本日は先週に続いてブルベに参加するため、4時15分に起床した。ベッドの周辺に猫の姿が見当たらないことを不審に思いながら階下に降りて真っ暗なリビングの電気を点けると、なぜかその猫がダイニングテーブルに身を乗り出して礼儀正しく餌を待っていたので、仕方なく餌やりを済ませてから準備をする。天気予報は終日快晴、かつ昼間の気温がかなり上昇するらしいのでインナーには防風機能のない薄手のものを選択し、4時40分に家を出た。
今回は300㎞とはいえ比較的平坦なコースで楽に走ることができるので参加者もさぞ多かろう、と思いきや意外と少なく30名程度だろうか。先週のブルベでの爆風はまだ記憶に新しく霞ヶ浦沿いの風向きが大いに気になるところだが、ブリーフィングでの「今日は風もなく走りやすいのでは」という言葉に勇気をもらって6時少し前にスタート。まずは数台のトレインで、中原街道を都心に向けて進む。気温は4度前後、指先が少し冷える以外はそれほど寒さは感じない。高輪ゲートウェイのビル群を横目に新橋、銀座を順調に通過。初めてブルベで早朝の閑散とした銀座を通った際には物珍しさで大いに興奮したものだが、何度も繰り返すうちにすっかり慣れてしまった。京橋の交差点を右折してからもお馴染みのルートを走る。早くも全身が汗ばんでくる中、行徳橋を通過して木下街道へ。いつも混み合う道だが、本日は中山競馬場の開催日らしく各所に警備員が配されて早くも渋滞気味である。踏切毎に渋滞が発生し、道幅が狭すぎて路肩をすり抜けることもできないので、ある程度は我慢するしかない。普段のサイクリングであればこっそり歩道を走行するところだが、目立つ反射ベストを着用しているブルベ中は極力交通法規を守りたい。4月からの道交法改正で、歩道走行がどこまで厳しく取り締まられるかも気になるところではある。
白石市に入り、ようやく車の流れがスムーズになって程々のペースで走る。新利根川にたどり着き、気持ちの良い青空の下でひたすら霞ヶ浦を目指すが、予報通り気温がどんどん上昇してあっという間に汗塗れになってしまう。
残念ながら分厚い冬用ジャケットを脱ぐわけにもいかないので、反射ベストとジャケットのジッパーを最大限に開放して風を取り入れ、何とか身体を冷やすよう努める。11時前、最初のPCであるコンビニに到着。中途半端な時間だが、猛烈に空腹なので昼食用にカツ丼を購入。容器は最近よくある上のトレーに乗った具をスライドして、下のライス部に投下するという仕組みだ。これは面倒、と少しうんざりしつつ上のトレーを持ち上げたところ、下部のライスが異常に少なくて驚く。その厚みは1cm強程度だろうか、しかも四角い容器の隅まで敷き詰められていないため、見た感じは小さな茶碗一杯ぐらいの分量でとても丼という名に相応しいとは思えない。いくらなんでもこれはおかしいのでは、と考え店内に戻って店員さんに「ご飯少ないんですけど」とクレームを言いそうになるが、冷静に考えれば50歳も半ばを過ぎた大人の行動として相応しいかどうか微妙なところなので、ここは断腸の思いで我慢して食べることにした。あらためて見るカツ丼は、立派な容器の高さに対して具、ライスを合わせた高さは半分程度と見た目が非常に寂しい。我が国の農政の歪みがこんな最果ての地である霞ヶ浦にまでおよんでいるのか、となんとも物悲しい気持ちになりながらあっという間に食べ終わってしまった。ただ、いざ食べてみるとだしの風味が効いてまずまず美味しいのが救いか。結局、食べ終わっても腹六分目ぐらいと物足りないが、仕方なくそのままスタート。気温はさらに上昇し、サイコンの表記では17度を超えている。あまりの暑さに手袋を脱いで素手でハンドルを握ってみる。ロードバイクを購入して以来、サイクリング中は常に手のひらに厚いパッドを備えたグローブを着用してきたので素手で走るのは初めてだが、特に問題はなく身体中の熱気を逃してくれて具合がいい。霞ヶ浦東岸のサイクリングロードはやや向かい風で時速20km台後半ぐらいしか出せないが、先週の爆風に比べるとそよ風みたいなものである。
サイクリングロードから眺める霞ヶ浦には、恐ろしいぐらい大量の鴨が気持ちよさそうに浮かんでいる。いかに巨大な湖とはいえさすがにキャパをオーバーしているような気がして、食用にすれば果たしてどれだけの人数の胃袋が満たされるか、などと考えながら次のPCであるコンビニには13時前に到着。二時間近く走って早くも空腹を覚えたのでファミマチキンとバンズを購入、ファミチキバーガーとしていただく。先程のカツ丼さえまともな分量であれば、このタイミングでの補給は必要なかったのだが…。ここから次のPCまでは20kmほど。湖岸のサイクリングロードは結構な向かい風となるところもあって中々ペースを上げることはできないが、とにかく天気が良いので焦らずのんびり走ることを心がける。
14時前、次のPCとなる「かすみキッチン」に到着。店内には色々と美味しそうなメニューが並ぶが、先程のファミチキバーガーでほぼ満腹状態なので食べることができない。ここでもカツ丼の呪いが影を落とすことになった。
気を取り直して出発。相変わらず風向きは複雑でどちらから吹いているのかよくわからない。15時ちょうど、次のPCとなるコンビニに。ブルベ参加者数名が休息する中、エナジーゼリーを補給し5分ほどで再びスタート。次のPCまでは30kmほどあるが、やや追い風気味なのかスピードに乗って気持ちよく走る。16時半、最後のPC到着となる往路と同じコンビニに。夕食には少し早いので、シュークリームとエナジードリンクを購入。参加者の方々と少し話をしながらゆっくりと休憩する。残りは100km、平坦なコースだけあってまだ疲労はそれほどでもない。満を持して出発し、少し走った先ではちょうどレンコン畑の向こうに夕日が沈むところであった。
綺麗な夕焼けを反射した水面が濃いオレンジ色に染まって実に美しい。そのまま新利根川沿いの長い河川敷サイクリングロードを走っていると、川面と空がそのオレンジ色から刻々と夕闇に包まれて紫に染められていく。
時間には十分余裕があるので、ダイナミックに変化する景色を楽しみながら淡々と走る。夕食には以前からブルベ中に通りがかるたびに立ち寄ってみたいと考えていた東鎌ケ谷の「ゆで太郎」に。普段の仕事中、都内でいくらでも食べることはできるが、ブルベの最中に立ち寄るというのも立ち食いそば好きにとっては特別感があっていい。ただ、食券を購入して待っていても中々番号を呼ばれない。店内はそれほど混み合っているわけではないが、明らかに従業員の数が足りていない印象だ。図らずも、業種を問わず人手不足が著しい現代日本の病巣が浮き彫りになった形だが、こちらとしては待ち時間が10分を超えるとイライラせざるを得ない。結局、15分近く待たされてようやく番号を呼ばれた。
お味の方はいつものゆで太郎としか言いようがなく、至って普通。さっさと平らげて、あとはゴールを目指すのみ。サイコンのナビを見ずともお馴染みとなった往路と同じルートを辿る。距離と時間を確認しつつ、300㎞ブルベで初の16時間切りもあるかと計算したが、都心に入るとやはり信号峠はいかんともし難く頻繁にストップアンドゴーを余儀なくされる。銀座を通過したのは21時15分。
中央通りでも激しく信号に引っかかり、新橋を過ぎてもそれは変わらない。現在のペースと残り時間を逆算した結果、高輪ゲートウェイ前あたりで22時前のゴールは難しそうだと判断し、後はのんびりと走る。結局、ゴールとなる田園調布のコンビニには22時7分に到着。先程のゆで太郎で段取り良くお蕎麦を供されていればと思わないでもないが、そもそもブルベとは時間を競うものではないので気にしすぎるのも良くないだろう。今年初の300㎞は、二年前と比べると風も穏やかで走りやすく、楽しいブルベとなった。来週以降の開催スケジュールも睨みつつ、今年はできるだけ沢山のブルベに出走して引き続き脚力の向上に努めたい。






