それでも地球は回っている「What's Going On This Morning?」 | I Love Jazz Chants

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日本人英語講師が「ジャズチャンツ英語教授法」の魅力についてお話します。

 

作品   What’s Going On This Morning?

テキスト GRAMMAR CHANTS

 

今日はその名の通り、英文法にフォーカスしたテキストから「現在進行形」がテーマの作品を紹介します。

 

The earth is turning,

The toast is burning,

The water is boiling,

The tea kettle’s whistling,

The faucet is leaking,

The floor is creaking,

The plants are dying,

The kids are crying.

 

What’s burning?

     The toast is burning.

What’s boiling?

     The water is boiling,

How are the plants?

     The plants are dying.

How are the kids?

     The kids are crying.

 

全ての文章が現在進行形ですが、主語が可算名詞か不可算名詞かによってbe動詞が使い分けられています。

テキストの注釈には、他に冠詞「the」の使い方も学べる、とあります。

地球は「唯一のもの」としてtheを付けることが一般的とされていますが、他の名詞については「今目の前にあるその、視界の中にひとつしかないもの」に付くtheと解釈します。

後半では、疑問詞の意味と使い方も学べます。

 

小学生のレッスンでは、このような文法事項には触れず、起きていることを絵に描いたり、実際にこんなことはあったかなどを話し合いながら意味をつかみ、英語の音とリズムに慣れるだけで良いと思います。

韻を踏んでいるので、チャンティングも一層楽しめます。

中学生では、be動詞や動詞の部分を空けて歌詞を打ち出し、ディクテーションをしたり、自分で考えて穴埋めをしています。

一方、大人の皆さんには、詞としてのジャズチャンツを楽しんでいただけるのではないか、と思っています。

まず、前半部分では、ひとつの場所(多分キッチン?)で色々なことが起こっているのが分かります。

トーストが焦げてお湯が沸いてやかんが鳴っているまでは、慌ただしい朝によくある風景ですが、水が漏れて床は軋み、植物は枯れて子どもが泣いているとなると、ここの家はどうなっているのか?と、落ち着かない気分になります。

私が思い浮かべる場面はアメリカの古いアパート、それほど広くないキッチンで、まぶしすぎるほど良く晴れて、空気がカラカラに乾いた朝です。

良いお天気なのが皮肉に感じられるほど荒れてしまった生活が見えます。

このチャンツを初めて聞いた時、こんなに身近にある出来事で、ここまで悲惨な気持ちにさせられるのか、と詩人としてのグレアム氏にも魅力を感じました。

 

しかし、この時はまだこの光景を映画の一場面としかとらえておらず、最初に「The earth is turning.」とある本当の意味は分かっていませんでした。

今年4月の非常事態宣言以降、様々な制約の中で人間の生活は大きく変化したのに、自然は何も変わらず、6月になると例年通り雨の季節がやってきました。

「こんな時でも梅雨入りはするのだ。」と当たり前のことなのに、妙に感心しました。

 

多くの人がおそらく初めて体験しているであろうこの異常な日常でも、自然は何も変わらないと実感した時、「The earth is turning.」 の意味をようやく理解しました。

 

来週は、詩としての部分は胸に秘めながら、久々にこのチャンツを中学生と楽しみたいと思っています。