9月29日は、守り人の活動日でした。

 

今回は湿原での活動はお休みして、三木市にある「ミツカンよかわビオトープ」の視察に行きました。

台風が接近するなかでの開催となりましたが、みなさんの関心は高く、22名の参加がありました。

 

 

市民ボランティアの方々が精力的に活動しているという、「ミツカンよかわビオトープ」に、興味津々。雨にも負けず集まった守り人さんたち。

 

 

マイクロバスで移動し、「ミツカンよかわビオトープ」に隣接する吉川里山公園に到着。

 

「ミツカンよかわビオトープ」は、2004年3月に整備されて、今年で15年。棚田跡を利用した湿地ビオトープと雑木林やアカマツ林などの森林型ビオトープの併せて約16haの広さがあります。

 

ここでは、地元の方々を中心に、ミツカン社員や自然の中での活動が好きな方々で結成されたボランティアグループ「ミツカンよかわビオトープ倶楽部」が活動しています。

 

 

三田皿池湿原の守り人で、「ミツカンよかわビオトープ倶楽部」のメンバーでもあるトラタニさんから、ビオトープや、倶楽部の活動について、お話をうかがいました。

 

倶楽部の活動は、月に一度を基本として、下草刈りなどの維持管理のほか、観察会、バーベキュー、お花見、お月見など、四季折々のイベントを実施しているとのこと。まさに、「楽しみながら活動を継続」している、大先輩です。

 

ビオトープ周辺で観察できるトンボについても、トラタニさんお手製の写真満載の素敵なパンフレットで解説していただきました。

 

 

ビオトープというと、以前は人工的に作った池に、メダカなどの生きものを放した場所のようなイメージがありました。しかし、本来、ビオトープというのは、生きものが暮らす空間のことで、ビオトープをつくるというのは、生きものが、生息・生育する環境を整備することです。

 

食品を扱うミツカンがビオトープを整備した目的の一つは、生態系を維持し、特定の生物が異常発生しない環境づくり、つまり、害虫などの発生を抑制することだそうです。

 

ビオトープを計画する段階から、住民や専門家(兵庫県立人と自然の博物館など5つの主体)が役割分担をしながら関わってきたとのことですが、しっかり基礎を築いてスタートされた活動なのですね。

 

 

ビオトープへの入口。いい雰囲気の雑木林を下って行きます。

 

 

雑木林を抜けると、山田錦が実る田んぼがありました。その先に、棚田の構造をそのまま利用し、水田部分を池にした湿地ビオトープが続いています。

 

 

ミツカンビオトープ倶楽部の副代表の石田さん(左)から、ビオトープについて解説いただきました。中央がトラタニさん、右はミツカンの広報担当のジョージ・フレミンガーさん。

 

 

木道のある湿地では、植物を間近で観察することができます。

 

 

倶楽部の副代表の石田さん。「みなさん、どうぞ、近くでよく観察してください。」身振り手振りたっぷりの、熱のこもったお話とご案内を、ありがとうございました!

 

 

湿地ビオトープの眺め。広々として気持ちのいい空間です。

ため池の管理としては、枯れた草が堆積して遷移が進まないよう、定期的に刈り取りし、刈り取った草は池外に持ち出しているとのこと。また、水田を池にしたビオトープは、水田の営みを模倣して、定期的な耕起による管理が行われています。

 

 

「ミツカンは自然の調和を大切にしている。」とトラタニさん。

トンボのヤゴをはじめとした水生生物を保護するためには、ため池の管理の時期や範囲に配慮することが肝心だ、と強調されます。トラタニさんの、トンボたちに注ぐ情熱は、みなさんの知るところですね。

長年にわたり、この場所の自然をつぶさに見てこられて気付かれたことなど、興味深いお話をありがとうございました。

 

 

ビオトープ倶楽部の方が収穫してくださっていたクリ。

この日は、雨でなければ、ビオトープ見学&栗拾いの予定だったと聞いて、とても残念。

 

 

見学会のあとは、ミツカンビオトープ倶楽部の“カフェ”が開店です。

倶楽部メンバーの方が、収穫したクリをオーブントースターで焼いて、お茶菓子とともに出してくださいました。

 

 

雨の中を散策したあとなので、屋根のある場所で、淹れたての美味しいコーヒーと、ほくほく熱々のクリは、とても嬉しいおもてなしでした。

ごちそうさまでした!

 

この日の見学会のために、東京から来られた、ビオトープ倶楽部担当の広報部のジョージさんから、ミツカン水の文化センターをご紹介いただきました。

ミツカンは、1999年より、年3回、機関誌「水の文化」という雑誌を発行されています。「人と水」とのかかわりを軸に、多様な側面から丁寧に取材されている質の高い雑誌だと思います。著名な執筆者揃いの、興味深く、充実した内容です。みなさん、ぜひご一読ください!

 

機関誌「水の文化」は、ホームページで、創刊号から最新号まで全てのPDFファイルをダウンロードすることができます。また、冊子も希望すれば送ってくれるそうです。(太っ腹ですね。すごい。)

 

ミツカンは誰もが馴染みのあるメーカーですが、今回の訪問と、これらの雑誌づくりなどから、環境への取り組み姿勢がよくわかり、ますます好感をもちました。

 

雨の中、ひとはくの藤本先生をはじめ、案内とおもてなしをしてくださった「ミツカンよかわビオトープ倶楽部」のみなさまに、心より感謝申しあげます。

 

守り人のみなさんもお疲れさまでした!

次回の皿池湿原の守り人の活動日は10月20日です。湿原周辺の里山管理などを予定しています。

秋の気配いっぱいの湿原でお待ちしています!

 

【ちょっとお知らせ】

守り人メンバーのセキモトさんからいただいたチラシです。(と、案内を載せちゃいますが、いいですよね。)

1500年前?に思いを馳せながらの、遺跡巡りへ出かけませんか。

秋の里山ウォークです。

 

 

ご興味おありの方はぜひご参加ください~。