兵隊・抑留記(108)  黙れアクチブ | SAPPERの兵隊・抑留記

兵隊・抑留記(108)  黙れアクチブ

 
復員(ナホトカ → 舞鶴) - その4
 
 
 
 夕食時、一人当たり5勺(しゃく)の日本酒が配られた。久しぶりの日本酒だ。五臓六腑に染み渡り、やはり日本酒一番である。  
 
 広間の片隅からアクチブ〈ソ連の手先〉が立ち上がり「
我々は揃って代々木に行こう‥‥」アジが始まる。「黙れ、ここは祖国日本だ。お前等の祖国ソ連じゃない。もう一回しゃべってみろ、叩き出してやる!」アクチブの付近が立ち上がり騒然となった。
 
 5勺酒の1幕である。
 
 給料の支給があった。総額960円位だったと思う。
 
 多いと思うか少ないと思うか見当つかない。酒保(日用品販売所)で、煙草「ピ-ス両切10本入」が60円である。10箱も買えば、給料の半分以上が飛んでしまう。貨幣価値の変動について多少聞いてはいたが、びっくりする。
 
 
 
つづく
 
 
 
用語解説
【勺】(しゃく)尺貫法の容積の単位。合の10分の1
    約18ミリリットル
【代々木】(よよぎ)東京代々木の日本共産党本部
【アジ】アジテ-ションの略。社会運動で、演説し煽動すること。