兵隊・抑留記(103) 昆布になれ
抑留後期~帰還まで - その8
こんなことがあってどのくらい経ったのか忘れたが、指揮班の“K准尉”が密かにいう『貴様みたいな馬鹿はいない、こんなところでツッパッて居たってしょうがないではないか。海の昆布やワカメを見ろ、海面近くでは海流に逆らわず、適当に揺れているが、しかし、根はしっかりと岩にくらい着いている』『岡(建設作業)では貴様を欲しがっている』『「アクチブ」も岡に上げる理由を失っている』と。
“K准尉”のアドバイスは、有難かった。
翌日「アクチブ」の本部に乗り込んだ。
“俺”は言う『ソ聯も嫌いだし、共産党も嫌いだ。しかし、食わず嫌いなところもある。ソ同盟について知りたい』と。
「アクチブ」はそれを待っていたのだろう。早速、『ソ同盟小史』という日本語の分厚い本を渡された。これを読めとのことである。「アクチブ」は岡に上げる理由ができたのである。
ようやく、岡に逆戻りもどりしたのであった。
「狂人集団」のすることは分からない。戦友の中にスパイが居たり、『骸骨の金玉‥‥』になったり、精神的にくたくたである。ただひたすら『復員』するまでの我慢と『貝』になっていたのである。
つづく