他者に心を見透かされていると思い込む心理

 

透明性の錯覚は、心理学者のトーマス・ギロビッチが行った実験により提唱されました。その実験を簡単に説明すると、数人の被験者がドリンクを飲んでいるところを数人の観察者に見てもらい、お酢の入った不味いドリンクを飲んだ人は誰か当ててもらったところ見抜けたのは10人中平均で僅か3.56人でした。観察者に嘘が見破られているだろうと考えていた被験者は10人中平均で4.91人でした。この実験から人は、自分の感情考えが実際以上に見透かされていると思う傾向があることを示唆しています。

 

例えば、結婚披露宴で新郎新婦の友人代表としてスピーチをする際にとても緊張してしまい予定していなかったエピソードを即興で話した為に披露宴参加者全員の前で失態をさらけ出してしまったと自分が感じていたとしても、相席の人から「いや~、実に良いスピーチでしたね!」などと言葉を掛けられ自分の思惑とは全く違う反応があった場合などにこの心理現象を実感するかもしれません。また、この透明性の錯覚には逆に自分の感情や考えが思った以上に他者に伝わっていると思い込む心理も含まれています。

 

 まとめ

 

自分が思ったり感じたりしている事を他者が同じように理解することは難しい傾向にある為、自分の感情や思考に関して他者に悟られないよう必要以上に意識しないで良いのかもしれません。そして自分の感情や考えが思った以上に他者に伝わっていると思い込む傾向にある為、自分の感情や思考を他者に理解してもらえる様に働きかける必要性もありそうです。