9月19日(土)は守り人の活動日でした。
今回は毎年恒例の先進活動地視察で、三田市高平の「ナナマツの森」を訪問しました。
「ナナマツの森」では、ボランティアグループの「三田里山どんぐりくらぶ」さんが、里山林保全や炭焼き、散策道整備などの活動や、小学生対象の環境学習支援などをされています。
集合場所は、「三田のもち処 つくしの里」です。
いつもは市役所発のマイクロバスに乗って、遠足気分で移動しますが、今年は諸事情で、各自で現地集合となりました。
これまでの先進活動地視察はいつも雨でしたが、今回は快晴!
明るい日差しが降り注ぐなか、歩いて活動地へ向かいます。
彼岸花が咲き始めていました。
里山風景が広がります。
ちょうど収穫作業中の田んぼもありました。
実りの秋ですね。
ナナマツの森へは、手書きの看板が目印です。
色や文字に温かみを感じます。
はじめに、代表の佐藤さんから「里山どんぐりくらぶ」の活動内容について、お話をうかがいました。
会員は現在13名で、月3回活動しているそうです。
ご興味があれば、ぜひご入会ください!とのこと。
活動の一環で炭焼きもされています。
松かさや蓮の花托、瓢箪などを炭化させた「花炭(飾り炭)」を見せてくださいました。細部までそのままの形で炭になっています。
花炭作りは、どんぐりくらぶの体験入会や小学生の体験学習でも大人気だそうです。
活動の開始時には、いつもラジオ体操されているとのこと。
この日は、ご一緒させていただきました。
さぁ、活動地を案内していただきます!
まず出会ったのは、散策路沿いのたくさんのササユリ。
種を蒔いて増やしているそうです。
一株ずつに、マーキングがされていて、テープの色で、開花や結実など分かるようにしてあります。
花の時期にぜひ訪れてみたいです!
シカ柵が設置されています。
森を歩いていて何ヵ所かで糞を見かけました。
炭焼きの拠点「ナナマツの窯」です。
年に1回、3日間かけて炭焼きするそうです。
窯の構造や炭焼きの説明に熱心に耳を傾けるみなさん。
守り人さんから、窯の内部は最高何度になるか、3日とも徹夜するのか、など質問が相次いでいました。
1日目は仮密閉、2日目は窯の奥の小さな穴を残して閉じて、3日目に完全に密閉するそうです。窯の奥の空気穴で温度調整し、立ちのぼる煙で中の様子が判断できるとのこと。
焼けた炭は非売品ですが、竹炭は購入できるそうです。
炭焼きは地元小学校3年生及び緑の少年団の環境学習に合わせて実施するそうです。(毎年6月ですが、今年は延期されて10月だそう。)
どうぞ窯の中に入ってみてくださいとのことで、入口にトタンを敷いてくださいました。
入ってみると、思ったより広いです。
ここに炭にする竹や木材を立てて並べて、天井との隙間には柴を詰めるそうです。
窯の横には柴がきれいに積んでありました。
右手奥で、何か観察している人たちがいますね。
何か見つけましたか。
ルーペを使って熱心に観察しているものは何ですか。
コケでしょうか。
緑の高さ1~2㎝程の漏斗(ろうと)状のてっぺんに、赤い帽子をかぶったような、ぽつぽつが付いています。
アカミゴケの仲間で、名前はコケですが地衣類なのだそうです。
炭焼き窯の前では、薪割り機のデモが始まっていました。
かなり太い薪でも簡単に割れるそうです。
日数が限られる活動には、作業が捗る機械があると便利ですよね。
手作りの薪小屋に、ぎっしりと美しく積まれた薪は、有馬富士の共生センターが購入し、薪ストーブの燃料になるそうです。
間伐材が炭や燃料として活用されているのは理想的です!
「ひょうご元気松」の苗木を植栽している松林です。
松くい虫の被害に遭った場所で奇跡的に生き残った、松くい被害に強い遺伝子をもつマツの種子から育てた苗木だそうです。
ここを通る人には、カチャっとナンバリングを押してもらって、訪問者の数をカウントしています。
地図の前では活動範囲などのお話しをうかがいました。
里山管理のための道具を持っての移動は大変なので、限られた範囲で活動されているとのこと。
やはり、無理しないことが長く続ける秘訣ですね。
橋の床板のメンテナンスもくらぶメンバーでされているそうです。
プロ並みのお仕事です。
山道の階段は、一段ずつが高めなので、足の長い人でないとちょっと辛いかもしれません。
歩きながら、どんぐりくらぶさんのメンバーの方が「どうすれば守り人になれるのですか。」と、守り人さんに尋ねて、「私の場合は、最初に養成講座を受けまして…。」と説明している会話が聞こえてきました。
台風で倒れた木を途中で伐ったところ、根の重みで立ち上がったという、「復活の木」だそうです。
その強いパワーをもらおうと、木に触れる守り人さん。
ため池にはオグラコウホネが満開でした。
オグラコウホネは、兵庫県版レッドデータブックでBランクです。
今年は特に開花数が多いそうです。ため池の水の量がいつもより少ないので、水位と関係しているのでは?とのこと。
ため池の上を美しい大型のトンボやイトトンボなど、多くの種類のトンボが飛び交っているのを観察できました。
どんぐりくらぶさんの取り組みが、さまざまな生きものが棲める森づくりに繋がっているのでは、と感じました。
次へ行きますよ~!という声掛けにも、ため池の傍からなかなか離れられない守り人さんたち。
それぞれの興味で自由に散策しましす。
この奥には滝があるとのことで、楽しみにしていましたが、
残念ながら、滝は水がほとんど流れていませんでした。
それでも、近付いて眺めたり、写真を撮ったりしました。
ナナマツの森の一部しか見て回ることができませんでしたが、皿池湿原と同じように、里山林、ため池をはじめ、いろいろな環境がありました。どんぐりくらぶさんの活動によって、保全されているところが大きいこと、取り組んでおられる成果も随所に見られました。
東屋には「出合の家」という名が書かれていました。
いろいろな出合いがあるように、という想いが込められてるのだと思います。
ナナマツの森へのアプローチは、とてもきれいに整備されていました。
訪れる人を歓迎しているのがわかりますね。
紅葉の季節には、また違ったナナマツの森の表情がみられそうです。
またぜひ訪れてみたいです。
三田里山どんぐりくらぶのみなさま、ご案内をありがとうございました!