車場をスタートしたのは午前8時すぎとなった。ここから登山口まで大沼沿いの周遊道路を1kmほど歩く必要がある。しかし、ここがまた風が激しすぎて少し歩いただけで全身が一気に凍えてしまう。分厚いグローブの中でも、あっという間に指先の感覚が無くなっていく。青空をバックに中心部が凍結した大沼と赤城神社の写真を撮りたいところだが、とてもじゃないがグローブを外せる状況ではない。登山口でこのザマだと果たしてこの後どうなるかとやや不安になるが、少し進んで方角が変わり風がなくなると体感温度が上がり、すぐにグローブの中が汗ばんで湿ってくる。しばらく風は無さそうなので、登山口で中厚手のグローブに変更していよいよ登山道へ。数分も歩くと、あっという間に周囲には積雪が。
登山道にも固く凍結した雪が出てきたので、先行していた登山者数名がアイゼンを装着している所でこちらもザックからアイゼンを取り出す。そういえば最初に購入した軽アイゼンの樹脂製バンドが劣化によって千切れたことを思い出し、先程のグローブの件もあるので心配であったが幸い問題はなさそうだ。長期に渡る使用を考えると布製バンドのほうが耐久性は高そうだが、ラチェットでの締付けの便利さを思うとやはり樹脂製を選んでしまう。久しぶりのアイゼン歩行は、6本の爪が締まった雪を捉える感覚が何とも気持ち良い。やや斜度のキツいところもあるが、しっかりと爪を食い込ませてザクザクと登っていくのはいかにも雪山といった風情で気分が高揚する。樹林帯を少し登った先で稜線に達して景色が開け、眼下の大沼が一望できるポイントに。
ここからは一気に風が強くなり、体感温度も急激に下がっていく。それでも、久しぶりに目にする青空と樹氷が嬉しすぎて、グローブを外してスマホで夢中で撮影する。
当然、指先が悴むどころではなく、あっという間にに感覚がなくなって薬指や小指がもげそうになるので、慌ててグローブを着用。それでも、数歩歩く度に変化する景色が魅力的すぎて、頻繁に立ち止まっては周囲の景色を撮影しまくるので全然前に進まない。途中、数組の登山者を抜いてきたので、これだけ牛歩ではあっという間に追いつかれそうなものだが、後続の姿が全然見えないのは恐らくみんな景色を堪能しすぎてペースが上がらないのだろう。
縦走路と山頂との分岐からは緩やかな尾根道となる。樹氷のトンネルの中を歩くのは、控えめに言っても最高の気分だ。このあたりではかなり気温が上がってきたようで、それほど厳しい寒さを感じることはなくなってきた。
分岐からはすぐに山頂に到着。久しぶりの百名山登頂を果たして充実した気分に包まれる。コース的には寒さ以外は特に問題はないイージーなルートだが、それでもガラスの膝を抱えた今の自分にとってはそれなりに達成感があって嬉しい。
さらに進んだ先の絶景スポットから雪に覆われた周囲の山々を眺めるが、残念ながらこのあたりの山々には詳しくないのでまったく山座同定をすることが出来ない。しばし絶景を堪能した後、来た道を戻って再び山頂に。強風に煽られた木々から舞い散る樹氷が数少ない露出部である頬に当たって痛い。
この後は縦走路を歩いて駒ヶ岳へ。つい先週、自転車で近くを通過した筑波山も見えるらしいが、残念ながら遠景は靄がかかってはっきりと確認することはできない。気がつけば、両膝ともに若干の違和感を覚え始める。ここまで歩行時間自体は大したことはないが、序盤の寒さで神経を使ってそれなりに疲労感があり、先程自動車で登ってきた長いヒルクライムルートを自転車で再び登るのはやはりちょっと厳しいか、と考え始める。予想以上に素晴らしい雪景色でお腹いっぱいになったことだし、無理して膝を酷使するのも良くないだろう。今日のところはヒルクライムは取りやめた方が良さそうだ。どうも加齢とともにガッツが無くなっているような気もするが、やむを得ない。しかしながら、せっかく持ってきた自転車を無駄にするのも少し悔しい。何といっても、積載した自転車の重量分は間違いなく燃費も悪化しているはずだ。消費したガソリンを無駄にしないためにはどうすればよいのか、緩いアップダウンが続く縦走路を歩きつつ検討した結果、下山後に大沼の周囲を軽くサイクリングすればそれなりに楽しそうだし自転車を持ってきたことも無駄にならない、という結論に至る。そうなると、後は安全に下山するのみである。相変わらず風は強いものの、気温がかなり上昇しているのでウェアの中は少し汗ばんでくる。
下山中の登山道は半分以上は雪が溶けて土が露出しているが、一部滑りやすそうな氷が残っているのでアイゼンを外すタイミングを失ったまま、11時半に無事下山。駐車場に戻って満を持して上着のみサイクリング用ジャケットに着替え、登山靴をビンディングシューズに履き替える。周囲には僅かに観光客らしき姿も見えるが、この状況でロードバイクというのも若干場違いで気恥ずかしい。早速、大沼沿いの道路を走ってみる。それほどダイナミックに景色が変化する訳では無いが、それなりに爽快感はあって楽しい。ちょうど先程登ってきた赤城山がよく見えるところで記念写真を一枚。
今朝方、山全体を覆っていた樹氷もかなり溶けてしまった。12時15分、4kmほどの大沼一周が終了。次はもう少し暖かい時期に訪れ、ヒルクライムにチャレンジしてみたい。せっかく群馬まで来て帰宅するにはやや早すぎるようにも思うが、明るいうちに帰ることが出来れば高速道路の渋滞も回避できるだろう。昼食はせっかくなので地元名物でも、ということでソースかつをリサーチしてみるが、本場はやや遠い桐生あたりになるらしいので、次善の策として以前ワイフとの温泉旅行の際にも食べた「登利平」へ。数分待ってカウンター席に案内される。定番の鳥めし重を注文。
地元民に親しまれているだけあってまずまず美味しい。何より飲食店が軒並み大幅に値上げをする中、これぐらいの内容で約千円という価格は大変リーズナブルに思える。すっかり満足し、前橋ICから関越道に。特に渋滞することもなく順調に走って17時過ぎ、無事に帰宅した。本日の走行距離は約380km。早朝からこれだけ走り回っても先週走った400kmブルベの走行距離に達していないと思うと、あらためて自転車ごときでアホみたいな長距離を走るブルベの異常さに戦慄せざるを得ない。










