学生空手道部時代の同期のMと、

久しぶりに会いました。

Mは他県に在住していますが、

コロナ情勢で2年ほど会えませんでした。

 

私達が学生の頃、

それまで男ばっかりのむさ苦…いえ男塾だった部に、

やっと女子部員が入部を許されるようになったばかり。

慣れない下宿で、恒例の新入生勧誘を受け、

空手部か~、見学に行ってみるかと後日体育館へ。

何人か見に来ていたような気もしますが、

小柄な女子一人が、

「ぜひ入り~。女の子おらんと寂しいもん&'%("#!」

早口の関西弁で怒涛のラッシュに棒立ちする佐良。

何だなんだ?

既に入部を決意していたMでした。

 

一緒に入った数人の男子は大半が辞めて行きました。

見学の時は格好よく見えた練習風景、

アレ、基本と移動を延々休みなく繰り返すものだった。ドクロ

初心者なら前屈立ち後屈立ちをキープもできませんが、

少し腰を浮かせようものなら、すぐ叱咤されます。

運動経験ゼロの私など、一番ビシビシ怒られ続ける。

息も上がってバテている私の隣で、

白帯のくせに、

平気で何往復でもできたのがMです。

空手の先生である父親の元で仕込まれ、

国体上位の実績もある、ただし流派だけが違うという奴。

 

増田俊也氏の著書には、

北大柔道部時代の厳しい練習や上下関係が、

生き生きと詳述されていますが、

レベルは下がるし空手ではあれど、

もう鬼のようなギッチギチの世界感は酷似している。

今となれば、

体力も耐性もある年代で体験できて超ラッキーでしたが、

当時は疲れている暇さえなかった。

 

同期で女子は2名だけで、

文系一本でぬくぬく育った、ド下手で無愛想な私と、

最初から先輩より上手な、何でも器用で明るいMと。

よくもまぁ正反対な奴らが4年間、

仲良く付き合えたものです。

 

Mは今、剣道をやっていますが、

習っている場が道場スタイルではなく、

スポ少みたいな団体らしく、

稽古をしっかり重ねたい彼女には物足りないようです。

やはりきっちり教えてくれる場所が、

向いている、と私は言いました。

 

「年を取ったら、全国に散っている仲間たちを、

二人で訪問して回ろうなぁ」

と昔言い合っていましたが、

やはり年月と共に、先輩後輩とも疎遠になりつつあります。

女子の先輩方にはいつか会いに行きたいですけど…。

一番長く付き合えるのは同期なんだなぁ。結局。

 

子供を育て上げた今、気が抜けてしまい、

何をしたらいいか、やりたい事が見つからないと、

彼女にしては珍しく弱気です。

でも色々雨の中を語り合っている内に、

忘れかけていた型を再び打ってみたくなった、

と。

あ、何か熱気が感じられる。

「途中でわからなくなるかも」

「大丈夫。今はYouTubeで見れる」

あの閃光のような型を(本当に素晴らしいです)

このまま凍結させてはもったいない。

原点を辿り直す事で、

彼女の第2のやりたい事が、次第に浮かんで来る気がします。

 

華麗に動く彼女の隣で、

無骨極まりない私の極真の型を一緒に打ってみたいです。