兵法家伝書 新訳          柳生宗矩(むねのり) PHP
 
 
 
@柳生宗矩 :新陰流の宗家。後半生を幕府の要人としていきる。
       血なまぐさい世界を生き抜いた。禅の影響をうけるが、
              実践をつうじており、お座りさんの理論ではない。
  隠忍自重型の人。地味で目立たない人。
 そのかわり、はみだしたり、つまずいたりしない人。
 宮本武蔵に対比すると組織人、組織のリーダータイプ。
 
@物事を成し遂げる意気込みを 志気‘という。
       気持ちが空回りして失敗する例がある。
       これは、気を志に引き留めておく事ができなかったから。
 
@勝負では、手段を選ばない。
     >勝負の世界では、駆け引き、偽りの計略により勝負に勝つ事。      これを‘表裏’という。
     >仏教の世界では ‘方便‘ という。
      真実を隠しながら、計略をもって相手をひきずりこむ。
      すべてはまことのこととなるのである(勝負ごと)。
 
@先手を取ること。
       >日常生活にたとえるならば、主導権を握る事にほかならない。
 
@二目使い(ふためつかい)。
     >みるようにしてみず、みないようにしてみる。
        (勝負の目つきについて)。
     >リーダーたるもの、部下の人間がみていないときに、見る事。        
 
@相手からの距離感。
       >最初は大きく、適度が間合いをさぐる。
 
@拍子。
       >相手の拍子にあわない拍子で勝負することが肝要である。
       >リーダーは、相手の拍子に合わせる必要はないのである。
        (いつも合わせるという事ではないという事)。
 
@渉念無念(しょうねんむねん);捉われから離れる。
        >勝負にとらわれすぎると病気と一緒である。
         勝負を観念として固定的にとらえると、捉われ病。
         意識すれども、捉われないでいるという事が重要。
 
@心の危機管理 空/無心。
        >直き心、真っ直ぐな心を本心、道心という。
        執着、捉われのない無心の状態をいう。
  
       >これにたいして捉われた心を妄心(もうしん)という。
        血気、早る心、激しい自己中心の心。
        これは自己を破壊することにつながる。
       (織田信長なんかがそうだろうと思う)。