兵隊・抑留記(92) コンクリート運送作業を軽減するには
抑留後期 - その13
この方法は、ソ聯側に対しての要求項目がないので、直ちに実行することにした。
・ まず、神楽桟(hand winch)〈かぐらさん 〉を作成した。
・ ミキサーを角材の上に固定し、鉄パイプのコロを置く。ミキサーにワイヤーを取りつける。
・ ミキサーに取りつけたワイヤーを、固定した神楽桟に巻き取ることによりミキサーを足場上に引き上げてしまったのである。
これを傍観していたソ聯側は驚いた。〈こんな重いミキサーをいつの間にか高い足場上に引き上げてしまった〉のだから。〈ヤポンスキー・マシン〉と言ったかどうか。ソ聯側は、(日本人はこんな器用なことをする)と、ビックリし、見直したのだろう。それではと、レール(溝形鋼)2本が支給されたのである。ソ聯のやることはどこか抜けている。
こんなことなら、わざわざ、ミキサーを足場上に引き上げるのではなかった。と、いっても始まらない。早速、レールの先端を曲げて、ストッパーをつけ鍋の尻を持ち上がるように加工して、足場に固定。下で鍋に入れられた骨材は、鍋ごと動力により巻き上げられ足場上のミキサーに投入するという改良がなさたのである。これは、作業の効率化、労力の削減に偉く貢献したことになる。
骨材の中、砂利の代用には、ここで産出される石炭(良質の燃結炭)の石炭殻を、又、砂は恐らく山砂(赤茶けていた)を使用した。
いわゆる軽量コンクリートである。
〈ナシンキ〉の絵が《シベリヤ日記・守谷 61頁》にあるが、この絵は間違いである。箱が支え棒2本の上にお神輿状に乗っている絵だ。
が、実際の〈ナシンキ〉は、支え棒は夫々側面上部にあり、地上の〈ナシンキ〉を持ち上げるのに便利であり、重心点が下がるので運搬が神輿状より楽である。
つづく