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この本は、私が大学生のときに読んで、ヘルマン・ヘッセにどハマりするきっかけになった本です。

ときが違えば(もっと早くに読んでいれば)、何度も何度も読み返していただろうなぁと大学生だった当時も、大人になった今も思います。



  あらすじ

この『車輪の下』は端的に言えば、少年の精神的自立を描いた作品です。

以下は簡単なあらすじです。


この物語の主人公ハンスは、町一番の秀才でした。彼は周囲から大きな期待を受け、国費で神学校に進みます。貧しい家庭で育った子供たちにとって、その方法が当時の出世街道でした。


神学校へ進むも、彼は勉強漬けでつまらない日々に疲れ、学校を去ります。


故郷に戻ったハンスは、ようやく自分に合った仕事・生き方を見つけ、己の道を見出したように見えました。しかし、道半ばで夭逝してしまいます。



  作品の面白さ

あらすじ自体はどこにでもあるような(むしろ物語にしては単調かもしれない)話なのですが、この作品の面白さ(ヘッセ小説の面白さとも言える)は、以下の2点だと私は思います。

  1. 親の期待を裏切って自己実現する少年の姿(精神的自立)
  2. 理解されないことへの孤独
1については、あらすじの冒頭でも述べた通りです。周囲に期待された少年が、周囲に期待されるままの道に進んだ結果、葛藤を抱え、ついには己の道を見つける。

他方2について、あまり言及されることが少ないような気がします。私がいろんな人の感想を読んだ程度なのでアレですけど
周囲の普通と自分のありたい形にギャップを抱え、それが理解されないことへの孤独や辛さ、といいますか…。
ハンスの場合は、周囲の普通(立身出世=神学校を出て神父や牧師になること)と自分のありたい形(自然に囲まれて、普通の暮らしをすること)とのギャップに苛まれていました。

彼が秀才であったことも、彼自身を苦難に追いやる一因だったと思います。周りは望んでも手に入れられないものが、彼には手に入れられる可能性があったのだから。


ヘッセの作品は、一貫してこうしたマイノリティ側の、周囲に理解されないことへの孤独を描き続けているんですよね。
というのもヘッセ自身がまさに、このハンスのような生き方をしてきたからでしょう。車輪の下は、ヘッセの自叙伝とも呼べる作品です。
ヘッセが周囲からの期待を受け神学校に進んだのも同じ、勉学に挫折したことも同じなんです。

他の作品で言えば、『シッダールタ』のシッダールタも、在家していても出家していても、いまいち自分の居場所を見つけられないんです。だからこそ独自の悟りをひらけたと言って良いでしょう。『デミアン』にも同じような寂しさが。

そういう孤独感を感じる作品が昔の私のツボなんですよね爆笑今はちょっと変わった気がしますが。
過去に好きだった作家さんたちも、孤独感を抱えた人が出てくる点が好きなポイントでした。
小野不由美さんとか、重松清さんとか。

小野先生の屍鬼は中学生の頃の私のバイブルでした。いったい何度読み返したことか。文字通り本がぼろぼろになるまで読み返していました。静信と沙子の孤独感がたまんねぇ。もう本当にご馳走様ですって感じですにっこり
小野先生はいずれの作品も孤独感の強い人物が出てくる作品が多いので、御本人もそういう寂しさを常に抱えている人なのかなと中学生ながらに思っていました。が、結婚して作風が少し変わったように思いますね。

あとは作品でいうと、宮沢賢治の『よだかの星』も短編ながら1行1行が私のツボを突いてきすぎて好きニコニコ

こういう作品が好きなのは、自分自身の好みや選択が、マイノリティであることが多いというのがその理由だと思いますが。


話はそれましたが、ヘッセの描く孤独感が良いという話です。
彼の性格によるものなのか、彼自身も東洋の宗教観に興味があったからなのか、はたまた詩歌の才能が小説にも表れているのかわからないですが、なんというか、不思議ととても東洋的な情緒感なんですよね。無常感とでもいうのかな。
そういう点も私好みであるんですよね。


孤独感を感じる作品が好きという奇特な人は、ヘッセの作品を読んでみることをおすすめします。
個人的にはシッダールタが一番好みですが、ヘッセ自身を知るという意味でも、孤独感のエッセンスを得るという意味でも、一番最初に車輪の下を読むのがおすすめです。

本選びの参考になればいいなと思いますニコニコ


最後までありがとうございました飛び出すハート