酸素吸入を勘違いしてないですか?

新型コロナの流行を受けて、『酸素吸入』という言葉を耳にすることが日常的に増えた気がします。
また『エクモ』の存在を初めて知った人も多いと思います。


この酸素吸入について、簡単に説明してみたいと思います。
※医学的なことではなく、普段私がクリニックで患者さんにわかりやすいように簡単に説明するときレベルの話です。


酸素吸入と一般的によばれるのは、『鼻のカニューラ』や、『鼻と口を覆うマスク』に酸素を流して、呼吸する空気中の中の酸素濃度をあげます。
呼吸する空気中の酸素濃度が高くなれば、自然と酸素の吸収量があがりますよね。


酸素吸入は『自発呼吸』は出来るけど、酸素濃度が低下している人に対して、呼吸する空気の中の酸素濃度を増やして、体内の酸素濃度をあげます。


あくまでも自発呼吸ができることが大前提。
呼吸は出来てるけど、上手に酸素を取り込めてないから、空気中の酸素量を多くして酸素を取り込む手助けをします。


自発呼吸が難しい人、または酸素吸入では十分な酸素を取り込めない人には人工呼吸器を装着し、呼吸自体の手助けをします。
強制的に肺に酸素を送り込むことになるので、自発呼吸のできない人に強制的に呼吸させることにもなります。
長期に及ぶと細菌感染の可能性も高くなるので、気管切開で管を直接気管に挿管することもあります。
人工呼吸器は強制的に呼吸させるため、とても肺に負担がかかります。


高齢者の場合は人工呼吸器の装着が延命処置にもつながることがあるため、導入はとても慎重に決定されます。


エクモは、さらに重症な人に施行する機械になります。
エクモは肺が本来行うべき酸素取り込みと二酸化炭素除去を代わりに行い、肺が休める状況を作り出します。
エクモは人工肺とポンプで患者さんの体から血液を取り出し、直接血液に酸素を取り込ませて、再び体に血液を戻すことで体内に酸素を取り込みます。


酸素吸入というと皆さんがイメージするのは、2番目の人工呼吸器が多いようですね。
ドラマなどの影響なのでしょうかね。


少なくとも、酸素吸入と人工呼吸器を混同せず理解していただければ、万が一の時に混乱せずに済むと思います口笛