ココだけの映画秘話パート3+音楽の話 | 月船さららオフィシャルブログ「サララテキカタルシス」by Ameba

ココだけの映画秘話パート3+音楽の話

<現場マジック>

私は、多分涙腺が固いです。と、いうか、涙腺を操ることが出来ません。

本当に、悲しくなったり、涙がでるような気持ちにならなければ、泣くことが出来ないのです。

これは、多分女優としては、相当損だとは思います。でも、嘘泣きが出来るようになりたいとは思いません。

撮影の「水垢離」のシーンのあとは、「アニメーションの中の輝子」でした。アニメとの合成のために、俳優はグリーンバックといって、緑一色のセットの中で演技します。

そこでの、私の試練。それは涙でした。夫を亡くし、喪服で泣くシーンがあるのです。

舞台では、与えられた役の人生を数時間の間流れにそって演じることが出来ます。でも、映画は細切れにとっていきます。瞬時に「泣け」といわれても、その人物で泣くのは、なかなか簡単なものではありあません。しかも、グリーンバックで相手役もセリフも景色もないなかでとなるとなおさら・・・

私は、映画をみていて、「泣く」シーンと「絡み」のシーンで覚めちゃうことがあります。生意気にも、そんな話を監督との雑談のなかでしたとき、「月船さららの涙じゃなくて、輝子の涙を出してください」と言われました。

他の方から聞いた話ですが、監督は、涙のシーンにはなかなか厳しいとか。。。

さて、いよいよ本番前、監督に「『スタート』といったら泣いてください。泣ける?」と聞かれましたが、自信がありませんでした。でも、ライトのチェックやらでカメラの前に立ちながら「スタート」の声を待ってるなか、心を集中させて、輝子のことを考えていました。

すると、背後から監督の小さな声が。「輝子の記憶をつかって」

その瞬間から、私はまんまと涙を流し、撮影は順調に終わりました。


その日がくるまで、邪魔になりながらも、撮影にくっついてまわったお陰で、私は「輝子が見たであろう風景」と「輝子があったであろう人物達」を沢山見てきました。そして、それをじっくり撮影している様子をみながら、いろんなことを考えたものです。そして、監督がぼそぼそっと「輝子はこういう景色を毎日見ていたんだろうね」などとヒントを与えてくださいました。だから、私には知らないうちに、「輝子の記憶」がストックされていったのだと思います。


まんまと、マジックにかかったわけです。私。


私は、自分の力では出来ないことが沢山あったのに、監督や相手役さんやスタッフさんに沢山の魔法をかけてもらいました。撮影をしながら、どんどん心が開いてきて、身をゆだねることが出来ました。魔法がいつかけられるかわからないので、かかりやすいように、いつでもピュアでいなくちゃ、と思うようになりました。

こんな現場でやれたのは、やっぱり私は恵まれていたんだとおもいます。




<おすすめの音楽>


3121264_74.jpg アン・ルイスさんのトリビュートアルバムを息子さんの美勇士さんが作ったそうです。知り合いに薦められて聞きましたがいろんな方の声で聞くアン・ルイスさんの曲は、新鮮でした。詳しくはこちら。http://roppongifellows.com/

是非、聞いてみてください♪