氷柱(つらら)
『ダモイ遥かに』(辺見じゅん著メデイアル・2008.4.20初版)この小説の本筋ではないが、中に「氷柱(つらら)」の記事がある。俺のシベリア抑留は3年だが、その間、注意散漫の性だろうが「氷柱」を見たという記憶はないのである。
小説の舞台「ハバロフスク」とチタ州ブカチャチャでは同じシベリアでも暖かさがこうも違うのか。
抑留中収容所のあったブカチャチャは炭坑村である。
最初は炭坑夫だったが、地上で建築関係の仕事もした。図面の整備、汚れた図面のトレ-ス、実在してるが紛失した図面は実測図作成だ。建物実測は一人だ。携行品は金槌釘巻尺筆記具等だ。
始めの頃はウロチョロ一人で歩き回るので、脱走兵と間違われ付近の住民に誰何(すいか)されたものだ。厳冬岡の上の給水小屋の実測のとき見たのは、水槽から発生する水蒸気が瞬時に霧氷となり、出入り口通過の際回りにこびりついてつるつるになっていた。氷柱はなかったと思う。
2008.9.7記