6月7日は守り人の活動日でした。

梅雨入りが遅れていることもあり、この日も良く晴れた活動日和でした。参加者は25名(うち、新日本カレンダーさん6名)

 

 

朝のミーティングでは、守り人さんたちからの「月に1度の定例活動日だけでは作業に限界があるので、それ以外の日にも活動をしたい!」という熱い声を受けて、市から定例外活動ルールの伝達がありました。

 

 

定例外の活動を希望する守り人さんたちには、湿原パトロールも兼ねて安全第一でお願いしたいとのことで、活動時に着用する揃いのベストの配布もありました。

 

最近は、皿池湿原が立入禁止であるにも関わらず、こっそりと、あるいは、堂々と侵入して来る人がいます。希少な植物の盗掘や、昆虫類の採集も疑われるため、巡回パトロールやカメラ設置などの対策も強化していきたいと考えています。

皿池湿原は兵庫県の天然記念物に指定されています。

文化財保護法では、「現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。 」

とされています。

 

本日の活動は、毎年恒例のため池の水生生物調査とトキソウの開花数調査、間伐材の片付け(チッパーでチップ化)です。

 

 

水生生物調査のエキスパートのワタナベさんと、昨年の守り人養成講座を受講して、本日初参加のオカさんが、かご網設置調査の経験があるとのことで、調査に参加してくれました。

 

 

水質や水温は例年と変わらずで、魚の種類もほぼ同じでしたが、水生昆虫の種数は減っていました。

これまで多かったアメリカザリガニは1個体だけで、ウシガエルなどの外来生物も見られなかったのは良かったのですが、トンボ類のヤゴ(幼虫)などの水生昆虫が年々減っているのが気になります。
とにかく毎年のデータを集めることが大事なので、調査は今後も続けていきます。

 

 

記録用の調査票を片手に、トキソウの数を数える守り人さんたち。

 

 

今年は、ざっと数えて350以上のトキソウが開花していました。この数は昨年より少なく、一昨年より多いです。

開花数は、ピークが少しずれただけで、数は大きく変わります。今年の開花状況は例年通りの範囲内ですから、良い感じなのではないでしょうか。

 

 

D湿原は小さな湿原ですが、A湿原を上回る数のトキソウが咲いて、淡いピンク色のお花畑になっていました。当初は数十株でしたので、ずいぶん増えました。これも保全管理を続けてきた成果だと思います。

なぜか、同じように管理を続けてきたC湿原にはトキソウは見られませんでした。毎年少しは咲いていたので、開花時期のわずかなズレで見られなかっただけ、ということも考えられます。

 

 

トキソウを数える守り人さん。

花の数は、昨年と変わらずでした。

 

 

カキランが咲き始めていました。

 

 

みんなでヒメタイコウチを探しましたが、先月と同じく確認できませんでした。3年前にはたくさんいたのに激減です。

 

 

戻りの途中にシライトソウが咲いていて、傍に誰かが目印を立てていました。

 

 

湿生林などに集積したままになっていた間伐材の片付けも順調に進んでいました。

 

 

運び出した間伐材は一旦この場所に集積して、午後からチッパーでチップ化します。間伐材の太い幹の部分は木道やベンチづくり、シイタケの原木などに活用し、それ以外はチップ化して観察路に敷くなどして使用しています。

今回は、守り人さんから、カブトムシの幼虫育生ができるか実験してみたいという希望がありましたので、産卵場所づくりにもチップを活用します。

午前の活動はここまで。

 

 

木工の得意な守り人のミオさんがムササビ用の巣箱を手作りしてくれました。

以前このブログでもご紹介したように、ムササビの食痕と思われる葉っぱが見つかったので、湿原の周辺の里山林にムササビがいるかもしれない?→いてほしい!→きっといるよね!ということで、それなら巣箱を仕掛けてみよう!ということになりました。

蓋の両脇の木の釘を抜くと、蓋を外すことができて、中を覗くことができます。

「すごい!さすが!」

「穴が大きすぎない?」

「しばらく風雨にさらして古い感じにしたほうが入り易いのでは?」

「いや、人も動物も新築のほうがいいでしょ。」

実際はどうなのでしょうか?

ムササビに尋ねてみないと分かりませんね。

 

 

午後の活動は、チッパーを間伐材を集積した場所まで移動させて、積み上げていた木をどんどん入れてチップにしました。

 


 

チップは袋やコンテナに入れて、新たに導入した電動運搬車で運びました。

積み荷がない時は、電力を使わずに人力のみで移動させたほうが速いことがわかりました。また、段差を走破する能力が弱く、道に横たわっている手首くらいの太さの枝を乗り越えられませんでした。

使ってみないと分からないことが多いですね。

 

 

チッパー担当の2人の守り人さんは元気いっぱいで、まだまだいける!とのことでしたが、運搬チームは消耗が激しくて、本日は終了です。

 

 

チップはカブトムシの幼虫育生実験用のバイオネストへ投入しました。これからが楽しみですね。

 

守り人のみなさん、本日もお疲れさまでした。

来月はササ刈りがメインの作業になりますが、この季節ならではの生きものが見られるかもしれませんね。

来月も夏の湿原でご参加お待ちしております!