幼児期の吃音の相談って、どこにしたらいいの?
と、よく聞かれます。
相談、だけでなく、訓練してもらえるところは?とかね。
市販の本や、無料のリーフレットでは、
ざっくりした説明のあと、最後によく『言語聴覚士に相談しましょう』と書いてあるけれど、、、
小児の吃音について、答えられる言語聴覚士は、さほどいません。
なので、私がいつもママたちに伝えることを、ここに残しておこうと思います。
(論文のデータなど細かいことが知りたい方は、英語でも日本語でも、検索してもらったら出てくると思うし、
教科書のたぐいでも、専門的な本はあります。
ここでは、いちいち索引しませんのであしからずー。
あくまで、私にたずねられたら、今はこのように答えています、という話です。)
ではでは、始めます。
Q 「吃音があって、就学までに治したい。」
そんな相談のときに、合わせて、
「昔、迷子になって、そのあとから吃音が出始めたように思う。まだ続いている。」
「自分が強く叱ったから、そのあとから吃音が出始めて、まだ治らない。」
そんな話も、しばしばあります。
叱ったから、迷子になったから、吃音になる。。。わけではありません。ほとんどの場合、それらは一時的な出来事だから。
どの子どもも一般的に経験する範囲のことだしね。
子どもごころに、そのときは一時的な緊張や不安を感じる出来事だったでしょうが、
そのあと、ちゃんと解消されていることがほとんど。
だから、あのときのこれが、、、と、結びつける必要はありませんし、悔やむことも必要ありません。
じゃあ、なんで?と原因探しをしたくなるけど、、、
そもそも、原因探しをするものではないジャンル。。。というのが答えになるかなあ。
白黒はっきりつけたくなる人には、もやもやするでしょうが。
これは吃音に限らず。
[複数の要因が予測されるのみで、
決定的な原因といえるものはない]
という、一見あいまいに思えるかもしれないけど、そんな感じの普遍的なもの。
ただ、ここでいう『複数の要因』については、いくつか述べることはできます。
たとえば。
脳のしくみ説。
脳はそれぞれの部位が担う役割(機能)があって。
滑らかに話す、という働きを担う部分に、
なんらかの働きにくい要因がある(ときに、吃音が出る)というもの。
生まれ持った脳のタイプ、ともいえます。
他には、遺伝説。
これは迷信ではなく、データをとった研究結果があるんだけれど、
でもそもそも、両親の遺伝子、それぞれ祖父母からの遺伝子、などなど、繋がっているから生まれてくるわけで。
吃音に限らず、その他のいろんな点について、
お互い、ここは似てるね、似てないね、という話です。
(脳ももちろん遺伝子がもつ情報から作られているのでね)
遺伝子研究からこぼれてくる雑学によると、
私たちの体は、
今まだ発症していないけれど、今後○○の疾患のリスクが高いとか、低いとか、
潜在的にもっているものがいろいろある。
話はちょっとそれますが。
遺伝子を調べて、自分がどんな分野の才能があるとかないとか、そんなビジネスも、いまやある時代。。。
遺伝子そのものに、良いも悪いもなくて。
いろんな組み合わせの結果、
例えば、
滑らかに話す、という部分の働きに影響する部分について、
なんらかの働きの違いがあった、ということは言えるのではないかと。
私は、この脳のしくみ説や、遺伝子説は、
いろいろ読んだ結果、
そりゃそうだよねえ、と賛成の立場です。
続きますー☆
結城ルミ子
小児専門の言語聴覚士。大学病院や療育センターで18年勤務。現在はフリーで活動。福岡市在住。園や保護者会などでの講座や、個別相談のご依頼、お問い合わせはこちらからどうぞ。
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