土曜日稽古・一般部(午前)
「あsdfghjkl;」
Y先生の悲痛な声に、硬直する佐良。
何かしました私?
金的が入った…、らしい。
遠い間合いから低めの蹴り、
爪先に先生の道着がスッと触れた、と思ったら、
「表現はアレだけど、ビローンと下がっている物へ、
下から掬い上げられたような」(談)
何だかわかりませんけど、大変だ~~!
オロオロしている私。
いつもクールなO二段は、慌てず騒がず、
先生の腰をトントンしてあげる。
「まぁタイミングが悪かったんでしょ」
Y先生も座り込んだまま、
かえって私を慰めるように色々お話される。
「蹴られるこっちが未熟だから」
いやいやいや、もう平謝りしかありません。
一般部(夕方)
今日はM先輩だ。
高校生集団が来られないので、
珍しくサシ稽古となる。
この日は、先輩は少年部指導も代行。
そのまま流れで夕方もご指導、って大変ですよ。
「いや少年部と言っても、
幼児から中学生まで一緒で。
幼児は集中力がすぐ切れる、
けど合わせていたら、やる気のある子の方が損する。
たまの代行だからいいけど、ずっとは出来ないなあ」
(うぁ~、私が代行を断った件は言えないなあ。
夕方ご担当の方が結局、流れで引き受けるしかないのね。
先輩でも御苦労されるんだから、私にはやはり無理だ)
「そんなわけで、もう俺は体は動くので、
早速組手やる?」(シュッシュッ打ちながら)
「ヤですっ!」
高血圧高脂血高血糖高尿酸、
足腰膝が痛い、何なら手術経験者もいる、
年齢層高めの午前の紳士クラスでも、
一番楽しく大暴れしているのがM先輩です。
(今日は、朝の紳士クラスはご欠席ですが)
「荒法師」と異名を…、取っていません。
勝手に私が名づけただけです。もちろん心の中で。
イメージ→
「他にいないし、何かやりたいことはありますか」
とのお尋ねに、
午前中の金的事件(?)をお話しし、
「サウスポーのY先生に対して、
こう角度が開いた所で中途半端な私の右蹴りが(汗)」
「なるほど。Yさんは柔道やってて、足がオープンだし。
Oさんみたいにクローズだと、そう入らないね」
「いやでも、O先輩には、
『佐良さんには金的を二度喰らったものだ』って言われました」
「…それはもう、蹴りの精度の問題でしょ」
★まずは、サウスポーの動きも学んでみる。
自分自身も右前に構えて移動稽古。
普段やっているワンツーだけでもやりにくい。
そのやりにくさも、脳のトレーニングになります。
★前回も言われた、
上半身の動きを伝える蹴り方。あえて振り手を大きくする。
前回は出来なかったけど、
少しは進歩が見られましたし、褒められました。
「前、S君(高校生)は言われてすぐ、少し出来ていた。
けど、その後意識しなかったら、
半年後には忘れてしまうだろう」
私は年齢だけではなく、
日本有数(自信あり)の運動音痴音痴です。
「同じように動いても、
違う違うと言われ、混乱する現象」で伸びません。
そんな私でも。
言われたことをちょこちょこ脳内で反芻する、
少しずつ意識して動く、
これだけで、多少はマシになるんですね。
★組手練習で私がいつも感じる「壁」
一応、お互い軽く打ち合う前提だけど、
「ここを越えて入ると、容赦なくボコボコにされる」
「でも、そこを越えないと手先足先しか当たらない」
そういう壁が、私には常について回ります。
朝の金的事件も、ある意味それかも知れません。
M先輩もそこは察知されていて、
「壁ね。今日はあまり逃げ回らないで行きましょう」
攻撃役、防御役を決めて、
技数も限定して、軽く打ち合う。
いやでもねぇ、軽くと言っても寸止めでも、
「壁」を越えたらボコボコなわけですよ。
ノーダメージですけど。
絶望的に(本当だったら防げなかったよなあ)
という局面ばっかり。
そこを無視して前に出ても、
「今のは入っているからね?」
と指摘されるし。
そんな中でも私がもし、ボコッと強めに当てたりすると、
相手にスイッチが入るので、
余計なケガを負うんだと、いつも言われます。
体格とか威力だけじゃなくて、何から何まで壁。
ダメだダメだ、と感じながらも、
慣れるしかないんでしょうね。数をこなして。
「こちらはありがたいのですが、
こう軽い練習ばかりだと、皆物足りない思いですよね」
「いや、俺らも拳で会話しているから」
「?」
「わからないよね。
練習で向き合いながら、今日はこれ位でやろうぜ、
今日は疲れているから軽くね、
って暗黙の了解を取り合うわけよ」
朝から大暴れしている年配紳士軍団、
元気があり余っているようでも、
実は皆、無言で強度を合わせて無理なくやっているんですね。
だから、人により体調により、
「あんまりガツンガツンやりたくない」
と誰かが思えば、それは瞬時に合わせているのだと。
物足りないと思うようなら、
強くやりたい同士でやればいい。
よく、他の道場へ出稽古に行ったりすると、
阿吽の呼吸が掴めない人と当たって疲れる、
とも聞きますし。
「佐良さんみたいに軽い人は、
その分スピードがあるから」
とも言って頂き、そこはあんまり実感はありませんが、
私が悩み、時には無力感で絶望したりする事、
感じ取っておられるのかなあ、と。
稽古が終わって、
「ああ、いい練習した」
……本当なら、伸びる高校生大学生達に、
色々お教えしたかったでしょうに。
いや~、大暴れしていても、
やっぱり一番心優しい先輩だなぁ。
つくづく感じました。
そう言えば道場のチラシを自作し、
配布しやすいように工夫されたのも先輩だった。
一番厳しい事もよく言われるし、
佐良も何度も怒られてきているし、
KOされた事もありますが、(←弱。)
誰よりも、目配り気配りされるんですよねぇ…。
百戦錬磨で心優しい荒法師に、
手取り足取り教われたんですから、
こんなにありがたい事はない。
先輩は通算4時間近くも拘束されて、
お忙しい中、本当にお疲れだと思います。
そういう、
ご自分の貴重な時間と、「心」を、
遣って下さる方々。
そうそう真似できる事じゃない。
礼儀を尽くすの、ごく当たり前だよなぁ…。