仕事がお休みになった30日から3日にかけての年末年始に8年前に亡くなった母の遺品の整理をしました。母が亡くなる7カ月前に父が亡くなり、それまでの12年間、介護や看病をしてきたのに、両親が相次いで亡くなり力が抜けてしまい遺品の整理に手を付けられないまま8年が過ぎていました。
  一昨年は、夫の母を送り、夫の兄を看取り、その後夫の上田の家の整理を始めて1年以上が経過して、ようやく母の物を整理する気持ちになれました。

 母は、いつも笑顔で、パワフルで、フットワークが軽く、沢山の人に愛され頼りにされていました。有言実行…言葉を発し終わらないうちに走り出す人だったのでいつもびっくりしたり、次は、何が始まるのかとワクワクして母を見ていました。母は、折に触れ色々な言葉を私に聞かせてくれていました。

 「声は肥(こえ)なり」…母は、よくそう言っていました。「人にお話しする時は、相手の気持ちを汲んで、おもいやりのある言葉に真心を添えて相対するように心掛けてね。」と、事ある毎に言っていました。それが相手の心に素直に伝われば、こんなに力を持つものは無いとも言っていました。一円も使わなくても、人を癒し、人を動かし、人の生きる糧にすることが出来ると。
 母の言う「声」は、お世辞やリップサービスの類ではありませんでした。向き合った相手の為に真実必要なアドバイスが出来る人でした。母の言葉は、ストレートで、時に厳しくもありましたが、温かい心が伝わってきて、頑固で心を閉ざしたような人をも一瞬にして素直にしてしまうという力を持っていました。 
 母の廻りには、いつも母の明るく澄んだ声と温かい笑顔を求めて、沢山の人が訪ねていらっしゃっていました。「お話すると元気になる。」と明るい顔でお帰りになるお客様をお見送りしながら、私も嬉しくなったことを覚えています。