10月27日は守り人の活動日でした。
恒例の湿原管理の2回目です。
この日の午後は、天気予報では雷雨マークでしたが、午前中は日差しがあって気温が高く、汗ばむほどでした。参加者は、18名(うち、新人守り人4名)。
朝のミーティングで、今日から守り人として活動する新人の方4名の自己紹介がありました。
本日の活動は、湿原管理の2回目です。
刈り払い機を使わない手刈り班は、湿生林やB湿原、G湿原の残したい植物や杭や木の周りを手刈りします。
刈り払い機班は、A湿原のヌマガヤなどの刈り取りをします。
「もりびとのやかた」プレートの傍に、小さなコオロギを見つけました。
鳴く虫に詳しい守り人のヨシダさんによると「ハラオカメコオロギ」だろう、とのことです。調べると、りりりり、りりりり、と鳴くとありました。
虫の声を聴き分けられるようになると、楽しさが増しそうです。
今年はたくさんのイヌセンブリが確認できました。
一時期、イヌセンブリが激減したときに、それに代わるように、イヌコウジュが一斉に生えてきたことがありましたが、今年は仲良く生えてます。
植物に詳しいキノシタさんが、イヌコウジュとよく似ているヒメジソとの見分け方を、萼(がく)の形を手で示しながら教えてくださいました。
イヌコウジュの萼はヒメジソより尖っていて、葉の鋸歯の数も多いそうです。この後、湿生林の辺りで、「ふと見たらあったから。」とみつけたヒメジソを見せてくれたのもキノシタさんでした。両方を見たことで、違いがよく分かりました。
湿生林のカザグルマを囲った柵の周りや、樹木周辺を手刈りします。
ため池のほとりには、スイランがたくさん咲いていました。
B湿原の観察路の杭の周りも手刈りします。
B湿原の奧、草の茂みをよく観ると、サワシロギクとホソバリンドウがたくさん咲いていました。
当初、この場所のリンドウは数株だったので、こんなに増えたのは嬉しいですね。
B湿原の次は、G湿原へ行って作業します。
鳥の鳴き声がしたので、梢を見上げる鳥類好きのお2人さん。
G湿原の杭の周りも手刈りしました。
ため池の周りは、やっと秋らしい風景に変わりました。
一番広いA湿原は、刈り払い機で作業しました。
前回休んでいた人たちは、カヤネズミの巣に興味しんしん。
巣は空き家ですが、この湿原のどこかにカヤネズミはいるはず。
写真を撮っておこう。
昨年あたりから、あちこちで枯れたり、折れた木をたくさん見かけます。
掛かり木になった倒木を処理しました。
午前中の活動はここまで。
カザグルマの果実がすっかり熟して綿毛になっていました。
まもなく種は風に飛ばされることでしょう。
ヒメシロネは紅葉していました。
戻る途中で、観察路にコウヤボウキが咲いているのに気付きました。
ここで咲いているのを見るのは初めてです。
スマホで撮影も忘れずに。
J湿原も観察して。
ササの間をよく観ると、スイラン、リンドウが咲いていました。
こちらのヒメシロネは、紅葉していなくて、まだ緑色です。
タチカモメヅル(湿地などに生える多年草のつる植物)に果実ができていました。
ここにナンバンギセルが咲いていたのだけど…。
「ほんとだ、ありますね~。」
「あ、カマキリが、昼ごはんの邪魔をするなって、こちらをにらんでるわ。」
ナンバンギセルのすぐそばで、ちょうどカマキリが甲虫を捕まえて食べようとしていました。
午後の活動は自由参加ですが、雷雨の予報です。
雨雲レーダーをみると、まだ少し天気が持ちそうなので、作業をすることにしました。
湿生林の刈払機での刈り取りに備えて、サクラバハンノキのひこばえをチェックして、残しておくものにマーキングしました。
このひこばえは、ハンノキ林を若返らせるために伐採した切り株から生えてきたものです。
A湿原の刈り払い機チームは、午前の続きの作業をすることに。
まだもう少し残っています。
新人守り人さんと見習い守り人さんが、集草・運搬をしていました。
息の合った作業ぶりに、笑顔のベテラン守り人さん。
そうこうしているうちに、雷が鳴り始めて、にわかに雨も降り出したので、急いで戻ることにしました。
ため池の近くには、柿の実がたくさん生っていました。
もちろん、渋柿です。
「アキノキリンソウがここにも咲いていますよ。」
雷が鳴っていても、全く気にすることなく、草花の観察をされていました。
植物が大好きなのですね。
多様性草原の端に、アキノキリンソウを初確認です。
今まで背の高い草がぼうぼうだった場所を、ササ類の刈り取りなどして、手入れしたことで、いろいろな植物が生えてきていますね。
来月も湿原管理は続きますが、みんなで協力して、湿原の生きものの多様性をますます高めていきましょう。
守り人のみなさん、本日もお疲れ様でした。
次回も、晩秋の湿原でお待ちしています!