新道場はレンタルスペース

 

道場が移転して…、

と言うより、常設ではなくなって、

すぐ近くの貸しスタジオで稽古を続行しています。

 

何と言っても、

今までの道場と大して場所は変わらないのがいい。

駅からの道も一緒。

 

大きな鏡、トイレや更衣室、空調も完備。

(更衣室は男女兼用で1つ。

だから私が着替える時は、男性陣は稽古場で着替えます。

申し訳ない…)

受付にスタッフが常にいる。清掃もしてくれる。

今まで地下階で湿気が酷く、

夏場は効かないエアコンで蒸し風呂状態だし、

梅雨時は壁がカビてカビ取りに追われていた。

ここはそんな心配はなさそうだ。

 

設備面はそこそこいいですけど、

 

愛するサンドバッグがない…。

 

当然です。バレエなどの教室でも使われる自由スペース。

常設道場なら当たり前にある、

サンドバッグやミット、砂袋から、

細々とした道具、

消毒剤や防具の曇り止め、拭くもの、

型の教本など、何もないわけです。

それらは、元の道場から引き上げられて行きました。

家が近い先輩が、ミットを少し預かっておられますが、

自分の防具類に加えて、

それらを持参するのも大変です。毎回は無理でしょう。

車で通う人もいませんし。

 

「時間厳守!!」

 

今までも稽古時間は決まっていたけれど、

多少早く始まろうが延長しようが、

細かくは気にしませんでした。

(師範や師範代に無断で、

あんまり勝手に居残り稽古はすべきではないので、

責任者である指導員の先生が程よく切り上げますが)

 

ここは30分幾ら、という単位で時間貸しです。

決められた稽古時間を超えると、

清掃スタッフにも迷惑です。

延長料金を取られるでしょうし、

混んでいる曜日だったら次の使用者に大迷惑でしょう。

 

時間内に出るためには、

着替えとか防具の着脱なども計算に入れ、

今までみたいに道場で歓談している暇もありません。

早く着き過ぎないように来て、

終わったらバタバタと着替えて出る。

分単位で追われている気忙しさ。

 

前を向く人達

 

不便になった面がありますが、

誰も「道場が変わって悲しい」

と不満を言う人はいない。

最後の日にほんの少し、しんみりしただけ。

 

U先輩などは、LINEでスタジオの写真を入れつつ、

使い方を詳しくレポートして、

早速情報を共有されようとしています。

そして、こう書かれています。

「こんなに良い場所を見つけて下さった師範代に、

感謝しております」

 

……先輩のおっしゃる通りです。

 

場所も設備も重要ではあるけれど、

道場って何かと言われたら、

結局「人」なんだ。

 

もちろん、馴染んだ元の道場への愛着は、

皆持っている。

古い先輩方は私以上に。

 

あの看板の、その後

 

師範代がLINEでご報告して下さいました。

「看板は、別道場につけることになりました」

 

前回私が別れを惜しんでいた、

この間まで我が道場入り口に掲げられていた物です。

夕方、ほんのり温かい光を灯して、

いつも私を導いてくれた上品な楷書、白い看板。

外された後、

別の市の道場入り口に取り付けられたんです。

その写真もあって、

見たこともない街に、

見慣れたあの看板が、

すっと馴染んでいました。

嬉しかった。

看板も嬉しいに違いありません。

新しい街で、皆の目印になってくれるなんて。

 

と、ポン、ポン、

様々なスタンプが続いていきます。

何人もの先輩方が、「ありがとう」

の意味合いでスタンプをつけているんです。

やけに可愛らしいキャラクターやら猫やら、

いい年をしたおじ様方…いや紳士達が、

と思うと不気味ではありますが…。

普段、そんなにリアクションしない静観モードの方々が。

 

私以上に嬉しいんですよ。

皆、あの看板が大好きだったんですよ!

妙にジンと来ました。

 

本当は道場移転だって皆、寂しいんだ。

けれど、泣き言を言い合ったりしない。

辛い決定をして、片付けや手続きに奔走された、

師範代や師範のことを、思い遣って。

 

 

余談

 

あ、最後のガラケーの使い手だった佐良ですが、

最近スマホに変えました。だからLINEも見られます。

思ったより安く済んで、便利さは格段に上。

昇段審査の頃にスマホにしておけば、

諸連絡や動画審査、写真の送付等、楽々だったものを。