春先から今も、ポツポツと保護された子猫さんが連れられて来院してくださいます。出会いはさまざまで、知り合いやボランティアさん経由や自ら拾った方、中には道路で今にも轢かれそうになった子猫を危険も顧みず保護した方もおられました。

その方はずっと猫を飼いたかったのですがご家族のアレルギーのため諦めていたところ、一人暮らしになり(ちょっぴり運命的に)その子猫に出会ったのだそうです。ペットショップで購入したのではないけれど…と仰っていましたが、そんな子猫が飼われるのはより一層嬉しく喜ばしいことではないでしょうか?お2人(1人と1匹)の末永いお幸せを心よりお祈りいたします♡

 

 

そんな中、またまた別の保護された子猫が健診にやって来られました。見た目はとっても健康で元気な男の子でしたが、何気なくした検便で珍しい寄生虫卵が見つかりました。条虫(サナダ虫)の中でもノミからうつる瓜実条虫は一般的ですが、蛇やカエルなどが媒介するマンソン裂頭条虫は横浜ではほとんど見た事がありませんでした。早速駆虫薬を使い、定期的検便をご指導してその日はお帰り頂きました。

 

すると翌朝、子猫のおしりから虫が出ていて数10cmにもなる虫体を飼主さんが引っ張り出したとの事。それを病院に持って来て頂くと、平紐状の立派なマンソン裂頭条虫でした。寄贈して頂いたので、ホルマリンに漬けて有難く保存させていただきます。あの小さな体の中にこんな長い虫が寄生していたのです、本当に憎たらしい悪い寄生虫です。たとえ虫体の一部が排泄されても頭部が腸管に残っているとまた育っていくという、完全に駆徐するのはとても難しい寄生虫なので、今後も何度も検便・駆虫を繰り返す必要があります。

 

ひとまず子猫くんは腸の中は少しすっきりしたので、しっかり栄養を取ってすくすく育って行ってほしいですね。