【勝手に星付け@映画】

黙秘 ★★★★★





…ー「事故は不幸な女の大事な友達よ」ー…

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、わたくし、キングとは相性が悪いのです!

スタンド・バイ・ミーで衝撃を受け、短編集を読みポカーン………続けざまにキング原作の映画を観て、あー。無理ダァー!!となり、

最近やっと持ち直してミザリーを観て、オカルトオチ以外の作品はいけんじゃないの?!ってことで、キャシー・ベイツも出てますし、手にしたのが「黙秘」です!

だって、キャシー・ベイツですから!!!←2回目。

はい。素晴らしい作品でした。

サスペンスではありますが、ドロレス親子の哀しい宿命にあの名作「砂の器」を思い出してしまいました。

映画の冒頭、ドロレスともみ合った末に階段を転げ落ちる富豪婦人。

まだ息がある婦人にのし棒を振り上げているところを取り押さえられ、逮捕。←どう見たって犯人。

実は20年前にも夫殺しの容疑者になった過去があるドロレスを、今度こそ………と当時の担当警部は執拗に責めるが彼女は頑なで不遜な態度をとるばかり。

ニューヨークから駆けつけた娘との再会を喜びつつも、お互いを傷つけ合うような言葉を交わし合う2人。

そして中盤から徐々に明らかになる二人の秘密。時間は遡り20年前の事件の真相に近づいていく……………。

と、こう書くとまるでドキドキ・ワクワクのサスペンスものに思われますでしょうが、メインは母と娘の葛藤や愛、再生の物語でした。

舞台となったのは小さな島。男の大半は漁師で、荒くれ者ばかりの男尊女卑の島。そこで生きる女の哀しみと逃れられない宿命。

ですが!!!

「毒舌だけが人生の“よすが”よ」とうそぶく現代パートのドロレスははっきり言って、全く共感できない!ふてぶてしすぎ!

が、途中、何度も挟まれる回想シーンの中のほがらかで幸せそうなドロレスと現在のドロレスとの落差に、20年という時間がいかに彼女を変えてしまったのか………とてもやるせない。

実にキングらしい美しくノスタルジーにあふれた回想シーンなのに、終わりはいつも悲惨だ。

再会後、娘の荷物をあけたドロレスは、中から出てきた大量の薬(おそらく精神安定薬の類い)をみて、愕然とする。

自分の中では決着がついた過去が、娘の人生に未だに色濃く暗い影を落としていることに気付いてしまった瞬間。

アル中の夫に罵声を浴びせられ、殴られても必死で耐えたのは、全て愛しい娘のため。

はっきりいって、旦那はDVモラハラオンパレードのクソ野郎です!使用人の娘だったドロレスを常に見下す一方、娘のセリーナは溺愛。

なんでだよー!そんな旦那は捨てちまえよ!となるけれど、この時代の女たちは耐えるしかなかったんですね。

新聞記者の娘はそんな母親に冷たく、頭の中は特集記事のことでいっぱい!担当を外されたのは、あなたと寝なくなったからでしょ!と上司に噛み付く始末。

当時、女が仕事を得るためには体を使わなきゃならない………それはDVに耐える20年前のドロレスの姿にも重なり、またもや宿命の重さを実感してしまう。

それでも呪縛から逃れようともがくドロレスと富豪婦人の心の交流はあたたかで、力強い。

婦人もまた男社会の中で生きる哀しみを背負っていたことがわかるシーンでは、涙が出ました。

たとえ事件が解決してもドロレスとセリーナの哀しい宿命の旅は終わらない。 

でもいつかは終わらせてほしい。いや、終わるべきだ。

ラスト、ドロレスが見つめる視線の先にあたたかな未来が待っていると信じる。

素晴らしい映画でした。

オススメいたします。