土曜日
午前の年配紳士クラスはお休みして、行って来ました。
高校時代の先生の特別講義です。
◆怒涛の1時間半
夏は暑い地方だけに、日差しは凄かったですけど、
トンボがスー…と飛んでいて、風はどこか爽やか。
70代とは思えぬ、テキパキした身動きの恩師は、
私が習った当時は国語科教員でしたが、
その頃からハイレベルな授業と熱血指導で、大人気でした。
この年になって、
また先生の講義が度々聞けるなんて…。
まさに「命なりけり」(byおみくじ)
今回の題材は「注文の多い料理店」。
小学校の国語科でも多く採られていますが、
・出席者全員、気になった単語を挙げていく
・作品読解の重要キーワードから読解展開
(AIで高頻度ワードが出ているのも参考に)
・研究する上での視点、アプローチ(ムチャクチャ多彩!)
・先生独自の視点(※私にはこれが一番大事)
これだけではなく、
「聞く」 つまり朗読も読み方を深める。
ここで、加藤剛さんによる朗読CDが少し流されました。
「大岡越前」の、あの加藤剛さんです。おおっ!
ルールルル~~ ルルルルルールル~♪
テーマ曲と、端正で気品ある越前の姿が浮かびましたが、
さすがですねぇ、朗読も素晴らしい。
地の分は明快に、聞きやすい。
二人の紳士の会話はどこかキザっぽく、余計にムカつく。
しかも2人微妙に声を変えて。
扉の怪しい注意書きも、耳で聞くとまた不気味です。
必要かどうかわかりませんが、BGMも個性的で、
細野晴臣さんかな?と勝手に思いました。
調べると、新潮社の名作朗読シリーズらしい。
私は子供のころ、
某アニメ映画をずっと音源だけで「見て」来ました。
朗読もまた「見え」るんですね。落語のように。
もちろん、うまい読み手であればですが。
と、どれ一つ取っても深堀りすれば、
大変なことになる事を一気に述べるので、
前回のように、
『隣や後ろの人と話し合いましょう』
って時間はありません。そして、それが大正解。
「ここ大事、マルつけて」
せわしなく資料にペンを走らせていると、
●十年前の教室に戻ったような気がします。
ーーいつも、新しい読み方のヒントを提示され、
頭をパンパン叩かれるような新鮮さに、
なぜか負けじと意地になる17歳。
放課後「ここは、私はこう解釈しましたが~?」
と職員室まで聞きに行った事も数度。
一番多忙だった先生の机は一番すっきり整頓されていて、
突然の質問にも、快く向き合って下さった。
大学の近代文学ゼミより、ずっと濃くて楽しかった。ーー
そんなこんなで、
たったの1時間半は怒涛の集中講義で一瞬でした。
まさに、風がどどうっ と過ぎて行ったみたい。
「9月は賢治の命日でもあり、
何だかざわざわする」
今度は「銀河鉄道の夜」をやりたい、と言われます。
まさに私の卒論のテーマだ、全然力及ばなかったけど!
もうもう、何を置いても出席しますから是非!
「暑いから気をつけてね」
先生こそ。切にご無理なさらないで下さい。
今も毎朝4時半に起きて、「ごん狐」について書き続け、
それでも読むたびに発見がある、と言われます。
◆これまた、怒涛
夕方稽古は、マッスル先生のご担当日。
この日は主に、故・総裁の基本稽古(突き方一つ取っても違う)
それに、平安5の型の分解。
何度聞いても、護身的な極め方は私には不得手だけど、
単なる受けにしては不自然だと思っていたものが、
実は攻撃だったりする。
リアルから生まれた動き方を秘めた、命ある一種の方程式。
ここでも、頭がパンパン叩かれる。いや組手の話じゃなくて。
…それは良いんですけど先生、
技をかけられる役に、いちいち私を使うのやめて下さい~。
普通、男でしょ。投げられたりするのって。
腕ロックされて放られるわ、
刃物代わりのペットボトル持たされて悪役にされるわ、
襟を取らされ、ムキムキの大胸筋にガチ挟まれるわ。
「やられ役、ご苦労様…」
傍らで某さんにそっと言われました。
ヘロヘロです。何でなの(´;ω;`)
時間終了間際、
「もういっぺん、おさらいです」
平安5をやりながら、マッスル先生は次々に、
「ここで裏拳アッパー気味に入れる!」
「ここ入り身落とし!」
早口で、クルクル動きながら解釈を述べて行くんです。
一つ一つ、分解して解説していたものが一連の型となっていく。
正直、粗末な頭がついて行かないけど…。
圧巻だ。
この時、再び風がどどうっ と吹き過ぎました。
やたら熱くて濃い風が。