ぼた山 (後編) | SAPPERの兵隊・抑留記

ぼた山 (後編)

 
 配車に手違いがあったのか野積みの石炭は高さ2メ-トル位ある。ようやく配車されたのは、有蓋車(屋根付)だった。すでに石炭は蒸れて下のほうは発火しているのだろう。白い煙が数条たっている。

 

 炭積みが終わり、次の空車がくるまで零下30度の中で休憩である。防寒外套など着用してるが、冷気で顔面などゴワゴワして痛い。石炭の斜面をハンモック状に掘り、その中に背中からドブンとはいる。
 
 決して温かくはならないが、少なくとも背中からくる冷気は遮断できる。
 
 貨車積みの際、酸素の供給を受けて炎を上げる石炭があるが、そのまま貨車の中に収まる。
 
 後年、1991年7月、慰霊、骨踏査でブカチャチャを訪れた。8月ゴルバチョフ政権崩壊、初冬にはソ連 崩壊の年であった
 
 第一炭坑は採炭を終わり、跡形もなくきれいに整地されていた。しかもぼた山の焼けた岩屑はおそらく道路補修の砂利代わりに使ったのだろう、わずかに赤茶けた岩屑が数点散らばっている広場に変わっていた。
 
 第二炭坑は細々と採炭していたが、ぼた山の火や煙はすでになく、燃え尽きた岩屑はは煉瓦色に赤茶け、山の上には山羊が数匹遊んでいた。
 
 
 
               2008.10.25記
 
 
用語解説
【ぼた】石炭採掘の際、混じって出てく岩石や質の悪い石 炭塊。ずり。
【ぼた山】ぼたを捨ててできた山。ずり山。