今年は、春から自由な外出もままならず、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウィルス感染拡大予防に伴い、皿池湿原の守り人の活動も、3月から休止しています。
私たちが家にこもっている間にも、季節は巡っていきますね。
湿原やその周辺は、早くも夏の気配が感じられます。
生きものたちは、いきいきと成長したり、活発に動きはじめています。
5月末、久々に担当者のみで、皿池湿原の様子を見に行きました。
ちょうど集落の農会の方々も、ため池の様子を見周りに来られていました。田植えのシーズンですね。
館前の広場。
いつも賑やかなベンチが淋しげに見えます。
広場は、ヒメジョオンとミヤコグサのお花畑に。
小まめに刈り取りしていたミヤコイバラも復活して、可愛い花を咲かせていました。
放っておくと、またトゲトゲのつるに占領されてしまいますね。
少し抜き取りしただけで、このとおり。
ここはササが復活。
昨年、水を抜いて干上がっていたため池は満水です。
下の池から順にため池の水を田んぼに供給していくそうです。
コナラの葉に、オトシブミのゆりかごがたくさんぶら下がっていました。
オトシブミは甲虫で、ゾウムシの仲間です。
オトシブミのメスは葉を器用に巻いて揺籃(ゆうらん)を作ります。
この中には1~数個の卵が産みつけられていて、卵から孵った幼虫は巻かれた葉を食べて、成虫になるまでこのゆりかごで暮らします。
葉の巻物は、切り落としてしまうものだと思っていましたが、切り落とさない種類も多いそうです。
小さな虫が、ほどけないように、葉をしっかり巻いてつくるゆりかごは、とても不思議で、小さいけれど大きな驚きがあります。
湿生林の林床は背の高い草で覆われていました。
カザグルマはまだ咲いているでしょうか。
咲いていました!
奥にもう一輪、小さな花が咲いていて、近づこうと草の中を進もうとしたそのとき、マムシに遭遇して、退散することに。
カザグルマが植わっている付近はマムシ遭遇率が非常に高いです。
お気を付けください!
多様性草原は次回の活動で、草や樹木のひこばえを刈ります。
植栽したキキョウやキスゲの周りは丁寧に手刈りしましょう!
(アシナガバチには気を付けて!)
ササを踏みつけながら歩きましたが、長靴に履き替えていなかったので、嫌な予感がしてズボンの裾を上げて見てみたら、靴下にマダニがペタリとはり付いていました。
ダニが多いので、みなさん要注意です。
守り人のみなさん、この道はどこだかわかりますか。
そうそう、あの道です。階段が設置されました。
モチツツジは、ほかのツツジより、少し花期が遅いようです。
こちらは小さい湿原ですが、生きものがたくさんいるので、見学会等では大人気です。
一見、何もいないように見えるかもしれませんが…。
モウセンゴケは名前の由来のとおり、緋毛氈(ひもうせん)のように、鮮やかに紅く、敷き詰めたように生えていました。
今年も会えて嬉しい!
ハッチョウトンボのオスです。
こちらは黄色いからメスかと思ったら、オスの未成熟個体。
訪れたときには、まだ咲いていなかったトキソウの花が、いま咲き始めているようです。
花の時期は、ほんの短い期間です。
次回の活動日に、朱鷺色の可愛い花が見られますように!
目を引いたのは、こんなカラフルなまるっこいやつ。
シロシタホタルガの幼虫です。
道端にさりげなく、たくさんのタツナミソウ。
きれいに刈り取られてしまって心配していましたが、ちゃんと生えてきました。
ここは両生類たちのお気に入りの場所で、守り人さんたちにも人気のスポットです。
落ち葉をそっと返して、覗いてみると…。
いました!(葉の上に乗っています。わかりますか?)
セトウチサンショウウオの幼生です。
守り人さんたちが、しっかり管理した里山林は、多少草が生えていますが、林床の明るさは保たれています。
ここから見えるため池での水生生物調査は、次回の活動で実施予定です。
通いなれた場所なのに、いつも新しい発見がある、そんな素敵な場所です。
ここでまた活動できる日が待ち遠しいですね。
次回、守り人のみなさんと活動できるのを楽しみにしています!