本日は、AJたまがわという主催団体のブルベに初めて参加することにした。ちょうど昨年のこの時期、花見がてら夕暮れ時の多摩川サイクリングロードを走っていると、すぐ下の一般道を反射ベストを着用したサイクリストが疾走していたので帰宅後に調べたところ、同団体の主催する「定峰200」というブルベであった。メーンの目的地である定峰峠は、サイクリストに人気のヒルクライムスポットなのでぜひ一度訪れてみたいところだが、我が家からはちょっと遠いため輪行でもしないと難しいかと考えていた。ブルベのコースに組み込まれていればモチベーションが上がってちょうど良いので、参加することにした次第である。普段、平坦なブルベを好む身にとっては4つの峠を越えるややハードなルートだが、何とか制限時間内に完走したい。途中で通過する秩父あたりはわらじカツ丼が名物らしいので、時間に余裕があれば味わってみよう。
スタート地点は二子玉川駅近くの多摩川河川敷で、いつものランドヌ東京主催分の等々力アリーナより少しだけ我が家からは近い。ただそれなりに賑わう駅なので、迂闊に駅近のコインパーキングに駐車すると大変高額な請求となる恐れがある。タイムズの駐車場検索で調べたところ、24時間最大料金が2000円を超えるのはざらで、中には3000円を超えるところも。ここはできるだけ節約したいので、多摩川を渡る手前まで捜索範囲を広げて1000円程度とリーズナブルなパーキングをいくつかチェックし、そこが空車であることを願って5時半過ぎに家を出た。
今朝の246号線はやたらと赤信号に引っかかり、全信号の8割近くで停車を余儀なくされているような印象だ。それでなくとも我が愛車の燃費は7km/L程度と路面にガソリンを撒き散らしながら走っているようなものなのに、加減速というもっとも燃費に悪影響を与える行為を頻繁に強要されるとイライラが募らざるを得ない。地域の大動脈たる246号線を通過する膨大な数の車両が、程度の差こそあれ同じくガソリンを無駄に消費していると考えると、不安定な中東情勢で原油の供給に先行き不透明感が増す中で行政ももう少しスムーズな交通が実現するよう信号のタイミングを調整すべきではないか、とどうでもいいことばかりが頭に浮かぶ。それでも、ようやくたどり着いた目当てのパーキングが空車であることに気を良くし、準備を済ませて出発。ペダルを漕ぐこと約5分で集合場所に到着した。まだ早めの時間であるせいか、参加者の姿はまばらである。受付を済ませるとやることがないので、適当に周囲を眺めて時間を潰す。
やがて、三々五々参加者が集まってきた。この「定峰200」は歴史も長く人気のブルベらしく、本日は6時と7時の二手に別れてスタートすることになる。睡眠時間の確保を優先して7時スタートにしたが、それでも参加者数は40名近いようだ。顔見知りの方なども多いようで、皆さん楽しそうに会話に興じている。担当者によるブリーフィングと車検が終了し、7時少し前にスタート。たまたま一人でのタイミングとなったので、しばらくは単独走行となる。裏起毛の長袖ジャージ一枚という服装は、やや肌寒い今のところは丁度よい感じだが、午後から気温が上がってくるとかなり暑くなりそうだ。多摩川沿いの桜は8分咲き程度だが、本数が多く中々見応えがある。国立あたりでルートは多摩川沿いを離れて新奥多摩街道へ。ブルベ参加者数台の短いトレインの中、まずまずのペースで進む。福生市からは奥多摩街道に入り、二週間前の400kmブルベ終盤に走ったルートを遡る。前回は夜中の走行で周囲の景色を見ることは出来なかったが、本日は道路沿いに咲く桜を眺めながらなので気持ちが良い。最初のPCとなるコンビニには9時過ぎに到着。多くのブルベ参加者で賑わう中、ドリンクと小さな菓子パンを購入して脚を休める。この後、まずは二つの峠を越えなければならない。このところ、ヤビツ峠や都民の森といったまとまったヒルクライムとはご無沙汰なので、ちょっと不安ではある。スタートしてしばらく走った先、立派な枝垂れ桜があったので思わず脚を止めて一枚。
最初の山王峠は距離、標高ともにコンパクトな峠だが、急激に上昇する気温で発汗が凄まじい。例のごとく他のブルベ参加者に鮮やかに抜かれながらも何とか辿り着いた。
少し息を整え、いよいよ最初の山場である山伏峠へ。短めのダウンヒルを経て長い上りに取り掛かる。九十九折のルートをひたすらインナーローで這い上がる横を、一般のサイクリストやブルベ参加者が次々と追い抜いていく。もはやヒルクライムで人並みのスピードを維持するのはほぼ不可能と悟りを開いているので、全身汗まみれになりながら心を無にして黙々とペダルを踏む。11時すぎ、ようやく山伏峠に到着した。
ここから次のPCまでは長いダウンヒルになる。スピードの出しすぎにだけは気を付けながら、延々と下り続ける。ほんの数週間前なら極寒の地獄であっただろうが、本日は汗まみれのジャージが一気に冷やされて火照った身体に心地よい。ここまで峠の上りではかなり時間を消費したが、それでも1時間ほど貯金が積み上がっているので、予定通りわらじカツ丼にチャレンジすべくPC手前の道の駅へ。この手の食堂であれば、全身汗まみれの暑苦しいサイクリストでもそれほど目立たないだろう。とりあえず一番人気らしいざるそばとのセットを注文。
わらじカツ丼といっても要するにキャベツがないソースカツ丼的な雰囲気だが、それなりに美味しい。メニューを見たところ、豚みそ丼なるものも当地の名物らしいので、次回は地元の人気店なども訪ねてみたいところだ。満ち足りた気分で道の駅を出て、すぐ先のコンビニへ。本日二つ目のPCとなるここで貯金は30分ほど。このあと定峰峠の上りで恐らく借金生活になるはずだが、後半の平坦部分で取り返せるだろう。しばらくは緩やかな上りなので、沿道の桜を楽しみながらのんびりと進む。
やがて本格的にヒルクライムになり、前を行くブルベ参加者がかなり遅めのペースなのでしばらくついて行く。しかし、こちらよりやや遅いので、遠慮がちに追い抜くことに。苦手なヒルクライムで他のサイクリストを抜くというのもかなりの珍事でなのでちょっと嬉しいような気もするが、ペースを見る限りこの方も知らずに心臓がサルコイドーシスに侵されている可能性もありそうなのでアドバイスするべきか逡巡したが、単なる体調不良という可能性も捨てきれないので止めておいた。路肩の表示では峠までの残り距離をカウントダウンしているが、ペースが遅過ぎでその数字が全然が減らない。13時30分、ようやく定峰峠に。峠攻略記事などでよく目にする茶屋を初めて目にして、少し感動する。
といっても、やはりこの時点でほぼ貯金はゼロ状態。時間内に完走するためには、あまりのんびりとはしていられない。再び長いダウンヒルになり、途中少しだけ眺めのいい場所で記念に一枚。こうしてみると、結構上ってきたものだと我ながら感心してしまう。辛いことの多すぎるヒルクライムだが、上り終えてみるとやはりそれなりに楽しいものである。
ダウンヒルを終えて少し進んだ先の道の駅が次のPCだ。色々な食べ物が販売されているが、特に空腹でもないのでエナジードリンクでも買おうと併設されているお店に入る。すると、どうやらここはJAによる農産品販売所的な店らしく、エナジードリンクの類は全く売っていない。ならばこの後の補給用にプロテインバーでもと考えたが、その手のもの一切見当たらない。証憑としてここでのレシートが必要になるというのに、本当に買うものがなくて途方に暮れる。結局、嵩張らずに軽くて安価、ということでレジ前で目についた九条ネギの種を購入。まさかブルベの最中に野菜の種を買うことになるとは思わなかったが、ちょうど空いているプランターがあるので久しぶりに育ててみよう。最後のまとまった峠となる松郷峠も、距離は短いもののそれなりに勾配はきつく、大汗を掻きつつ何とか上り終えた。
もう後は大きな上りはないはず、と思いきや飯能市や入間市あたりでは勾配こそ緩いもののダラダラと長い上りがあって辟易する。それでも、少しずつ貯金は積み上がっていき、16時45分最後のPCに到着した時点では約1時間ほどになった。残りは60km、大きなトラブルがなければ時間内に完走はできるだろう。最後はやや向かい風に苦しめられたが、すっかり日が暮れた19時12分、無事にゴールすることが出来た。ゴール受付の周囲では、顔見知りらしき参加者の皆様がお菓子とジュースを囲んで談笑するなど和やかなムードである。終わってみれば、この時期に綺麗な桜を眺めながら峠を上るのは風情があって悪くなく、そこそこ登って良いトレーニングにもなるので可能であれば来年もぜひ参加してみたい。








