水中考古学とは、水中遺跡や沈没船から水に関わる人類の歴史を

紐解く学問です。

講師は、水中考古学者 山舩晃太郎(やまふねこうたろう)先生。

 

NHK文化センター名古屋教室主催
スズケン市民講座 オンライン教養シリーズ
「海底に眠る歴史ロマン 水中考古学」

https://suichukoukogaku.com/nhk-online/

 

 

エジプトと聞くとピラミッドやミイラをイメージしますが、
実は、船の発達においても重要な発明をいくつもしています。

先ずは船の歴史についての講義です。


10月24日土曜日の水中考古学 

 

第2回のテーマは古代エジプト:
ファラオの埋葬船とナイル川の造船技術

 

なぜ船の技術に注目するのか?

船の技術は最先端の技術を集めたものだったので

当時の技術水準がわかる。

 

古代エジプトの船が現在の西洋船の元になっている。

 

古代エジプトの船

 

1.エジプト先王朝時代(紀元前4000年~紀元前3100年)

 

  最初はアシ、パピラスから作られていた。

  三日月型とパピラス型の船。

  動力はオール(人力)。

 

  

 

 筏と船の違い

  ☆筏: 使用した材料が軽く水に浮くもの

  ☆船: 内部を空洞にして排水量で浮くもの

 

2.王朝時代

  クフ王のバージ船(太陽の船) 紀元前2500年頃

 

 1952年クフ王のピラミッドの隣(地下)から発見。
 保存状態がよく当時の様子がよくわかる。
 船体は95%がレバノン杉(Lebanese Cedar)で
 できており、デッキ(甲板)とキャビンの一部にアカシアを使用。
 全長は43.63m、(1番広い部分の)幅が5.66m、重さが約39トン。
 20年かけて組み立てられた。

 

 

壁画から見るナイル川の造船技術

 

 1.マストとセールは古代エジプトの発明品。

   初期のマストは縦長の巨大な帆。

   マストは2つの足を持つバイポットマスト。

 

 2.古代エジプトの外洋船
   古代エジプトでは既に紀元前2700年までに地中海での
   交易を行う。


  「ホギング・トラス」と「トラス・ガードル」
   波の力と船の自重によって引き起こされる船の変形たわみ問題
   (ホギングとサギング)を防止するための機能を考案。

 

 3.ダッシャーボート (紀元前1850年頃)

   スルー・ビームが特徴。
   スルー・ビームとはお椀型の外板の船体を結んでビーム(梁)
   つまり甲板を渡した。スルー・ビームのおかげで重い荷物を
   甲板上に載せられるようになった。
   また外板同士を強く結びつけられるようになった。

 

 4.進化したマストとセール

   紀元前2200年頃にマストが1つになり位置も船体の前方から
   中央部に近づき操舵性UP。
   帆が横長に。1000年近く使われる。

 

 5.キール(竜骨)の登場

   紀元前1400年頃 ツタンカーメンやアメンホップ2世の時代

   キールは船底中央を縦に船首から船尾にかけて通すように
   配置されている強度部材。
   中世の船の基礎となる。

 

 

最後に

 船をどうしても利用しなければならない必要性から新しい技術が
 生まれた。
 やがて古代ギリシャに受け継がれ更に現在までつながっている。
 専門用語が難しかったけど、船を通して歴史を見たことはなかった
 ので面白かった。

 

第3回は古代ギリシャと古代ローマ:神話時代の船

 

詳しくはこちらからどうぞ

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1212503.html