あたしの愛猫。
コナン。
今月5月2日、15歳になった。
あたしが12歳の6月13日、生まれて約一ヶ月で我が家のニューフェイスになった。
家庭は崩壊寸前。
ずっとペット飼いたいって言ってたの却下されてたの。
大人になってから聞いた。
あたしの気が少しでも紛れるなら…って思ったんだって。
父親はずっと夜の仕事、ジャズバーのマスターをしてあたし達を育ててくれた。
だからモノゴゴロつく幼稚園の頃には、あたし達が帰って来たら出勤で、帰宅したらあたし達は寝てるってゆーすれ違いで、のちに高校生になってからお父さんと2人きりで暮らしたこともあるんだけど、最初は正直何を話したら良いのかわからなかった。
普通の父娘は2人きりになると何を話すのかがわかんなくて、必死で面白くもない話してたな。
あたしが小3になった頃。
父親の仕事を母親も手伝うことになった。
不景気真っ只中になったから。
そしたら夜はお兄ちゃんと2人だけ。
幸い、お隣りのおじさんおばさんが本当に良い人で、あたし達はパパママと呼んでいて、大学生と高校生のお兄ちゃん達もいて、いっつもそこに家族の一員のように居座っていた。
もう生まれてスグからパパがあたしをお風呂に入れてくれていたらしいし、パパとなら何でも話せた。
だから小学生の間は夕飯は学校から帰ってスグ明るいうちに家で食べて、両親は出勤して、あたし達はパパんちでお風呂に入って、寝る時間ギリギリまでそこにいた。
ほんとに親子みたいだったから、たまにママとケンカする時もあって、でも必ずパパは毎日夜になると迎えに来てくれた。
901号室から902号室へと…。
そして中学生になって、お兄ちゃんはもう既にパパんちには行かなくなっていたし、思春期になったってこともあって、いつもいつもパパんちに行くのは恥ずかしいことなんじゃないか?って思うようになった。
みるみる行く回数は減って、夕方頃にパパがピンポーンって来ても、玄関先で楽しく話すだけで、また自分の部屋にこもった。
両親がおかしいのは気づいてた…。
でも気づかないフリしてた…。
そんな時にコナンは我が家に来たの。
そしてしばらく経った日、母親に打ち明けられた。
もうダメなんだって。
A~K棟まであるような10階建てがつらなるでっかい団地で育っちゃったからさ。
幼なじみはいっぱいいるし、特に内緒にしなさい
と言われたわけじゃないけど、秘密にしてなきゃいけない気がして、仲良い家族を演じているような自分が、たまらなく嫌だった。パパとママにも内緒だった。
余計に行きづらくなった。
そんな時もコナンはいつも一緒だった。
中2でお父さんが出て行って、お母さんとお兄ちゃんの3人プラス一匹暮らしになった。
わりと平和に仲良く暮らしたよ…期限付きで。
あたしが中3の時、母は再婚して、それでもあたしと暮らしてくれてたんだけど、あたしが高校生になったら、その人とお兄ちゃんと3人で暮らすことが決まっていた。
あたしの高校の入学式の後、一緒に帰宅したお母さんは、荷物をまとめて、寂しい背中を向けて出て行った…。
しばらく家族の思い出残るマンションで、一人で住むには広すぎるそのマンションで、高校生活の始まりと共に一人プラス一匹で暮らしてた。
またしばらくして、父親がそれまで借りていたアパートを引き払って戻って来た。
父親の彼女はその時23歳で、今のあたしよりずっとずっと若くてキレイな人で、たまに遊びに来てたんだけど、お姉ちゃんみたいに慕ってた。
あたしの初めての文化祭も2人で来てくれて、若い彼女がいるかっこいいお父さんは自慢だったな。
結局それからの高校生活3年のうち、1年半は一人暮らしだった。
まわりにあたしと同じような境遇のコはいなくて、やたら先生達は気にかけてくれたけど、みんなは一人暮らしってトコだけクローズアップするから、羨ましがられるのが辛かった…。
女の子はみんな、お母さんの作ったお弁当食べて、あたしはいつも何食べてたのかな?
忘れちゃった。
その時の友達みんなの光景だけ覚えてる。
みんながお弁当のおかずちょっとずつくれて、一個のお弁当みたいになったこともある。
ワイワイ賑やかなグループにいたんだけど、あたしはやたら一人になろうとしてた。
みんなでワイワイ食べるランチタイムが終わると、一人でベランダに出て外とか見てた。
でも必ず誰かがふっと隣りに来てくれてたな。
ただ黙って一緒にいてくれただけなんだけど、嬉しかった。
その頃からあたしは本格的に曲作りを始めたんだ。
そんなあたしに合わせるように、突然詩とか書いて渡してくれた友達とか、一緒に買い物してたら、突然【泣きたい時は泣いたらいいんだよ
】ってポストカードを買って来て渡してくれる友達とかがいたから、みんな羨ましがりながらも、きっと感じてくれていたんだと思うんだけど。そんな時もずっとずっとコナンは一緒で。
お母さんちに行って帰る時、お母さんはいつも駅まで送ってくれるんだけど、あたしが改札に入ったら、今度はホームが見える位置まで移動して、電車が出発するまでずっと手を振ってくれた。
あたしもお母さんが見える間笑顔で手を振るんだけど、お母さんが見えなくなった瞬間、座り込んでずっと泣いてた。
今思うと、きっとお母さんもそうだったんだよね。
高校生なのに、まだまだお母さんが必要で、甘えんぼだったの。
家に帰るまで涙が止まらなくても、コナンはいつもいたから。
もうあたしずっと涙腺緩いし、コナンからしたら
『もうあんたの涙見飽きたよ
』ってカンジだろうな

それから高校卒業して、専門学校の近くに引っ越して4年暮らして、また地元近くに帰って来て…。
家庭環境だけじゃなく、人にはあまり話せないくらいいろんなことで波瀾万丈すぎたあたしの15年間をいっつもいっつも一緒にいてくれたのはコナン。
これからも長生きしてね。
新しい命には同じ想いさせたくない。
今日ずっとそんなことを考えてた。
考えてたら、仕事中なのにまた涙が出てきて…。
まだまだ子供なんだよね。
トラウマ捨てて、大人にならなきゃな。
かといって、結局今のあたしは全然幸せだし、家族みんなが幸せに暮らしてるし、お母さんの旦那さんのことも大好きだし愛されてるし、結果オーライなんだけどね

…でもどうかお願いね

みんなで大事に大事に守って行こうね
