4月16日は守り人の活動日でした。

 

2021新年度、第1回目の活動日。

この日、午前中は曇り、昼過ぎから雨の予報でしたが、雲間から青空も見えて日差しもあり、ちょうどよい活動日和となりました。

幸先の良いスタートです。参加者は22名。

 

 

久々に仲間に会えると嬉しい。

マスク着用で、距離をとって会話します。

 

 

新年度でもあり、久々に腰掛けて、朝のミーティングを行いました。

新しい仲間も増えていますので、守り人1人1分程度で、自己紹介、参加の目的や、今後やってみたいことなどを話してもらいました。

活動の目的は、動植物に興味がある、ネットワークづくり、リフレッシュなどが多く聞かれましたが、いろいろ教え合って知識も増えるし、何より楽しい!とのこと。

あらためて、四季折々に多様な動植物に出会える皿池湿原とその周辺の自然環境そのものの魅力が大きいことがわかりました。

 

 

そんな魅力的な環境ではありますが、いま守り人さんらの一番の懸念は、最近になって頻繁に出没するようになったイノシシやシカによる獣害です。これについては、里山のまちづくり課の田中課長から、市としての対策や取り組みについて話がありました。

 

 

ミーティング後は、本日の活動です。

毎年4月は、湿原周辺の両生類をはじめとした、春の生きもの観察をしています。

 

 

さっそく、何か見つけて撮影。

(これは、コナラの虫こぶでした。)
 

 

毎年、両生類の卵を確認している側溝で産卵状況を観察しましたが、残念ながら確認できませんでした。

 

 

それでもあきらめずに、落ち葉の下をつんつん。

何かいるかも。

 

 

水生動物大好きなワタナベさんは、くさむらの中であろうが、水の流れる場所があれば、果敢に分け入って、網でガサガサします。

かっこいい。

 

 

みつけました!

 

 

時期から推測すると、アカガエル類のオタマジャクシのようです。

 

 

側溝の落ち葉を掬いとって、葉の裏を詳しく見てみると…、

 

 

トンボのヤゴとセンブリの幼虫がいました。

センブリというと、苦い薬草を思い浮かべますが、同じ名前の昆虫がいるのです。この虫は、幼虫の間は水の中で生活して水生昆虫を捕食し、その後、陸に上がって土の中や朽木の中で蛹になり、成虫になると水辺の草むらなどで昼間に活動して、花の花粉などを食べているとのことです。

幼虫たちは、側溝のコンクリートの壁を登ることができるのかどうかが気になります。もしも難しいのなら、何か対策が必要かもしれません。

 

 

ウワミズザクラが咲いていました。

 

 

ウワミズザクラの花は、普通イメージするサクラとはまったく違って、小さな白い花が房状に集まって咲きます。

分類学的にはヤマザクラなどが属するサクラ属ではなく、ウワミズザクラ属という別のグループです。

「漢字で書くと「上溝桜」なので、ウワミゾかウワミズか、混乱しちゃうんだよね。」と笑いながらヨシダさん。

 

 

この堰堤は集落の方が時期を決めて、草刈りされています。

きれいに刈り取られた草地には、毎年たくさんのワラビが生えてきます。

 

 

山菜採りは春の楽しみの一つですね。

 

 

コバノミツバツツジの濃いピンクの花が、青空に映えて美しく咲いていました。

 

 

ミヤマガマズミの白い花も咲きはじめていました。

 

 

アリマグミの花も満開です。

 

 

足元をみると、ヒメハギが咲いていました。

日当たりのよい場所を好む植物ですが、いつも通る湿原へ向かう乾いた道(観察路)の真ん中に、春の日を浴びて生えていました。

 

 

タチツボスミレもあちこちに咲いていました。

 

 

タツナミソウも顔を出していました。

誤って刈り取られないように、マーキングしておいたほうがいいですね。

 

 

堰堤の入口付近のタンポポは全てセイヨウタンポポでしたが、これは在来タンポポのようです。左上にヒラタアブの仲間が飛んでいます、目を凝らして見てくださいね。

 

 

午後の活動では、午前中に観察した堰堤に生えているワレモコウとツリガネニンジンを少しいただいて、多様性草原へ移植しました。

もちろん、掘り取った跡は、しっかり表面を平らにならしました。

 

この場所では定期時に刈り取りが行われるため、花を観察することができません。多様性草原で大切に育て、花を観察したり、種子を採って増やしたりする予定です。

 

 

ワレモコウは、バラ科の多年草で、根茎は生薬に、若葉も食用になるとのこと。おひたし、天ぷらなどにすると美味しいそうです。

でも、これは食べないですよ。

 

 

ツリガネニンジンを採取する守り人さんたち。

ツリガネニンジンはキキョウ科の多年草で、これも生薬や食用になるそうです。草地を適切に保全していると、人にも有用なものがたくさんあるということですね。

 

 

掘り取った株を、多様性草原へ植えました。

 

 

フレコンバックで池から水を汲んできて、たっぷり水をやるタミオカさん。この土手から水面まで距離があるのに、どうやって汲まれたのでしょうか。とにかくすごい技です。

 

 

誤って刈り取らないように、マーキングしました。

 

 

ヤマツツジとモチツツジが並んで生えていました。

モチツツジのねばねばを触って確認します。

 

 

湿生林から「ハンノキハムシがいますよ!」と声が上がったので見に行くと、ちょうど見やすい高さの葉にたくさんいました。

光沢のある美しい甲虫です。

 


ため池に流れ込む小さな水の流れのほとりには、ニホンアカガエルが佇んでいました。

 

 

サクラバハンノキ林の林床には、ツボスミレがたくさん咲いていました。

 

 

カナヘビも活発に活動をはじめたようです。

 

 

湿原とその周辺は春爛漫で、生きものたちの気配でいっぱいでした。

今年度も、守り人のみなさんとともに、安全に楽しく活動を続けたいと思います。

 

みなさま、本日もお疲れ様でした。

来月は、観察できる生きものたちの種もさらに増えていることでしょう。ぜひ会いに来てください。

お待ちしています!