兵隊・抑留記(97)  そっと教えてくれたのは… | SAPPERの兵隊・抑留記

兵隊・抑留記(97)  そっと教えてくれたのは…

 
抑留後期~帰還まで - その2
 
 
 そんなある日、“俺”のところに、天津教育隊時代の初年兵2名が尋ねてきた。『班長殿、今度、青年行動隊というのができる、そこで隊員を募集しているが、参加した方がいいだろうか』と。
 
 今更、班長殿でもあるまいが、“俺”はいう「俺たちの目的は何だ、全員五体丈夫で帰還することではなかったか、青年行動隊に参加しないで済むならそれに越したことはない」と。
 
 こんなやりとりがあったことはすっかり忘れた頃であった。
 
 そんなある日の建設作業の合間であった。“作業仲間”の一人が『今日、おまえの吊し上げがある』と、さりげなくそっと知らせてくれたのである。
 
 “仲間”は言う。『吊し上げ』の際、集団の中に「アクチブ」のスパイが配置され、『同情して下を向いたり』『発言の少ない者』を監視し、次の『吊し上げ』の対象にする。と、如何にも“狂人”の考えそうなことではある。
 
 大きな声で「そうだ、そうだ」「帰すな帰すな」と発言するから承知していてくれ。と、
 
 
つづく