先日、

「もう一つの稽古場」B会で昇段審査がありました。

 

現在茶帯のHさん、30代(たぶん)。

一見不愛想に見えて実は親切、アクティブな稽古好き。

これは頑張って欲しいです!

 

指導者のT先生とT子先生が、書類を手に見守る中、

まずは基本稽古の指導です。

我々白帯・色帯の前で号令をかけていくHさん、

やっぱり緊張しているなあ。

こちらも精一杯、気合い入れてスムーズに動かなきゃね。

この日、連日の寒さが一転して緩み、

体育館も何となく暖かくてすぐ汗が出ます。

 

次は型。

「佐良さんも一緒にどうですか」とT先生。

??

「いやいやいや、とんでもないですっ」

どうも意味がわかりません。当然辞退。

1人、撃砕大・小を演武するHさん。

どうも皆が注視する中「一人」はプレッシャーがあった、

ようです。まぁわかりますけれども。

「途中、気合入れる所を間違えたからって、

と言わないw」

注意なのかツッコミなのか、T先生の言葉に皆クスリ。

見ている方も緊張しているんですよね。

 

(ああ、間違っても一緒にやらなくて良かった。

最近、剛柔流のゲキサイ1・2を教わっているから、

何かもう混ざっちゃって、絶対間違えていたわ)

 

ちなみに、

いつもの道場でやっている撃砕と、

気合を入れる箇所が少し違ったりします。

動画サイトで見ても、同じ極真系でも型で細かな違い、

多いですよね。

 

 

下がらない、難しさ

 

メイン(?)の組手。

メンバーは数人、ケガで動けない方もいるので、

(私は非戦闘員です。良かったぁにやり白帯で)

実質4人が回す形…、

と思いきや、隅で一人シャドーしていた大男がニヤリ。

どう見てもキック系の人です。何だなんだ?

「いやちょっと練習日がバッティングしたもので」

「おやK先生、どうぞどうぞ」

T先生のお知り合いのようです。わざとらしい会話で、

どう見ても助っ人です。筋肉の鎧の。

…これは、しんどい相手だろうなあ。

 

1分ずつの戦いが始まりました。

佐良のいつもの道場では、顔面あり・ポイント重視で、

やや遠間から強めに狙い撃ちが多い。

それに慣れているので、

こうして今、クラシックな極真組手を、

生で久々に見ると色々違いを感じます。動画よりも。

「下がるな下がるな」

接近して手数で打ち合う、

今の私にはこういう試合はキツいし、勝ち目もない。

 

ただ、試合と言っても、お互い全力でダメージを与え合う、

ではないようです。

佐良が日ごろ、

「でっかい胴プロテクターと、

西瓜みたいに重い面防具を持ち歩くのは嫌!」

うんざりしている防具類も、

師範が考え抜き、選び抜かれた理由がわかります。

あれを着けた上で最低限の加減をしつつも強く当て、

距離と位置を常に考えて、技術で相手を崩し、効かせる。

 

忌々しい防具のお蔭で、

衝撃は凄いし完全にではないけど、大幅にケガは減り、

考えながら動く、効かせる意識が皆に育ちつつある。

ま、私はそこが下手で体得できず、ボコられていますが、

子供とか若者の吸収力は、師範の思惑通りです。

クラシックな極真組手の最高峰で戦い、勝ち、

極められた師範の「これじゃない」思い…。

 

一方で、スネと手だけの防具で打ち合う、

と言う厳しさも、体験しておくべき世界です。

痛くて怖い、どこまでダメージを与えていいのか、

狂気手前の中で体と気持ちの強い方が、

主導権を握って、押して行く。

「我々の昇段組手は昔ながらの十人組手だったけど、

次第に精神が研ぎ澄まされ、いつもと違う世界に行けた。

あれは本当に貴重な、…一生残る体験だった」

ある先輩のお話を思い出します。

 

 

ファイト一発

 

 

Hさんは次第に疲労を深めつつも、

時折、得意の中段ヒザ蹴りなどを見せます。

女性の指導員であるT子先生が出た時には、

身軽で、素早いフットワークに翻弄されても、

きちんと加減して冷静に動いていました。

こういう、「試合」での男女の組手だからこそ、

加減と真摯な対応力、男性にはキツいと思いますが、

Hさんはさすがです。そして果敢なT子先生も。

 

一方で、謎の大男

キックのジムで教えていらっしゃるらしいK先生は、

何しろ体格も実力も桁違いです。恐らくプロ経験もある。

いわゆる「打たれ強い」人で、

実戦ではそれも必要な要素だと、見ていて感じます。

Hさんには打たせて平気でズイズイ前へ出る、

これじゃ「下がるな」と言われても下がります。

圧をかけつつ、太い足でインローを掛けまくり。

「ロー効いても、横向いたり効いた感じを出さない」

脇でT先生が声をかけますが、無理ですって。

「ああいう時ほど膝を出して張って耐えないと、

余計に効くよ」

キック経験者でもあるT先生が後で言っていましたが。

下段は辛いですよね。次の日、大丈夫かな。

 

何度か水分補給だけの時間を入れ、

最後にT先生が相手となりました。

いつもスパーしている同士だけに、

手の内は合っているけれど、さすがに若いHさんもヘロヘロ。

「あと少し! 前へ出て」

皆の声援を背に、気力を振り絞っています。

終了と同時に拍手。

 

でも、まだあります。

体力審査は皆でやりました。

拳立て他、

「騎馬立ちでひたすら左右の突きを出す」

「同じ足での蹴りをずっと連打」

これを10秒間にできるだけ多く出すのですが、

この10秒が死ぬほど長い!

左右の突き2つで「1」扱いですが、

私なんかはたった17回でした。アセアセこれは練習しないと。

先生方は30本前後ですから。

蹴りはもっとしんどい。

でもこのマッハの連打力、

相手に圧力をかける組手にもつながるんですよね。

 

拳立てはよく職場の休憩時間にこっそりやっていて、

けど、あんまり低く体を下せないんです。

「できる所まででいいけど、少しずつでもできるように。

審査ではそこを見て行きます」

と言われるように、もっと低くできるようにしよう。

隣のHさんは、もうギリギリまで下しているんでしょう、

苦しい息遣いが聞こえます。

「H! もっと下せ」

K先生(筋トレ好きそう)の叱咤が響きます。

 

で、終わりかと思ったら、

動き足りなそうなK先生ともう一戦あり、

Hさんの他にもT先生や、T子先生も。

さすがに女性相手には優しかったです。

 

緑帯の真面目な先輩が、

箱買いしたリポビタンDを配って下さいました。

おいしいですねぇ!

きっと疲れ切ったHさんには何よりの滋味でしょう。

関係ないけどケイン・コスギさんのファンなので、

昔アルバイト先のお店から、

掲示期間終了後のケインさんのパネルを貰った記憶。

やっぱりリポDと言ったらケインさんですっ!(鼻息

 

           ◆

 

この後、

まだ体育館の使用時間があったので、

T先生による「組んだり押したりされた時の対処」

を幾つか教わりました。

普段やらないだけに、楽しい。

 

で、その後電車で数駅なので、

わが道場の少年部稽古へ直行しました。

 

と言うのもこの日、

直前になって「一般部稽古はお休み

となり、少年部だけになっていたからです。

何でだろう?

なので、少年部の片隅で混ぜてもらおうと。

 

行くとP先生と、

オレンジ帯の姉弟だけ。

この子たちはどうやら、次の昇級審査を受けるらしく、

P先生はスマホで審査項目を確認しながら、

基本から一通りおさらいです。

先生は外国の方なので、日本語もできるものの、

難しい文章などは私が読んで説明したので、

お役に立てて、良かったです。