年始にブログ書くぞ、といっておいて、全く書いていません。。。ダメですね。
正直にいうと、なにから手をつけて良いのか、迷っていたところもあります。
が、このニュースには、ブルーになったのと、怒りが込み上げてきたのとで、書かざるを得ない気持ちになりました。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19235320110127?rpc=122
[東京 27日 ロイター] スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けをAAからAA─に引き下げた。アウトルックは安定的。外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付けはA─1+に据え置いた。
S&Pによると、格下げは、日本の政府債務比率がさらに悪化するとの見方を反映している。S&Pでは日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下すると予想している。
日本の債務比率はすでに格付け先ソブリンの中で最も高いレンジにあるが、さらに、S&Pが世界的な景気後退以前に予想していた水準を上回る水準まで上昇し、2020年代半ばまで下降に転じないとみている。なかでも、一般政府財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2010年度の概算値である9.1%から、2013年度には8.0%へと若干の低下にとどまると予想している。中期的には、大規模な財政再建策が実施されない限り、2020年より前に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡は達成できないと予測している。
長引くデフレも日本の債務問題をさらに深刻化させている。物価の下落は1992年以降の日本のGDPの推移と一致しており、名目ベースで経済規模が同年以降変わっていないことを意味する。加えて、急速な高齢化が日本の財政・経済見通しを悪化させている。社会保障関連費は国の2011年予算案の31%を占めており、2004年度の社会保障制度改革を上回る規模の改革を実施しなければ、この比率は上昇する見通しである。生産年齢人口の高齢化と減少を踏まえ、S&Pでは日本の中期的な成長率を約1%と予測している。
S&Pは民主党
率いる連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けていると考えている。また、政府は2011年に社会保障制度と消費税率を含む税制の見直しを行うとしているが、これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低いと考えている。国債発行額の承認を含めた2011年度予算案と関連法案が国会の承認を得られない可能性さえあるとみている。したがって、国内には引き続き国債に対する強い需要があり、それに対応して超低金利環境が続いているものの、日本の財政の柔軟性はさらに低下すると予想している。
とはいえ、日本のソブリン格付けは、高水準の対外純資産残高と比較的強固な金融システム、多様化された経済によりAA─の水準で下支えされている。加えて、日本円は世界の主要準備通貨である。
日本の2010年末の対外純資産残高は、概算で経常取引受取額の254%と世界最大。また、外貨・金の準備高は1兆ドルを超え、中国に次いで世界第2位である。加えて、金融部門と企業部門と家計部門をあわせた非金融民間部門も対外純債権者である。S&Pでは経常黒字が続いていることから、対外純資産は今後数年さらに増加するとみている。
厳しい財政状況と経済成長見通しの弱さを、高水準の対外純資産と円の国際通貨としての役割によってもたらされる柔軟性に照らし合わせて考慮し、アウトルックは安定的とした。2000年代前半のように政府が財政再建と成長見通しの改善に向けた施策を実行できれば、格上げを検討する。一方、S&Pが日本の財政見通しを再び引き下げた場合には、格付けへの下方圧力が再度強まるとしている。
(ロイター日本語ニュース 片山 直幸記者)
<リンク切れに備えて全文引用です。>
マーケットの反応は、というと、さすがにニュースが流れた直後は反応したものの、すぐに落ち着きを見せたため、現時点でも大きなインパクトのある動きにはなっていないようです。
識者のコメントなどをYahooニュースなどから追いかけても、当面の市場への大きなインパクトはないと思います。
でも、これに危機感を持たないようでは、現状認識が全くもって甘いとしか言えないのではないだろうか。
中には、三橋貴明氏のように、
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/day-20110129.html
「さて、S&Pの日本国債格下げが話題になっていますが、正直、個人的にはどうでもいいニュースですので、昨日は取り上げませんでした。何しろ、「格付け」とは「債務不履行」の確率です。100%日本円建ての国債が「デフォルト(債務不履行)」になることはありえない上に、日本の場合は相変わらず銀行の貸出残高が減少しており、国内の預金超過が拡大しています。」(以上、引用)
とまで言われると、「大丈夫か?」と思ってしまう。
頭がいいことで「基本のキ」を忘れてしまった典型のように思います。
国債は金融市場の中でも、基礎的かつ規模的にも相当な大きさの市場を有しています。
世界には幾万もの債券が発行されているため、それらの基本的な信用力を図るために、格付という仕組みが発達しました。
「民間会社に何の権利があって」という文句もつけたくなるとは思いますが、而して一定程度の有用性や利便性、説得性があって、国際的にも通用し、重用されてきた制度でもあります。
三橋氏がいうように、格付け=債務不履行の確率を記号化したもの、であるのですが、それはつまるところ「信用力」を格付けしていることに他ならないわけです。
デフォルトすることがあり得ない(わたしにはその点にも異論があるのですが、とりあえず)ということを前提にしても、デフォルトするかもしれないという「疑義」が反映しているわけです。
そして、その疑義は必ずしも真実でなくともよく、金融論的には「不確実性すなわちリスク」であるので、格付けに反映されるべきものということになるでしょう。
私が上に書いた「基本のキ」はここにあります。
金融とは、つまるところ、信用の供与に尽きるわけです。
その「信用」に疑義がつくことの恐ろしさを、全く理解されていないのではないかと思います。
日本が日本国内だけで経済運営しているのであれば、それでも良いでしょう。でも、残念ながらそうではないのです。
国債が発行できることと、発行された国債がどのように流通過程で評価されるか、は同じではないわけすが、流通過程の評価は、最終的に利回りとして表示され、発行利率として跳ねかえってくることでしょう。
そして一定程度の格下げののちは、もはや投資基準として保有できなくなるリスクが生じてしまう恐れもあります。
三橋氏は直接は言っていないですが、「預金じゃぶじゃぶ」+「貸出現象」=「国債買い余力あり」ということを考えているように読めました。
しかし、お金があっても自己資本比率規制などの結果、買うことのできない資産もあり、格下げ如何では購入困難になることもあり得ます。
銀行の規制を緩和すればいい、という考え方もありますが、その場合には、ドル資金の調達などの面で国内外格差がついた「ジャパン・プレミアム」の再来も懸念のうちに入ります。
いずれにしても、国内で賄っているから国債はまだまだ発行できる、などといった「たわごと」に浸かっていると、「失って初めてわかる信用の大切さ」という、サラ金地獄にいる多重債務者と変わらない、ということになりかねません。
ゆえに、ブルーになり、怒りがわいてきたというわけです。