こんにちは。精力高め太郎です。
Yahoo!知恵袋で、こんな質問を見つけました。
「男性は仕事が忙しすぎると性欲がなくなるものなのでしょうか」
ところがアメブロには、ほぼ逆のタイトルの記事があるんです。
「男性って疲れていると、性欲って増すの??」
どちらも書いているのは奥さん側でした。夫の様子が読めなくて困っているわけです。
知恵袋にはほかにも「激務の男性の夜の営みはどのくらいでしょうか?」という35歳の奥さんの質問がありました。
夫の側の私としては、読んでいて胃が痛くなりました。どれも身に覚えがあるからです。
日本家族計画協会が2016年に行った調査では、セックスに積極的になれない既婚男性が挙げた理由の1位が「仕事で疲れている」で35.2%でした。2位の「家族のように思える」12.8%を大きく引き離しています。
疲れると性欲は消えるのか。それとも、いわゆる「疲れマラ」で増えるのか。気になりますよね?
今回も死ぬほど調べました。読んだ研究は17本です。
先に結論を言うと、疲れマラは今夜だけの現象で、疲れが何週間も続くと性欲は確実に削られていきます。
効く時間の長さが、上がる側と下がる側でまるで違うんです。
目次
疲れている夜にかぎって元気になる。あれは気のせいではなかった
まず私の話をさせてください。
今年の3月、年度末の決算対応で2週間ほど終電帰りが続いた時期がありました。
終電で帰って布団に倒れ込むと、なぜか下半身だけが元気なんです。体はくたくたで、頭も回っていないのに。
妻はもう寝ています。私も2分後には寝落ちしていました(笑)
あの現象には、裏付けになりそうな研究がいくつかあります。
スウェーデンの30〜50歳の男女39人に、人前でのスピーチと暗算という強いストレス課題をやらせた研究(Lennartsson 2012)では、男性も女性も課題の直後にテストステロンが上がっていました。
採血は課題の前と直後、そして30分休んだ後の3回です。上がったのは、まさに追い込まれている最中だったわけです。
著者らは、急なストレスの初期にはむしろ性ホルモンが上がることがある、と書いています。
もう1本は、緊張で中折れする記事で紹介した実験です。健康な男性12人に「電気ショックが来るかもしれない」と脅しをかけたところ、勃起の反応はむしろ大きくなりました(Barlow 1983)。
ただし、ここは強い証拠ではありません。
同じような課題でテストステロンが動かなかった研究もあります(McLean 2023)。2019年のレビュー(Kane 2019)は、不安で男性の勃起が強まった実験は2本しかなく、ほかは「下がるか変わらない」だったとまとめています。
「疲れた夜に元気になることはある。ただし毎回ではないし、人による」というのが正直なところです。
疲れマラの正体は、外れたブレーキだと私は読みました
正直に言うと、疲れマラそのものを調べた研究は見つかりませんでした。
なので、ここからは勃起の仕組みから考えた私の解釈です。
勃起は副交感神経、つまりリラックスの神経がスイッチを入れて起きます。反対に、交感神経が出すノルアドレナリンは陰茎の血管と海綿体を縮めて、ふだんの柔らかい状態を保っています(Andersson 2011)。
仕事中の体は交感神経がずっと優位です。陰茎のブレーキを踏みっぱなしにしているようなものです。
家に帰って布団に倒れ込んだ瞬間、そのブレーキが一気に外れます。
性欲が増えたのではなく、踏んでいたブレーキが外れたぶん反応が出やすくなっている。 私はそう読みました。
実際、あの夜の私は「妻を誘いたい」とは1ミリも思っていませんでした。体は反応しているのに、頭は眠いだけだったんです。
奥さんたちが混乱するのも当然ですよね。
激務が続くと、テストステロンは静かに削られる
問題は、その夜を2週間くり返した後です。
働く男性を1年間追いかけた研究(Theorell 1990)では、仕事の負担が増えた時期にテストステロンが下がり、負担が減った時期には上がりました。
実験で負担を与えたのではなく、1年の中で忙しくなったり落ち着いたりする自然な波をそのまま追った研究です。会社員なら誰でも身に覚えのある波ですよね?
小規模な観察研究なので強い証拠ではありませんが、同じ人の中で上下したというのが面白いところです。
仕組みのヒントになる研究もあります。男性のコルチゾールというストレスホルモンを人工的に上げると、テストステロンが速やかに下がりました(Cumming 1983)。脳から精巣への指令ホルモンは動いていなかったので、精巣に直接ブレーキがかかったのだろうと私は読みました。
さらに夜勤です。
米国の男性754人を調べた研究(Rodriguez 2020)では、交代勤務そのものでは勃起の点数に差がありませんでした。ところが交代勤務で睡眠が乱れている人は2.8点、夜勤の人は日勤の人より7.6点も低かったんです。
この研究で私が引っかかったのは、もともとのテストステロンの値と勃起の点数に関係が見られなかったことです。夜勤で落ちていたのはホルモンだけではなく、眠りそのものだったのかもしれません。
別の2,571人の調査(Balasubramanian 2020)でも、交代勤務で睡眠障害がある男性はテストステロンが低くなっていました。
22〜40歳の会社員826人を調べた2026年の研究(Huang 2026)では、職場のストレスが最も高い群でEDの割合が54.37%でした。ただしこれは一時点の調査なので「ストレスが原因」とまでは言えません。
疲れマラと筋トレの話がつながった
ここで、前回の筋トレの記事で使った研究を思い出しました。
運動の直後にもテストステロンは上がります。でも15本のランダム化比較試験をまとめた2026年のレビュー(Tu 2026)によれば、その上がり幅は30分以内に元に戻るか、元より下がります。
一方で、持久系の運動でへとへとになった男性12人を追った研究(Anderson 2016)では、遊離テストステロンが24時間後も48時間後も低いままでした。元に戻るまでにかかったのは約72時間です。
上がるのは30分で、下がるのは3日間です。
前回紹介したHackney 2017の調査(運動する男性1,077人)で、追い込みすぎの男ほど性欲が低かった理由も、この時間差で説明がつきそうです。
疲れマラと激務も同じ形をしているんです。
今夜だけを見れば、疲れは体を元気にすることすらあります。でも疲れが毎日重なると、上がる30分は毎日消えて、下がる3日分だけが積み上がっていきます。
あ、そこに繋がるんだ、と思わず声が出ました。
いちばん大きな落とし穴は睡眠です。睡眠の記事で紹介したLeproult 2011では、1週間5時間睡眠にしただけで若い男性のテストステロンが10〜15%下がりました。 10〜15歳ぶん老けたのと同じ量です。
終電帰りの2週間、私の睡眠は毎晩5時間を切っていました。
2週間で朝立ちを失った私が、自分でやっていたこと
睡眠が短いだけなら、まだ救いがあります。私の場合は、その短い睡眠をさらに自分で削っていました。
1つ目は寝酒です。
終電で帰ってから、気持ちを切り替えるためにハイボールを1〜2杯飲んでいました。
禁酒の記事で紹介した27研究のメタ分析(Gardiner 2024)では、標準的なグラス2杯ほどの少量からレム睡眠が削られ始めます。 朝立ちはレム睡眠の時間に起きるので、寝酒は朝立ちをじかに減らしていたわけです。
2つ目はベッドの中のスマホです。
寝る前のスマホの記事で紹介したノルウェーの学生45,202人の調査(Hjetland 2025)では、ベッドに入ってから画面を見る時間が1時間増えるごとに、睡眠が24分短くなり、不眠のオッズが1.59倍になりました。
頭を空っぽにしたくてニュースや動画を眺めていたのですが、気づけば30分、40分と過ぎていました。
どちらも疲れを取るつもりでやっていたことです。5時間の睡眠を、私は自分で4時間台に縮めていました。
あの3月の2週目には、朝立ちがほぼ消えていました。
スパルトT5は朝晩3粒ずつ続けていたのに、昼間の体が重い。週末に妻の隣に座っても、誘う気がまったく起きませんでした。
妻からは「疲れてるなら、今日は早く寝たら?」と言われました。いやぁ、ホントに情けなかったです。
結婚記念日に立たなかったあの夜の記憶がよみがえって、自分がまたあの頃に戻ってしまうのではないかと、正直かなり焦りました。
決算が終わった最初の土曜日、10時間ぶっ通しで寝ました。朝立ちが戻ったのは、その3日後です。
さらにその週末、子供たちが寝たあとに妻のほうから肩にもたれてきました。2週間ぶりに、ちゃんと「そういう気分」になれた夜でした。
3日という数字は、Andersonの研究の72時間とたまたま同じです。もちろん私1人の体験なので偶然かもしれません。
ここで1つ、論文を読んでから気づいたことがあります。
疲れマラの夜に「せっかく元気だから」と無理をしなかったのは、結果的に正解だったんです。
あの元気はブレーキが外れただけで、体力が残っているサインではありません。そこで夜更かしをすれば、翌日の睡眠の借金がまた増えるだけでした。
今の私のルールはこうです。
- 疲れマラの夜は、そのまま寝る。それを「今日はよく働いた」の合図だと思うことにしています
- 繁忙期でも、睡眠だけは6時間を割らない。サプリを効かせるための下ごしらえです
- 終電の日は寝酒をしない。スマホは寝室の外で充電する
- 繁忙期が終わった最初の週末は、何も予定を入れずに寝る
- 週明けの朝立ちで回復を確かめる
もう1つ、夫婦を調べた研究(Bodenmann 2007)を引用した2024年の論文によれば、関係に不満がある男性では、外のストレスが多いほど性生活がむしろ多かったそうです。
ストレス発散のために性欲が増えたように見える男もいる、ということです。疲れた夜の夫の行動が読めないのは、奥さんのせいではありません。
まとめ:疲れマラは今夜だけの現象、激務は性欲を少しずつ削る
最後に整理します。
- セックスに乗り気でない既婚男性の理由の1位は「仕事で疲れている」35.2%(日本家族計画協会 2016)
- 急なストレスでテストステロンや勃起反応が上がった研究はあるが、毎回ではない
- 疲れマラは、仕事中に踏んでいたブレーキが外れた反応だと私は読んでいる
- 仕事の負担、夜勤、5時間睡眠が続くと、テストステロンも勃起の点数も下がる
- 上がるのは30分、下がるのは3日。疲れが毎日重なると、下がる側だけが積み上がる
もし今、疲れているのに夜だけ元気なら、それは体からの「そろそろ寝てくれ」の合図かもしれません。
そして妻を誘う気が起きない日が続いているなら、サプリは続けたまま、まず睡眠を取り戻してみてください。私の場合、性欲が戻ってきたのはその3日後でした。
参考にした研究・調査
- 日本家族計画協会「第8回 男女の生活と意識に関する調査」2016年(nippon.com による紹介)https://www.nippon.com/ja/features/h00161/
- Lennartsson AK, Kushnir MM, Bergquist J, Billig H, Jonsdottir IH. Sex steroid levels temporarily increase in response to acute psychosocial stress in healthy men and women. Int J Psychophysiol. 2012;84(3):246-253. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22407091/
- Barlow DH, Sakheim DK, Beck JG. Anxiety increases sexual arousal. J Abnorm Psychol. 1983;92(1):49-54.
- McLean et al. PLoS ONE. 2023. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0287153
- Kane L, et al. J Exp Psychopathol. 2019;10(2).
- Andersson KE. Mechanisms of penile erection and basis for pharmacological treatment of erectile dysfunction. Pharmacol Rev. 2011;63(4):811-859. https://doi.org/10.1124/pr.111.004515
- Theorell T, Karasek RA, Eneroth P. Job strain variations in relation to plasma testosterone fluctuations in working men: a longitudinal study. J Intern Med. 1990;227(1):31-36. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2299296/
- Cumming DC, Quigley ME, Yen SSC. Acute suppression of circulating testosterone levels by cortisol in men. J Clin Endocrinol Metab. 1983;57(3):671-673. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6348068/
- Rodriguez KM, Kohn TP, Kohn JR, et al. Shift Work Sleep Disorder and Night Shift Work Significantly Impair Erectile Function. J Sex Med. 2020;17(9):1687-1693. https://doi.org/10.1016/j.jsxm.2020.06.009
- Balasubramanian A, Kohn TP, Santiago JE, et al. Urology. 2020;138. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31917971/
- Huang W, et al. Dose-Response Relationship Between Workplace Psychological Stress Accumulation Index and Erectile Function in Young Men. Int J Clin Pract. 2026. https://doi.org/10.1155/ijcp/7492091
- Tu Q, Li G, Wang S, et al. PeerJ. 2026;14:e20615. https://doi.org/10.7717/peerj.20615
- Anderson T, Lane AR, Hackney AC. Eur J Appl Physiol. 2016;116(8):1503-1509.
- Hackney AC, Lane AR, Register-Mihalik J, O'Leary CB. Endurance Exercise Training and Male Sexual Libido. Med Sci Sports Exerc. 2017;49(7).
- Leproult R, Van Cauter E. Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men. JAMA. 2011;305(21):2173-2174.
- Bodenmann G, Ledermann T, Bradbury TN. Stress, sex, and satisfaction in marriage. Pers Relatsh. 2007;14(4):551-569. https://doi.org/10.1111/j.1475-6811.2007.00171.x
- Gardiner C, et al. Sleep Med Rev. 2024(アルコールと睡眠のメタ分析・27研究). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39631226/
- Hjetland GJ, et al. Front Psychiatry. 2025.