とても気になるのだけれど、声をかけるにははばかられる、場所が悪い。

社交場なら、自分から声をかけるのも、構わないような、無害な人に思えた、

だが、朝の時間とはいえ、森の中で、見知らぬ男の方に声をかけるのは危険、

都が一緒とは言え、気を付けなければならない。

(森の中でお話をしているだけで他の方の目に留まれば密会)


言葉の響きは素敵だけれど、罠にも似た響きがある、若い女性の行いとなれば命取り、知らぬほど菊花もお人よしでは無い。


都をせきたて急いで坂を下り、新しい郵便局の綺麗な建物を回り、急いで屋敷に逃げ帰った。


ご商売をされていらっしゃる父の元に生まれると言う事は、子供自体を戦略に用いる駒の一つと考えねばならないのだと思う。

男のお子さんであれば先ず「跡取り」であるし、女のお子さんであれば、「跡取り」に嫁がせ、生まれた「孫」の代でその身代を女性の側に引き寄せる。

なので三人の女の子の父としては、駒を三つ持っていることになり、嫁がせるまで、駒に傷や悪い風評をつけたくない。


なので、一人ずつ、身の回りをしてくれる、召使いをつける。

身だしなみを整え、見張りをして、時にお友達になり、行動を共にする。


江姉さまは、父の後を継がなければならないので、ご商売のお手伝いを早くからされている。

結構好きなようで、気風が良いと言うのか、庶民受けをされると言うのか、お父様も一目置いていらっしゃる。


お好きな方はいらっしゃらないかもしれない、島さんと行動を共にされる事が多いが、島さんはご結婚されているし、お歳も大分上だと思う。

なので、お見合いで、どちらかの次男坊を御養子さんに来て頂くと言う思惑があると思う。


三女はどちらのお宅でも可愛い存在。

都も例に洩れず、可愛い。

何方からも愛され、特に小さいお子さんには慕われる。

何方にも気軽に声をかけるし、どんな遊びの輪の中にも、進んでご自分から入っていける。

連れて歩いて下さる母に気を使って頂かなくても、人の中で物おじしないというのは、有り難い、母のコミニケーションの要である。



そして  次女 またね  沙羅より


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