こんにちは、Sarahです。

大手住宅メーカー勤務の

インテリアコーディネーターです。

 

住空間を通して


人を幸せにすることが

インテリアコーディネーターの責務です。


インテリアに興味があり、

自宅を自らの手でおしゃれにしたいと思う方に

手に入れておくと役にたつ基本的なセオリー(理論)をご紹介します。


とらや赤坂店で建物と景色のマリアージュを

愉しむ


雑誌Pen11/1号で紹介された
世界に誇りたい、東京の最新建築ベスト3の1つ
とらや赤坂店
設計は建築家 内藤廣 2018年
たっぷりと豊かに使われた奈良県吉野ヒノキの
木肌(キハダ)色が
美しいインパクトで出迎えてくれます。

やわらかい木の色に合わせているのは、
相性の良い消炭色(けしずみいろ)の床タイルです。
黒ではなく、ほんの少しだけ白を加え、
黒に寄せたグレーが、階段手すりや窓枠を
規則的なリズムを与えています。

この消炭色を加えることで、ヒノキやナラが
より強く、香り立つ気がします。

窓を臨むカウンター席。
新たに色を加えることなく、木材の色と消炭色を
カーペットや椅子の貼り地に繰り返すことで
洗練された空間が演出されています。

coordinator’s eye

住宅の色彩計画にも応用できる手法です。
色は足すのではなく、逆に引くことを考える
スタイリッシュで垢抜けた印象になります。
さらに、繰り返すことも大切な洗練ポイントです。

ほぼ2色で構成された空間に彩りを添えているのが
大きな窓からの眺めです。
すっきりと晴れ渡る秋の空色、
緑から黄色へのゆるやかなグラデーションと
オレンジと赤で構成されたひとかたまりの樹々が
たくさんの色を目に届けてくれます。

オレンジ色のペンダント照明とも
息がぴったり合っていて
窓ガラスに隔てられた内部空間と
外部空間の景色を上手に繋いでいます。

景色を眺めながら
こしあんのお汁粉(ミニサイズ)をいただきました。
この席でいただくことで美味しさが増します。

地階のギャラリーでは
『羊羹・YOKAN展』が開催されていました。
羊羹の歴史を楽しく、小学生のように学び、
理解することができる企画展でした。

ギャラリーの壁面
ヒノキの木材を格子状に組んでいます。
1つ1つのピースは羊羹がモチーフです。
こだわりが効いています。

展示スペースの最後に作家谷崎潤一郎が
『陰影礼讃』の中で
羊羹を語る一節が紹介され、
文章を具現化した和室が作られていました。
目が慣れるまでは何も見えませんが、
慣れてくるとようやく薄ぼんやりと
皿に載せられた一切れの羊羹が目に入ります。
谷崎潤一郎は、羊羹の色を『瞑想的』
表現しています。
私には理解しがたい表現ですが、
谷崎潤一郎らしいとも思いました。

窓からの景色を一幅の屏風絵のように
楽しみながらいただくお汁粉も格別ですが、
羊羹の姿形すら見えない暗闇では、
研ぎ澄まされた味覚が、より一層美味しさに
奥行きをもたらすのかもしれません。

2階にある虎屋文庫で買いました。
写真集のような新しい『陰影礼讃』
帯の言葉に惹かれました。
日本の美学の底には
『暗がり』と『翳り』がある。

とらや赤坂店
機会があれば、ぜひ訪れてみては
いかがでしょうか?